犬から聞いた話をしよう
1,980円(税込)
発売日:2017/12/22
- 書籍
犬は、人間のいちばん長い友だち――。
人生で、世界中で、出会ってきた
「気分のいい」犬たちの肖像。
この本は、人生の中でつきあってきたなつかしい友達のような犬と、どこかよその土地で出会ったいかにも気分のいい犬との出会いの一冊になった――。子どもの頃から犬好きのシーナが世界中で撮影した、ほっこりすること確実の犬、犬、犬の写真&エッセイ集。「ガク」についての初めてのメモワールも書下ろし!
犬と子供はともだち
静かに頼れる奴ら
ともだち同士
犬にはヒルネがよく似あう
うれしい犬たち
走るの大好き
時には主役になりたがる
大地に生きる
ガクといういい奴
一匹犬
気分のいい風のなかで
我が犬の系譜
ワンサのこと
神の犬
カヌー犬ガクのこと
書誌情報
読み仮名 | イヌカラキイタハナシヲシヨウ |
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発行形態 | 書籍 |
判型 | B5判変型 |
頁数 | 144ページ |
ISBN | 978-4-10-345625-4 |
C-CODE | 0072 |
ジャンル | 写真集・写真家、画家・写真家・建築家 |
定価 | 1,980円 |
書評
犬を見ると思いだす
あっ、ワンサだ。
本書の扉ページに、ワンサの写真が載っているので嬉しくなってしまった。この写真はこれまで、『南島だより』『椎名誠写真館』『殺したい蕎麦屋』と3冊の本に出てきたので椎名誠の愛読者にはお馴染みの写真だが、何度見ても可愛い。
ワンサについては本書中にその紹介があるが、1991年に石垣島で撮った映画「うみ・そら・さんごのいいつたえ」にワンシーンだけ出演した犬である。捨て犬や野良犬を収容する島の施設からスタッフがみつけてきた犬で、翌日処分される予定だったという。その運命を察知していたのか、扉写真にあるように、ワンサはいつも怯えていたようだ。
今回初めて明らかになったのはその後日譚で、これがまた興味深い。撮影が終わって8カ月後に福島で上映会をしたとき、その地にもらわれていたワンサと、著者は再会したというのである。ワンサは大型犬の血筋なので、堂々たる黒い犬になっていたが、舞台にあがると終始おどおどしていたというから、可愛いなワンサ。
このワンサの写真が好きなのは、我が家の愛犬に似ているからだ。長男が小学4年のとき、踏み切り際に捨てられていた子犬を同級生が拾ってきたものの、その家にはすでに飼い犬がいたのでもうダメと言われたところに長男が遊びにいき、貰ってきた犬である。翌日には保健所に持っていって処分されるところだった。飼っていい? と玄関先で尋ねてきた長男の胸に、真っ黒な子犬がいて、長男の横に小学校に入ったばかりの次男がいた。2人で私を見上げていた日の光景はまだ記憶に鮮やかだ。
ジャックという名前は長男が付けた。踏み切り際に捨てられたときの記憶がずっと残っているようで、ジャックは大きくなってからもその踏み切りには絶対に近寄らなかった。ワンサのように臆病で、一度猫に引っかかれてからは散歩の途中に猫と会っても、知らん顔して通りすぎるのがおかしかった。絶対に見えているのにそれは不自然だろお前。
家族が数日留守にするときは近くの義父の家に預けたが、1泊のときは義父にたびたび預けるのも何なので犬小屋に置いていったが、そんなときは犬小屋の隅に体をおしつけ、ぶるぶると震えていたという。あまり静かなので見に行った隣家の人の証言である。
