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今月の表紙の筆蹟は、カツセマサヒコさんと浅野いにおさん。

波 2024年7月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2024/06/27

発売日 2024/06/27
JANコード 4910068230744
定価 100円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第82回
【カツセマサヒコ『ブルーマリッジ』刊行記念】
[対談]カツセマサヒコ×浅野いにお/男子ブルーを語る

【蝉谷めぐ実『万両役者の扇』刊行記念】
[対談]加藤シゲアキ×蝉谷めぐ実/虚と実のあいだで魅せる、わたしたち

佐伯一麦『ミチノオク』
赤坂憲雄/さみしさという言葉

最果タヒ『恋と誤解された夕焼け』
吉増剛造/心音とともに心臓が歩いている宇宙の果てへの野の径を

ジュリー・オオツカ、小竹由美子 訳『スイマーズ』(新潮クレスト・ブックス)
白尾 悠/かけがえのない記憶を泳ぐ

カリーナ・ヌンシュテッド、ウルリカ・ノールベリ、久山葉子 訳『にゃんこパワー―科学が教えてくれる猫の癒しの秘密―』
亜生(ミキ)/猫はやっぱり幸せを運ぶ

初瀬 礼『報道協定』
西上心太/二つの誘拐を結ぶ失われた環は?

宇津木健太郎『猫と罰』
東 雅夫/尽きることなき、物語の魔力

城内康伸『奪還―日本人難民6万人を救った男―』
池上 彰/平時に威張っていた者ほど、非常時には役に立たない

下山 進『がん征服』
仲野 徹/がん治療の最前線で闘う三人の日本人研究者

田中誠司『奥山清行 デザイン全史』
鈴木正文/スペシャルなフェラーリをデザインした日本人の物語

高村正彦、兼原信克、川島 真、竹中治堅、細谷雄一『冷戦後の日本外交』(新潮選書)
大石 格/現実的平和主義者の「振り子」論
【短編小説】
阿刀田 高/左門町の夜

高田崇史/ひえもん奪り

【夏の特別座談会】
新潮文庫、夏の100冊はじめました
【私の好きな新潮文庫】
藤井青銅/ユーモアと二面性
 北 杜夫『どくとるマンボウ航海記
 デイモン・ラニアン、田口俊樹 訳『ガイズ&ドールズ
 ドナルド・E・ウェストレイク、木村二郎 訳『ギャンブラーが多すぎる
【今月の新潮文庫】
森 絵都『あしたのことば』
高橋久美子/明日の言葉が生まれるとき

【コラム】
松尾太加志『間違い学―「ゼロリスク」と「レジリエンス」―』(新潮新書)
松尾太加志/自分では間違いに気づかない

[とんぼの本]編集室だより

三枝昴之・小澤 實/掌のうた

三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第28回

崎山蒼志/ふと、新世界と繋がって 第22回
【連載】
杏/杏のパリ細うで繁盛記 第6回
中村うさぎ/老後破産の女王 第4回
三谷幸喜×ペリー荻野/もうひとつ、いいですか? 第3回
椎名 誠/こんな友だちがいた 第7回
エリイ(Chim↑Pom from Smappa!Group)/生時記 第23回
近藤ようこ 原作・梨木香歩/家守綺譚 第22回
古市憲寿/絶対に挫折しない世界史 第3回
内田 樹/カミュ論 第25回
坪木和久/天気のからくり 第11回
川本三郎/荷風の昭和 第74回
【中綴じ】
『【新版】アイスランド サガ』待望の復刊!
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、カツセマサヒコさんと浅野いにおさん。

◎ピエール・フォルデス監督のアニメ映画「めくらやなぎと眠る女」を観に早大での特別上映会(初夏の文芸フェス)へ。村上春樹さんの六つの短篇を玄妙かつ精緻に長篇として組み立てていて見応えあり。ロバート・アルトマンがカーヴァーの九つの短篇と一篇の詩から名作「ショート・カッツ」を撮った、あんな呼吸。
◎上映後のトークで村上さんは自作の映画化「バーニング」「ドライブ・マイ・カー」も挙げ、「短篇を映画にすると監督が足していく必要があるから面白くなる傾向がある。長篇の場合は引く作業になっちゃう」(大意)。これで思いだしたのが、つい先日読んだポール・シュレイダー(「Mishima」監督、「タクシードライバー」脚本)のインタビュー(IndieWire)で、「短篇からは一つの脚本しかできないだろうが、いい長篇なら何種類もの脚本を書ける。『最後の誘惑』(カザンザキス原作)は少くとも六つの脚本ができると思った。脚本化のコツは、まず小説の出来事を一つずつ書き出す。そしてそれぞれ(1)活気があるか(2)カッコいいか(3)いい感じかをチェックして、三項目全てが揃った場面を残すんだ。それだと四十分の映画にしかならないから何を足すかを考える。縮小でなく蒸留、引き算でなく足し算が重要」。百年の知己みたいな弁ですねえ。
◎村上さん曰く「唯一映画化してほしい長篇は『アンダーグラウンド』。あれは日本人のpsyche(サイキ)みたいなものの集積だから」。「ナッシュビル」のような映画になるといいなあと思いましたが、アルトマン亡き今、シュレイダーはどうでしょう。作風が違う?
◎ここで大森一樹監督「風の歌を聴け」を再見。青年監督らしい実直と青さが胸に沁みます。冒頭のデレク・ハートフィールドの文章の字幕を観て、デレクの研究者を訪ねた青山南氏の随筆を再読したくなりました。
▽次号の刊行は七月二十九日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。