バリアバリュー―障害を価値に変える―
1,540円(税込)
発売日:2016/03/18
- 書籍
- 電子書籍あり
こんなビジネスモデルがあったのか! 驚きの「反転戦略」。
障害は人ではなく、環境にある――この小さな気づきが、車イスに乗った青年に4000万人市場をもたらした。偏差値33から一念発起、大学進学、起業時代の極貧生活を経て、ユニバーサルデザインを牽引するベンチャー経営者へ。その劇的な半生と、斬新なビジネスモデルを生んだ独自の「反転戦略」を明かす。
目次
はじめに――高さ106センチの視点から
第1部 バリアがバリューに変わるまで
第1章 自分のバリアに気づく
第1章 自分のバリアに気づく
バリアバリューとは何か
「あるきたい いつかみんなと はしりたい」
どこまで本気で信じられるか
歩かないと、歩けなくなる
いつのまにか「かわいそうな人」に
「遊びたい」と思われる存在になる
「あるきたい いつかみんなと はしりたい」
どこまで本気で信じられるか
歩かないと、歩けなくなる
いつのまにか「かわいそうな人」に
「遊びたい」と思われる存在になる
第2章 バリアと向き合う
バリアが敵になった時
スカートの中が見えても嬉しくない
彼女と手をつないだ日
人生初のプレゼンテーション
努力が結果に結びつくとは限らない
バネは縮んだ分だけ伸びる
登り切った先の景色
歩けなくてもできること
偏差値33からのスタート
受験直前の惨事
自分の意志で歩く
スカートの中が見えても嬉しくない
彼女と手をつないだ日
人生初のプレゼンテーション
努力が結果に結びつくとは限らない
バネは縮んだ分だけ伸びる
登り切った先の景色
歩けなくてもできること
偏差値33からのスタート
受験直前の惨事
自分の意志で歩く
第3章 バリアからバリューへ
車いすで営業成績ナンバーワン
本気で怒られた時の感動
一人目の仲間と出会う
300万円の起業資金
借金する覚悟
忘れられない初受注
「社会貢献」より「儲けよう」
「ハード」から「ハート」へ
共感が人を呼ぶ
LGBTという未開拓市場
豆乳生活から2億円
本気で怒られた時の感動
一人目の仲間と出会う
300万円の起業資金
借金する覚悟
忘れられない初受注
「社会貢献」より「儲けよう」
「ハード」から「ハート」へ
共感が人を呼ぶ
LGBTという未開拓市場
豆乳生活から2億円
第2部 バリアバリューの思考法
第4章 隠れた価値を見つける
第4章 隠れた価値を見つける
バリアは「人」ではなく「環境」にある
バリアの正体を見極める
「でも」より「だから」を見つける
弱点と強みをセットで考える
「正しさ」を武器にしない
「泣き落とし」は使わない
情けは人の為ならず
バリアの正体を見極める
「でも」より「だから」を見つける
弱点と強みをセットで考える
「正しさ」を武器にしない
「泣き落とし」は使わない
情けは人の為ならず
第5章 価値を育てる7つの習慣
〔第1の習慣〕小心者だから最高の準備をする
〔第2の習慣〕苦しい時こそ楽観的に考える
〔第3の習慣〕「なぜ」「どうして」を3回くり返す
〔第4の習慣〕イラッときたら日記をつける
〔第5の習慣〕「昨日の自分」と比べてみる
〔第6の習慣〕少しだけ背伸びをする
〔第7の習慣〕「運・縁・勘」を大切にする
〔第2の習慣〕苦しい時こそ楽観的に考える
〔第3の習慣〕「なぜ」「どうして」を3回くり返す
〔第4の習慣〕イラッときたら日記をつける
〔第5の習慣〕「昨日の自分」と比べてみる
〔第6の習慣〕少しだけ背伸びをする
〔第7の習慣〕「運・縁・勘」を大切にする
第6章 価値を磨くコミュニケーション
人をホメるのは難しい
「感動ポルノ」に感動
人を観察すること
本音を察知できるか
4人目の壁
メールをやめる
違いを認め合う
ホメることの効用
まずは自分をホメる
叱るコツはあるか
「感動ポルノ」に感動
人を観察すること
本音を察知できるか
4人目の壁
メールをやめる
違いを認め合う
ホメることの効用
まずは自分をホメる
叱るコツはあるか
第3部 バリアバリューから未来へ
第7章 世界にバリアバリューを
第7章 世界にバリアバリューを
日本はユニバーサルデザインの先進国
根深い「意識のバリア」
無関心か、過剰か
「以心伝心」から「一声かける」へ
これから日本で起きること
日本から世界へ
根深い「意識のバリア」
無関心か、過剰か
「以心伝心」から「一声かける」へ
これから日本で起きること
日本から世界へ
おわりに――人生の幅は変えられる
心肺停止になって考えたこと
長さではなく、幅にこだわる
長さではなく、幅にこだわる
〔コラム1〕ユニバーサルデザインとは?