ジャックは18歳まで生きたが、いまは子犬のころの写真が居間に残っているだけだ。だから、ワンサの写真を見ると、ワンサの向こうに、ジャックがいて、子供たちが幼かったころの記憶が蘇ってくる。犬は家族の記憶である――そんなふうにも思う。
ところで本書は、椎名誠が世界中を旅してきたときの記録から(椎名誠はたくさんの旅エッセイを書いているが、旅の記録は写真集としても残されている)、犬の写真を抜き出したものだ。椎名誠の写真集に、いつも犬が写っていることがずっと気になっていた。それは世界中に犬がいて、人間と暮らしているから、人と風景を撮ると犬が写り込んでしまうということもあるだろうが、椎名誠がやはり犬好きということもあるような気がする。無意識かもしれないが、犬を見かけるとカメラを向けてしまうのである。たぶんそうだ。それらの写真を抽出すれば、素晴らしい犬の写真集が出来るはずだと考えていたのだが、ようやくそれが実現したので嬉しい。
本書に収録された犬の写真で、個人的に好きな写真のベスト3を選べば、1位は扉のワンサ、2位は127ページの幼い頃のガク、3位は36ページのレストランから主人が出てくるのを待っているアルゼンチンの犬、4位は54ページの2匹の犬。ベスト3と言いながら4枚も選んでしまったが、4位の2匹の犬は『椎名誠写真館』の文庫版37ページの写真と同じだと思うので、モンゴルの犬だ。これも可愛い。一匹の犬が大きく口を開けて、もう一匹がその顔に顔を寄せて、なにやら話しかけているようでもある。ちなみに、この写真につけられた『椎名誠写真館』のキャプションは、「成長すると狼のように獰猛な大型犬になるモンゴルの犬も子犬のときは何をしてもかわいいのだ」というもので、こんなに可愛い犬が成長して獰猛になることが信じられない。
しかし、やっぱりワンサだ。今度はワンサ・カレンダーを作ってほしい。すぐに買うぞ。
(きたがみ・じろう 評論家)
波 2018年1月号より
単行本刊行時掲載
インタビュー/対談/エッセイ
写真はタイムカプセル
“あやしい探検隊”のみならず、若き日より共に世界中を旅して来た2人が、奇しくも同時期に写真集を刊行することになった。片や、長年撮りためた世界中の犬の写真の総決算、此方、40年前に撮った極北の「極夜」、暗闇の村。共に長い時間の流れが写った、モノクロームのタイムカプセルだ。
中村 すごい写真集(『犬から聞いた話をしよう』)ができましたね。見てると、いっしょに旅した時の写真もたくさんあって、共有した時間が写っているから、うれしくなっちゃった。
椎名 中村さんと同時期に、同じ判型の写真集が出るなんて、本当にうれしいね。
中村 この扉の写真、ワンサでしょう。ワンサ、今、どうしてます?
椎名 もういないんだろうな……映画の後、福島にもらわれていったんだけど、大型犬だったんだよ。あんなに小さくて、怯えてテーブルの陰から出て来なかったのにね。
寒さの話
椎名 ところで『極夜』、このタイトルと表紙で、水中写真家・中村征夫の本だって思う人は少ないんじゃないかな。これ、ずいぶん若い頃の写真でしょう?
中村 32歳の時だから40年前ですね。
椎名 俺はシオラパルクには行ったことがない。植村直己さんがいた村だから憧れてたんだけどね。アイスランドまでは行ったことがあるけど、グリーンランドの方がずっと北なんだな。でも、なんで水中の人が北極圏なんかに行ったの?
