にゃんこパワー―科学が教えてくれる猫の癒しの秘密―
2,310円(税込)
発売日:2024/06/27
- 書籍
- 電子書籍あり
膝の上で眠る小さな存在が「大きな幸せ」をくれる。
そばにいるだけでポジティブになり、幸福感が高まる。よく眠れるし、ストレスも減る。喉で鳴らすゴロゴロは人間の心拍数と血圧を下げ、痛みを緩和し、治癒力も高める。猫好きなら薄々感じたことのある不思議な力は本当だった! 人間との長い歴史や各地に伝わる伝説、互いの絆が深まる方法も解き明かす、にゃんこ本の決定版。
[ウルリカ]命の恩「猫」、ナポレオン
[カリーナ]我が家に愛を振りまいてくれたミア
[ウルリカ]子供の頃、そばにいてくれたトゥッセ
[カリーナ]不安でたまらない夜に握ったミアの前肢
[カリーナ]絶望の淵の大きな慰め
[ウルリカ]夫の命が危ない――
[ウルリカ]家族の心のよりどころ、ボーレ
[ウルリカ]「このクソ猫!」
[カリーナ]野生に還ったような2匹
[カリーナ]空っぽの心を埋めてくれる猫
訳者あとがき――かけがえのない存在に感謝する日々
参考文献
書誌情報
読み仮名 | ニャンコパワーカガクガオシエテクレルネコノイヤシノヒミツ |
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装幀 | 松尾ミユキ/装画、新潮社装幀室/装幀 |
発行形態 | 書籍、電子書籍 |
判型 | 四六判変型 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-507421-0 |
C-CODE | 0045 |
ジャンル | ペット |
定価 | 2,310円 |
電子書籍 価格 | 2,310円 |
電子書籍 配信開始日 | 2024/06/27 |
書評
猫はやっぱり幸せを運ぶ
僕はよく「人間味がない」と言われてきたんです。昔はほんまに他人に興味がなくて。でも、猫という喋られへん動物相手には、こっちが理解する必要があるとわかってから、動物全般に対しても変わっていきました。母親にも、猫を飼いだしてからは人間っぽくなったと言われるし、人間にも優しくなったと思います。猫が変えてくれましたね。
僕が初めて猫を拾ったのはもう8年ぐらい前になるんですけど、猫を拾いだしてから仕事がうまくいくようになったし、今の奥さんとも知り合ったし、全部が全部順調に行くようになったんです。本にもありましたけど、僕にとって猫は、まさに「幸せを運ぶ」存在です。
この本の「はじめに」の、猫は飼い主に「『ここまではいいけど、これ以上はダメ』とはっきり一線を引きます」というところ、めちゃくちゃわかる!と思って。ここでもう掴まれました。これは猫飼ったことある人しかわからへんというか、普通は飼い主に対して線を引く動物なんていないと思うんですよ。でも猫は「なでてもいいけど顔埋めんのはお前ちょっとちゃうやろ」とか「今は違うやろ」っていう顔めっちゃしたりするんです。あ、外国の猫もそうなんや、世界共通なんやと思って嬉しくなりましたね。
猫が喉をゴロゴロ鳴らすのは25ヘルツで心が落ち着くと書いてあったのも、もうまさにその通りで。日々めちゃくちゃ感じてます。今日も朝から聞いて、ほんまに落ち着いたし。「やっぱりこれ落ち着いてるんや」って思いましたね。猫を飼って圧倒的に増えたのは、家での時間です。休みの日に無駄に外に出なくなった。前は休みに家にずっといると、その夜に丸一日何もやってないやんってなるのが嫌やって。もったいないというか、しんどかったんです。でも猫を飼いだしてからは、今日猫といたしな、と、家にいることが苦じゃなくなりました。昨日は夕方まで休みでしたが、ずっと家で猫を触って。暑くなったから長い毛の子はちょっと切ったりお腹の毛を剃ったり。あとは足りなくなったおやつを注文したりと、最高に充実してました。