〔コラム2〕富松さんの手紙
〔コラム3〕日本がもし100人の村だったら
〔コラム2〕富松さんの手紙
〔コラム3〕日本がもし100人の村だったら
書誌情報
読み仮名 | バリアバリューショウガイヲカチニカエル |
---|---|
発行形態 | 書籍、電子書籍 |
判型 | 四六判変型 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-339991-9 |
C-CODE | 0095 |
ジャンル | 社会学、福祉、ビジネス人物伝 |
定価 | 1,540円 |
電子書籍 価格 | 1,056円 |
電子書籍 配信開始日 | 2016/09/16 |
書評
「この人をお師匠と呼ぼう」と決めた瞬間
目の前の景色が一気に変わって見えること、自分の価値観が大きく変わることを、「パラダイムシフト」と呼ぶ。
例えば障がい者に対する目線。障がいのある人はかわいそうな存在であり、健常者は障がい者を守らなくてはならない。多くのひとがそう考えているように思える。じつは恥ずかしながら私もかつてはそんな目線をもっていたひとりだ。そう、ある青年のこんな言葉に出会うまでは。
「世の中に障がい者なんていないんです。大多数の方に合わせて作られた仕組みや施設が、我々にとっては障害になっている。ただそれだけのことです」
なんという鮮烈な視点だろうか。まさに障がいに対する景色が一気に変わって見え始めた瞬間だった。
青年の名は垣内俊哉さん。ミライロという会社の社長であり、この本の著者だ。それを機に、彼の講演を幾度となく聴講させて頂いた。彼の生い立ちを聞くだけでも、壮絶な人生がみえてくる。生まれつき骨の難病があるため、何度も手術が繰り返される。果たして自分であったら、20代の人生の半分近くを病院で過ごす、そんな生き方に耐えることが出来ただろうか。しかし、垣内さんの表情は誰よりも明るく、語る言葉にも話の内容にも微塵も暗さがない。
「一度手術後に目が覚めず、心肺停止に陥ったことがありました。3日間の昏睡状態のあと、奇跡的に目を覚ましたのです。どうして生き返ってきたのか分かりますか。三途の川がバリアフリーじゃなかったので渡れなかったんです(笑)」
この時点で私は決心した。「この人をお師匠と呼ぼう」。それ以来、今でも私にとって一番若いお師匠として、さまざまな刺激を頂いている。
私の好きな言葉に「人生はおひとり様一回限り」というのがある。垣内さんも同様のことを言っている。そしてその表現もまたじつに独特だ。
「人生の長さは自分では決めることが出来ないようです。どうも神様が決めているらしい。でも人生の幅は自分でいくらでも決めることが出来る。90年を幅1キロで生きたら、そのひとの人生面積は90×1キロ。たとえ50年の人生でも幅10キロで生きたら人生面積は50×10キロ。面積(内容)では負けていませんね」
そう語る垣内さんがいま人生をかけて取り組んでいるのが、「ユニバーサルデザイン」と「ユニバーサルマナー」の普及。そして本書のテーマである「バリアバリュー」という考え方。バリア(障害)に対する認識を根底から覆す発想だ。「バリア(障害)はハンディになるもの」とは考えず、「バリュー(価値)を生み出すもの」として捉える。
そして、仕事でもプライベートでも、誰もが対等に向き合い、一緒に活動できる世界を実現するためには、相互理解と相互支援が不可欠だ。とはいえ、道路や建物などのハードウェアをすべてユニバーサルデザインにすることには限界がある。垣内さんは「ハードの限界はハート(心)で補うことが出来るんです」と語る。これこそ日本が誇る究極の「おもてなしの心」に通じる発想ではないだろうか。
いま世界レベルでバリアへの認識が広がりをみせている。身体障がい、知的障がい、精神障がいに加えて、LGBTなども身近なものとなりつつある。すでに海外では同性同士の結婚は珍しくなく、その波は日本にもやってきている。まさにバリアがバリューに代わるステージが整いつつあるといえる。
だからこそ、誰もが自分の価値観や感性をさらに深く豊かに育んでいくことが求められる。そのためにはまず「バリア(障害)について知ること」が不可欠であろう。相手の立場で考えるということは、まず相手を理解することから始めなくてはならないからだ。自分にとって当たり前のことは、必ずしも相手にとっても当たり前とは限らないという気づきを得ること。
垣内さんの著書は、当事者の目線でさまざまなことが語られている。すべての人にとって必要な、バリアに関する知識の宝庫、智恵の泉となる一冊と言ってもいいと思う。