中村 フリーになって間もない頃、報知新聞から極夜の連載の撮影を依頼されて、記者と2人で行ったんです。僕にとって、初めてといってもいいドキュメンタリーの仕事でした。
椎名 よくやったよね。俺もなまじ極地の寒さを知ってるから、大変さはよくわかる。冬の極夜も、夏の白夜も体験したけど、どっちかというと、夏の方が辛かった。雪も氷もなくなっちゃうと、ツンドラがむき出しになって、水たまりができるでしょう。そこに蚊が大発生して、もう“蚊地獄”になるんだよね。飯食ってても、お椀の中に100匹ほど蚊が入ってる。いちいち取ってる暇がないから、ふりかけだと思って食ったよ。それでわかったのは、1匹の蚊に刺されて病気になることはあっても、2000匹の蚊を食っても病気にはならない(笑)。
中村 僕も蚊だけは嫌だな。家の中に1匹いるだけでも死に物狂いで探すもの。
椎名 そういう意味じゃ、寒いのは防寒具さえしっかりしてれば、なんとかなるから……といっても、レベルが違うか。シベリアでは犬橇にもよく乗ったな。ロシアのユピックで犬橇を教えてもらった。あれはつらいよね。風が来ると、どんどん体温が下がっちゃうし。
中村 ヘリコプター降りて、シオラパルクの村まで、いきなり10時間も犬橇に乗せられて走ったんです。気温はマイナス35~40度。木製の橇のむき出しの床に座ると、着ていたダウンの防寒具はぺちゃんこに潰れて、保温力が低下して、じんじんしてくる。息をすると肺の中で空気が凍る感じがして、俺、ダメかもしれない、死ぬかもしれない、って思った。
椎名 橇に乗るときに教わったのは、裸になって、まず毛皮の、毛のついてる方を内側にして着る。その上に、今度は毛を外側にした毛皮を重ねて着て、風が入らないようにしっかりと閉じる。そうしたら“人間動物化”するわけだ。これなら橇から転げ落ちても大丈夫。40年前の化学繊維じゃ、とてもかなわない。
中村 まだフリースもない時代だしね。ダウンはあったけど、その下は全部ラクダの毛の下着を何枚も重ねてました。
椎名 この女の子たち、かわいいね。ぬいぐるみみたい。
中村 上着はカリブー(トナカイ)、ズボンはシロクマ、ブーツはアザラシの毛皮。今、日本で誂えたら何百万円もするでしょう。この写真が新聞に掲載されたとき、読者からプリントが欲しいって要望があったんです。当時、新聞に載った写真を欲しいって言われたのは、王貞治が世界記録のホームランを打った瞬間の写真以来なんだって。
椎名 こんなに着込んでると、おしっこが大変なんだよね。シベリアでマイナス49度を体験したことがあるんだけど、おしっこが凍るっていうんだよ。小便氷柱ができるかもって期待してたんだけど、その前にアレを引っ張り出すのが大変なんだ。厚着してるし、よく見えないし、ごつい手袋してるし。寒いからヤツも縮こまってるじゃない。やっとの思いで引っ張り出して、無事発射できたときは、うれしかったね(笑)。湯気がもうもうと立ち上るんだ。でも氷柱にはならなかった。ロシア人に聞いたら、マイナス50度超えると、地面に落ちて跳ね返った雫は凍るんだって。放射状になって凍ったのを“小便の王様”というらしい。
中村 後で聞いたんだけど、無理に飛ばそうとしないで、ヤッケ(上着)にひっかけちゃうのが正しい小便のやり方だそうですよ。するとあっという間に凍って、あとはパンパンと叩いたら、きれいに落ちちゃう。
闇中の撮影
椎名 この犬橇の写真、闇の中だから、撮ってるときは見えていないんでしょう。どうやって撮ったの?
中村 全く見えません。懐中電灯も犬が嫌うから点けられない。向かって来る犬の喘ぎ声と、橇の軋む音で、今、目の前に来てるんだなと見当つけてシャッター切るんです。ストロボがどこまで届くか、心配だった。怒られながら2カット撮るのがやっとだった。
椎名 ワンチャンスだね。俺もシベリアを旅してるとき、何度もいい場面に遭遇したんだけど、焦っちゃうんだよね。あわててカメラ出して、フィルムを装填しようと思っても、寒くて手が動かなくて、パーフォレーション(フィルム上下の穴)にうまく噛み合わせられないまま撮っちゃったりした。空回りしてるから、当然、撮れてない。50回くらいシャッター切って、初めて「あれ、おかしいな」って。
中村 僕も水中写真撮ってて、何度も失敗した。あれ、傷つくよね。極地では素手で交換すると、フィルムが凍ってて、手を切ったこともある。カッターナイフみたいになってる。ストロボのコードも凍ると棒みたいになって、気をつけないとポキンと折れちゃう。
椎名 フィルムを巻き上げる時も、慎重にしないと切れちゃうんだよね。キリキリとフィルムが切れる音が恐怖だった。この時、どんな機材を使ってたの?