うちには猫が5匹いるんですが、猫がリラックスして横になっているのを見ていると、拾ったときのことを思い出して、この子あんなドロドロやったけど今は満足してくれてんのかなと感じます。本人はもっとこうしてくれとかはあるかもしれないですけど、へそ天で寝てくれてるなとか、いびきかいて寝てるやんとか思ったときに、こんな猫がもっと増えたらなと思って、猫のための活動を続けています。時間を見つけて保護猫の譲渡会を開いたり、近所の保護猫カフェに物をあげたり、散歩の時に地域の猫を確認したり、お世話になってる保護猫の団体さんに物資を送ったりとか、できる範囲でですけど。不幸な猫が今も生まれてるんで、幸せな猫を少しでも生み出せるよう、僕がもうちょっと頑張ればできることをやっていきたい。
よく聞かれるので常々言ってるんですが、家で猫は飼えないけど、保護猫に興味ある人は、近所の保護猫カフェに行くのもいいと思うんです。そこでお金を使うとそのカフェや団体さんにお金が行きますよね。小さいことでもうまいこと歯車がかみ合って、助かる命があると思います。
いきなり猫を飼うのはハードルが高いと思うんですが、徐々にちっちゃい経験をしていけば何となく想像がつく。自分の家に猫がいることを想像できないからちょっと怖くなってるだけで、保護猫カフェとか行って、猫ってこんな感じですよ、とわかるとだいぶ身近になりますよね。猫を飼いたくても、仕事も忙しいし無理やろうって人も多いと思うんです。でもそれって何とかなるんですよね、結局。本でも猫アレルギーで無理だと思ってたのに飼えたという話がありましたけど、猫を飼いたい人はそうやって猫のいろんな話を知ることも、後押しになると思います。
もし猫たちと話せるとしたら、日々のご飯はどうですかっていうことだけ聞いてみたいですね。人生で昼と夜の2回のご飯と、たまのおやつを楽しみにしている子たちがいる。お出汁とるところから手作りしたこともあるんですが、全然食べなくてビタ止まりで。うちの子ね、駄目なんですよ。一缶1500円の高級なご飯を買っても、ほんま食べなくて。舌がもう貧乏やし、そこは僕に似てんのかな。でも、やっぱり保護したからには長生きしてもらうのが一番やなって常々思うし、健康に良いご飯をあげたい。だけど、そういう体に良さそうなカリカリを買っても美味しくなさそうなんですよね、正直な話。その一方で僕がリビングでジャンクフードを食べてるのがすごい申し訳なく思うんですよ。部屋についてはある程度満足してくれているのを感じるので、あとは美味しく健康に生きてもらいたい。こんな風に猫のことをいつも考えているおかげで、僕も真っ当な人間になれてきたのかな、と思いますね。
(あせい 芸人)
波 2024年7月号より
単行本刊行時掲載
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著者プロフィール
カリーナ・ヌンシュテッド
Nunstedt,Carina
大手出版社でライフスタイル雑誌を複数創刊、編集長として数々の書籍の刊行にも関わる。〈ハーパーコリンズ・ノルディック〉の社長を務めた後、夫の闘病を支えるためフリーランスに。2024年6月現在は作家・翻訳家として活躍。
ウルリカ・ノールベリ
Norberg,Ulrica
ヨガマスター、作家でジャーナリスト。1990年代にスウェーデンでヨガを広め、世界中で何百人ものインストラクターを養成。スウェーデン初のヨギラジの称号を得る。健康や癒しをテーマにした著書多数。
久山葉子
クヤマ・ヨウコ
翻訳家、エッセイスト。神戸女学院大学文学部卒。スウェーデン大使館商務部勤務を経てスウェーデン在住。訳書に『スマホ脳』『サルと哲学者』『メンタル脳』『最適脳』など多数。著書に『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』がある。