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わたしたちの不完全な人生へ

ヴェロニク・オヴァルデ/著 、村松潔/訳

2,035円(税込)

発売日:2025/12/17

  • 書籍

誰にだってある。このままではいけないと、ふと運命を変えたくなるときが。

あまりにも不運な男は、ある日、「人生のギヤ」を切り替えようとする。「ボブ」と名乗る娘の思春期に悩み、仕事にも疲れ切ったシングルマザーは、酒に逃げるのをやめることにする。少女時代、親友との友情のために映画出演をやめた女性は、ふとあることに気づく。完璧には程遠い人生を受け止めて生きる愛すべき人々を描く連作短編集。

目次

オーギュスト・バラカの狼狽
“あなたは華々しい成功を収めるでしょう”
自分にたどり着くまでの道
未来から来た男と棘のある女
シュムール博士の奇妙な公現祭
天賦の才能の悪用について
水位の上昇
地区まちの女王

訳者あとがき

書誌情報

読み仮名 ワタシタチノフカンゼンナジンセイヘ
シリーズ名 新潮クレスト・ブックス
装幀 Makiko Tanoue/Illustration、新潮社装幀室/デザイン
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 144ページ
ISBN 978-4-10-590204-9
C-CODE 0397
ジャンル 文学・評論
定価 2,035円

短評

▼Tsumura Kikuko 津村記久子

なんとなく運の悪い男、彼に部屋を仲介する不動産業者の女性、その子ども、その兄、その兄の雇い主……といった、さまざまな普通の人たちの人生が平行に進みながら、時に小さく交錯する。不完全なわたしたちをその不完全さから救い出すのは不完全な誰かで、その運動は双方向かつ偶然のものでもある。彼らの営みは、細々とでも様々な方向に伸び、やがて一枚の群像を描いた絵画のようになる。いつもうまくいかないあなたは、それでも誰かの支えになっているかもしれない。それは完全であることと同じぐらい価値がある。


▼Le Point ル・ポワン誌

著者は運から見放された人たちを優しくからかうような目で見ている。そうやって「わたしたちの不完全な人生」に乾杯しようとしているかのように。


▼Le Monde ル・モンド紙

ヴェロニク・オヴァルデは、この滑稽でちょっと不思議な短編集で、私たちを魔法にかける。


▼Ouest-France ウエスト・フランス紙

滑稽で、ピリリと皮肉の効いた、軽やかな筆致で描かれているが、これが本物の現実である。


▼La Vie ラ・ヴィ誌

通りで、あるいは鏡のなかで目にする横顔を、あまくほろ苦く、絶望することのない筆致で素描するのに、ヴェロニク・オヴァルデの右に出る者はいない。

著者プロフィール

1972年生まれ。2008年、『Et mon coeur transparent』でフランス文化テレラマ賞を受賞。『Ce que je sais de Vera Candida』は、2009年に高校生のルノード一賞、フランス・テレビジョン賞、2010年「ELLE」読者賞受賞。2024年、『わたしたちの不完全な人生へ』でゴンクール短編小説賞受賞。

村松潔

ムラマツ・キヨシ

1946年、東京生まれ。訳書にイアン・マキューアン『初夜』『ソーラー』『未成年』『恋するアダム』、シーグリッド・ヌーネス『友だち』、ジョン・バンヴィル『いにしえの光』、T・E・カーハート『パリ左岸のピアノ工房』、ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』、ジャン・コクトー『恐るべきこどもたち』、マリ=フィリップ・ジョンシュレー『あなたの迷宮のなかへ カフカへの失われた愛の手紙』、ミリアム・ルロワ『わたしがナチスに首をはねられるまで』など。

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