中村 キヤノンF1に、フィルムはコダックのトライX、ISOは400。今のデジタルカメラみたいに高感度は撮れないから、オーロラなんか全然感度が足りない。でも勉強になったな。極地の撮影なら任せて、っていう感じ。
椎名 犬橇は鞭の扱いが難しいよね。練習したけど、なかなか思ったところを打てなかった。
中村 10頭立ての橇に乗ったんだけど、サボってる犬は引き綱がたるむからすぐにわかる。すかさずピシッと鞭を当てると、キャイーンと飛び上がって必死に走り出す。
椎名 間違えて真面目に走ってるやつに鞭を当てると、ふてくされて走らなくなるんだってね。
寒さのフィルター
中村 寒い写真といえば、椎名さんのこのロシアの写真、マイナス30度って書いてあるけど、いったいどこから撮ったの?
椎名 外を歩いてる時に。
中村 椎名さんはいっしょに旅してても、ほんとうによく写真を撮ってるよね。ここで撮るか? というのがよくあったよ。街中だとしても、マイナス30度っていったら、カメラ出すのも億劫になっちゃうでしょう。
椎名 カメラはいつも懐に入れてた。フィルム時代は、メイン機の他に、コンタックスT2持って行ってたんだけど、あれも鉄の塊だから、部屋に入ると結露して、まいったな。最近のデジタルは寒さにも強いよ。
中村 でも、バッテリーの消耗が激しいでしょう。
椎名 そうなんだけど、カラーで撮影すると、不思議な色になるんだよね。この写真も元々はカラー。肉眼で見えているのとは違う、なんというか、寒さのフィルターがかかっているというか。シベリアの旅は、ずいぶん勉強になった。
中村 なるほど。それにしても、よく犬を撮ってますね。この本には日本はもちろん、ロシア、アメリカ、ヨーロッパから東南アジア、パタゴニアまで、世界中の犬が登場してます。
椎名 なんで犬ばっかり撮ってるのかというと、元々少年時代から常に身近に犬がいたこともあるのかな。今なら小学生でもスマホで写真撮るけど、俺たちの時代にはもちろんカメラなんか持ってなかったから、一枚も残ってない。その隔たりの悔しさみたいなものはあるかな。それに、日本の犬はみんな繋がれてるけど、海外に行ったらそうじゃないんだよね。繋がれてるのは病気の犬だけ。モンゴルなんて、犬はペットじゃなくて狼よけだから、餌もあげない。勝手に食ってこいって。それで昼間は寝てて、夜警をやってる。あの自由な感じがいいよね。
中村 そうだね。この本に出てる犬たちも、すべてが放し飼い。それにしても、この海辺の写真、犬は確かに写ってるけど、ほとんど点だよね。僕にはこういう写真は撮れない。椎名さんの写真は、全体に言えることだけど、ワイドレンズで撮っていて、広がりがある。それと、被写体までの距離感があるから、そこから時間を感じます。この独特な“間合い”みたいなものが、椎名さんの写真の味わいですね。本には撮影年代が入っていないけど、一番古いのはどれですか?
