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里山の道 satoyama

今森光彦/著

2,970円(税込)

発売日:2001/07/23

  • 書籍

日本でいちばん美しい自然へ向かって、ゆるやかに続く道。「里山物語」の新作。

前作から六年。「生命の循環」という静かなドラマを見つめてきた写真家が、さらに印象を深めた里山に再び向き合う。カタクリ咲く雑木林、闇に流れるホタルの炎、軒下の干し柿、霜をつけたノバラの葉……。棚田が広がる湖国・滋賀県大津市郊外の田園地帯を舞台に、小さな生命と人々の暮らしを清冽に撮り下ろした最新写真集。

書誌情報

読み仮名 サトヤマノミチサトヤマ
発行形態 書籍
判型 A4判変型
頁数 80ページ
ISBN 978-4-10-408503-3
C-CODE 0072
ジャンル 写真集・写真家、画家・写真家・建築家
定価 2,970円

書評

波 2001年8月号より 里山の空気感  今森光彦『里山の道 satoyama』

土岐小百合

 私が最初に里山という言葉に出会ったのは、ネイチャー雑誌『マザー・ネイチャーズ』の今森光彦さんの連載『里山物語』だった。里山は今森さんの写真とエッセイと共に、少しずつ私の中で形を作っていった。

 はじめて滋賀の今森さんの里山フィールドを歩いたのは94年頃。田んぼ、あぜ道、雑木林、ため池……。それは、私にとって「そこにいてもいいんだ感」のある、親しみやすい、でも奥の深そうな自然だった。屋久島の森に行くと「すごい生命力」とは思うけど、なんか、私(というか人間)がよそものの感じがしてしまう。来ない方がいいのに、って言われてるような気もする。それにくらべて、里山は人の生活の場であり、同時に生物たちが生きている環境だ。だから、ふらふらとよそものの私が入っていっても、なんか居場所があるようで気持ちがいいのも当然だろう。

 その後も、なぜか里山には不思議な縁があって、96年には滋賀県立琵琶湖博物館開館記念特別展『今森光彦写真展――里山――生命の小宇宙』のプロデュースをさせてもらった。この企画が進んでいた当時は、写真集『里山物語』が出ていたとはいえ、まだまだ里山という言葉は一般的に認知されていなくて、タイトルを決める時にいろいろもめたことが懐かしい。結局、副題に「生命の小宇宙」と入れることで、落着した。

 そして、去年から記録映像『今森光彦の里山物語』を中心としたプロジェクト『Satoyama21――里山から考える21世紀』(詳しくはhttp://www.satoyama21.com)を始めた。この頃になると「里山だけじゃなんだかわからない」という人はさすがにいなくなり、名前はすんなりと決まった。試しに今日、里山というキーワードをインターネットで検索してみると、ヤフーの登録サイトが55件、ページ検索はなんと32600件にのぼる。

 近頃、今森さんに会うと「あの写真のフィールドのあたりも、今は変わってしまいました」という話をよく聞く。個人所有の土地である里山の変化にはそれぞれの家の事情があるから、部外者の私にはとやかく言えない。でも、皮肉なことに『里山物語』の里山が、写真の中だけでしか見られない割合が増えるにつれ、里山という言葉の通りはよくなっていく。どこにでもあったときは、わざわざ話題にすることもなかったから、言葉も広まらない。それは、当然のことだろう。そして、これだけ里山がポピュラーになったのは、今森さんの写真という共通のビジュアルイメージがあったからに違いないと、私は確信している。

 よく里山の定義について聞かれる。農業空間に限定している人、いやいや雑木林が中心だという人、もっと広く人と自然が共生している空間を指す人、いろいろある。でも、私はどこまでが里山の範囲なのか議論する気はない。あの、今森さんの写真の中にある空気感こそが里山、それでいいんじゃないかと思うのだけれど、どうだろうか。

(とき・さゆり 『Satoyama21――里山から考える21世紀』実行委員長)

▼今森光彦『里山の道 satoyama』は、発売中

『Satoyama21――里山から考える21世紀in世田谷』2001年7月20日から8月5日(月曜休)まで三軒茶屋の世田谷文化生活情報センターで記録映像『今森光彦の里山物語』(撮影監督/今森光彦 構成/東陽一 NHKスペシャル『映像詩・里山』の映像を使用し改編制作)とパネルや資料展示、トークなどを行う催しを主催します。動く『里山物語』をぜひ見にいらしてください。(問い合わせTEL.03‐3475‐7730/ワークショップ・ミュー)

著者プロフィール

今森光彦

イマモリ・ミツヒコ

1954(昭和29)年滋賀県生れ。近畿大学理工学部土木工学科卒業。写真家。琵琶湖をのぞむ自然に囲まれた風景を「里山」と名づけた。仰木町のアトリエを拠点に、自然と人との関わりを撮り続けている。その活動は国内だけでなく海外でも高く評価され、1988年刊行の『今森光彦 昆虫記』は、フランス語、ドイツ語、韓国語に翻訳された。その他写真集『里山物語』『里山の道』、フォトエッセイ『萌木の国』『藍い宇宙』など多数。アニマ賞(1989年)をはじめ、毎日出版文化賞(1994年)、木村伊兵衛写真賞(1995年)、産経児童出版文化賞大賞(1995年)などを受賞。また、1999(平成11)年以降、NHKスペシャルで放送された「里山」の制作にも参加。

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