例えば障がい者に対する目線。障がいのある人はかわいそうな存在であり、健常者は障がい者を守らなくてはならない。多くのひとがそう考えているように思える。じつは恥ずかしながら私もかつてはそんな目線をもっていたひとりだ。そう、ある青年のこんな言葉に出会うまでは。
「世の中に障がい者なんていないんです。大多数の方に合わせて作られた仕組みや施設が、我々にとっては障害になっている。ただそれだけのことです」
なんという鮮烈な視点だろうか。まさに障がいに対する景色が一気に変わって見え始めた瞬間だった。
青年の名は垣内俊哉さん。ミライロという会社の社長であり、この本の著者だ。それを機に、彼の講演を幾度となく聴講させて頂いた。彼の生い立ちを聞くだけでも、壮絶な人生がみえてくる。生まれつき骨の難病があるため、何度も手術が繰り返される。果たして自分であったら、20代の人生の半分近くを病院で過ごす、そんな生き方に耐えることが出来ただろうか。しかし、垣内さんの表情は誰よりも明るく、語る言葉にも話の内容にも微塵も暗さがない。
「一度手術後に目が覚めず、心肺停止に陥ったことがありました。3日間の昏睡状態のあと、奇跡的に目を覚ましたのです。どうして生き返ってきたのか分かりますか。三途の川がバリアフリーじゃなかったので渡れなかったんです(笑)」
この時点で私は決心した。「この人をお師匠と呼ぼう」。それ以来、今でも私にとって一番若いお師匠として、さまざまな刺激を頂いている。
私の好きな言葉に「人生はおひとり様一回限り」というのがある。垣内さんも同様のことを言っている。そしてその表現もまたじつに独特だ。
「人生の長さは自分では決めることが出来ないようです。どうも神様が決めているらしい。でも人生の幅は自分でいくらでも決めることが出来る。90年を幅1キロで生きたら、そのひとの人生面積は90×1キロ。たとえ50年の人生でも幅10キロで生きたら人生面積は50×10キロ。面積(内容)では負けていませんね」
そう語る垣内さんがいま人生をかけて取り組んでいるのが、「ユニバーサルデザイン」と「ユニバーサルマナー」の普及。そして本書のテーマである「バリアバリュー」という考え方。バリア(障害)に対する認識を根底から覆す発想だ。「バリア(障害)はハンディになるもの」とは考えず、「バリュー(価値)を生み出すもの」として捉える。
そして、仕事でもプライベートでも、誰もが対等に向き合い、一緒に活動できる世界を実現するためには、相互理解と相互支援が不可欠だ。とはいえ、道路や建物などのハードウェアをすべてユニバーサルデザインにすることには限界がある。垣内さんは「ハードの限界はハート(心)で補うことが出来るんです」と語る。これこそ日本が誇る究極の「おもてなしの心」に通じる発想ではないだろうか。
いま世界レベルでバリアへの認識が広がりをみせている。身体障がい、知的障がい、精神障がいに加えて、LGBTなども身近なものとなりつつある。すでに海外では同性同士の結婚は珍しくなく、その波は日本にもやってきている。まさにバリアがバリューに代わるステージが整いつつあるといえる。
だからこそ、誰もが自分の価値観や感性をさらに深く豊かに育んでいくことが求められる。そのためにはまず「バリア(障害)について知ること」が不可欠であろう。相手の立場で考えるということは、まず相手を理解することから始めなくてはならないからだ。自分にとって当たり前のことは、必ずしも相手にとっても当たり前とは限らないという気づきを得ること。
垣内さんの著書は、当事者の目線でさまざまなことが語られている。すべての人にとって必要な、バリアに関する知識の宝庫、智恵の泉となる一冊と言ってもいいと思う。
(たかの・のぼる 元リッツ・カールトン日本支社長)
波 2016年4月号より
スポット動画
著者プロフィール
垣内俊哉
カキウチ・トシヤ
株式会社ミライロ代表取締役社長。日本ユニバーサルマナー協会代表理事。1989年生まれ、岐阜県中津川市出身。立命館大学経営学部在学中の2010年、(株)ミライロを設立。障害を価値に変える「バリアバリュー」の視点から、企業や自治体、教育機関におけるユニバーサルデザインのコンサルティングを手がける。2014年には日本を変える100人として、日経ビジネス「THE100」に選出される。2015年より、日本財団パラリンピックサポートセンターの顧問に就任。
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