椎名 撮影時期は何十年にもわたってる。一番古いのはこの写真かな。ここに写ってる少年は、息子の岳なの。彼が小学校の6年生の頃だから、何十年前だろう、まだ作家になっていない頃の写真なんだ。
中村 テーマ毎に写真が並んでいるけど、時代順になってるわけじゃないから、どれが新しいのか古いのか、一見しただけじゃわからない。つまり、ずっと同じ間合いで被写体に対峙し続けている。それもなかなか真似できることじゃありません。
名犬ガク
中村 あっ、こっちは犬のガクだ! かわいいな。
椎名 ガクの幼少時代。耳がビーサンの鼻緒に入ってて。ちゃんと枕してるっていうのがかわいいね。
中村 僕もガクとは何度もいっしょに旅をしたな……。
椎名 ガクは野田知佑さんの旅について行って“カヌー犬”として紹介されて、とても有名になった。野田さんだけじゃなくて佐藤秀明や他の人もたくさんガクの写真撮って紹介してきたけど、俺は今までガクのこと、書いたり写真出したりしてこなかったんだ。そんなにみんなで書くことないだろうって。だからじっと見てるだけだった。でもね、いちばん苦労して面倒見てきたのは俺なんだよね。
中村 里親ですものね。この本にはガクがたくさん出てる。
椎名 実は俺もたくさん撮ってた。だから、こんなにたくさん、ガクが登場する本は初めてなんだ。
中村 ガクとの旅には、いろんな思い出があるなぁ。沖縄の座間味島でキャンプした時、大嵐になって公民館に避難したことがあったよね。あの時、全員、公民館の床の上にテント張って、地元の人たちから怪訝な目で見られたんだけど、寝ようと思ったら僕の寝袋の中にガクが先に入って寝てた。いくら起こしても出ようとしなくて、最後は「ウー」って怒っちゃって。
椎名 あいつは人語を2割くらいは理解してたね。雑種なんだけど、シェパードの血が入っていて、とても賢い犬だった。
中村 椎名さんは、猫の写真は撮らないの?
椎名 ないわけじゃないけど……たしか2枚くらいあったかな(笑)。
写真はハートで撮る
椎名 『極夜』は、デジタルで再現したって書いてあるけど、どういうこと?
中村 当時、現像した時に定着液がヘタっていたみたいで、数年経つとネガに白いドットみたいな抜けが大量に発生したの。だから、もうプリントはできないと思ってずっとお蔵入りになってたんです。デジタル技術が進んだから、ひょっとしたら修復できるかもと思ってやってみたら、うまくいったけど、半年もかかった。
椎名 わかるなぁ。俺もやっちゃったことある。撮る時に露出間違えて、現像してみたら、なんじゃこりゃって。やっぱりあきらめてたんだけど、デジタルで修復できそうだっていうので、ラボに持って行ったら、なんとかなるという。そしたら忘れていた絵柄が浮き上がってきて、「そうか、君はまだそこにいたのか」って、うれしかったな。それで写真集を一冊、作っちゃった!
中村 プロの写真家としてはひどい失敗談なので恥ずかしいんだけどね。
椎名 最近、写真賞の審査員を頼まれることが多いんだ。そしたら、俺が中村さんと親しいことを知ってる人に「中村さんはどんな機材を使ってるんですか」って聞かれることがあるんだけど、中村さん、カメラにはこだわる方ですか?
中村 新しいのが出たら飛びつくなんてことは一切ないですね。使い慣れてるのが一番。だって、いいカメラだからいい写真が撮れるわけじゃないでしょう。写真を撮るのはカメラだけど、やっぱり自分の心が撮るんじゃないかと思う。
椎名 そう、やっぱりハートだよね。
中村 椎名さんは犬の写真をたくさん撮ってるけど、僕は椎名さんの写真をいっぱい撮ってるんだよね、昔から。魚の次に椎名さんの写真が多いかも。素顔の椎名さん。写真集出せるくらい。
椎名 気がつかなかったな。じゃあ、僕が死んだら、遺影はよろしく(笑)。
(なかむら・いくお 写真家)
(しいな・まこと 作家)
波 2018年1月号より
単行本刊行時掲載
著者プロフィール
椎名誠
シイナ・マコト
1944(昭和19)年、東京生れ。東京写真大学中退。流通業界誌編集長を経て、作家、エッセイスト。『さらば国分寺書店のオババ』でデビューし、その後『アド・バード』(日本SF大賞)『武装島田倉庫』『銀天公社の偽月』などのSF作品、『わしらは怪しい探検隊』シリーズなどの紀行エッセイ、『犬の系譜』(吉川英治文学新人賞)『岳物語』『大きな約束』などの自伝的小説、『犬から聞いた話をしよう』『旅の窓からでっかい空をながめる』などの写真エッセイと著書多数。映画『白い馬』では、日本映画批評家大賞最優秀監督賞ほかを受賞した。