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初めて語る、世界で通用する仕事術。

ワダエミ―世界で仕事をするということ―

ワダエミ/著 、千葉望/著

1,728円(税込)

本の仕様

発売日:2013/05/30

読み仮名 ワダエミセカイデシゴトヲスルトイウコト
シリーズ名 とんぼの本
発行形態 書籍
判型 B5判変型
頁数 126ページ
ISBN 978-4-10-602246-3
C-CODE 0377
定価 1,728円

「マネージャーはいない」「肩書きは関係ない」「孤独はインプットの時間」。黒澤明監督の「乱」でアカデミー賞受賞後、いまもピーター・グリーナウェイや張芸謀ら名だたる監督に敬愛され、映画やオペラの大作を手がける衣装デザイナーが語る仕事術。生れ育った京都のこと、名演出家だった夫・和田勉との関係など「オフ」の話も。

著者プロフィール

ワダエミ ワダ・エミ

衣装デザイナー。1937年京都府生れ。京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)西洋画科卒業。卒業後は演劇の舞台美術や衣装デザインを手がける。1972年、アメリカ映画「マルコ」で衣装デザインを担当。以後、世界各地で映画、演劇、オペラなどの衣装デザイナーとして活躍。1986年、映画「乱」(黒澤明監督)でアカデミー賞最優秀衣装デザイン賞、1993年、オペラ「エディプス王」でエミー賞最優秀衣装デザイン賞など、受賞歴多数。代表作に「利休」(勅使河原宏監督)、「宋家の三姉妹」(メイベル・チャン監督)、「枕草子」(ピーター・グリーナウェイ監督)、「HERO」(チャン・イーモウ監督)など。

千葉望 チバ・ノゾミ

ライター。1957年岩手県生れ。早稲田大学文学部(日本文学専修)卒業。佛教大学大学院修了(仏教文化専攻)。雑誌「AERA」などで人物インタビューやルポを執筆。著書に『古いものに恋をして。―骨董屋の女主人たち―』(里文出版)、『陰暦暮らし』(武田ランダムハウスジャパン)、『世界から感謝の手紙が届く会社―中村ブレイスの挑戦―」(新潮文庫)、『共に在りて―陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日―』(講談社)など。

書評

グローバルなひと。

井出幸亮

 グローバル化の時代、海外で活躍する「世界の○○」……といったフレーズは紋切型だが未だによく使われる。しかしそうした表現自体が「“日本”と“それ以外”」という「国境」の存在をより際立たせることで一向にグローバル化の進まぬこの国の特殊な状況を露呈させているわけで、またそんな内向きな日本人の姿を例えて揶揄する「ガラパゴス」という言葉を日本人が日本人に向かって投げつける、というからもはや訳がわからない。しかもそうした際に語られる「世界」とは多くの場合、「欧米」という前時代的カテゴライズで示される地域の提喩としてであり、またそこで挙げられる人物は常に日本国内で認知が高く確立された分野で活動する者に限られる。しかし、当然ながら実際には「日本の外」で一定以上の評価を得て活躍している日本人はいくらもいる。76歳を過ぎた今も各国からの仕事のオファーが途切れることなく続き、世界中を飛び回り活躍する衣装デザイナーのワダエミはまさに「グローバル」な規模で仕事をするアーティストの筆頭と言える一人だ。本書『ワダエミ―世界で仕事をするということ―』は黒澤明「乱」(1985年)で伝統的技術を換骨奪胎した大胆な配色の陣羽織の衣装で米アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞し、その後、勅使河原宏やピーター・グリーナウェイ、チャン・イーモウら錚々たる名監督の作品でその手腕を発揮してきたワダの仕事と人生におけるスタイルと哲学に迫る一冊。脚本を読み込み、世界中から資料を集めて吸収し、一流の職人との協同を通じて試作を繰り返す。妥協を許さないその徹底的な仕事ぶりと独立した女性としての生き方は、戦前の京都の裕福な一族の元に生まれ、恵まれた文化的環境とともに戦後復興から高度成長へと至る自由な空気の中で育まれた「戦後モダニズム」の賜物と言えるだろう。
 ワダと同じく戦前の関西の豊かな経済的・文化的土壌の中でのびのびと育ち、やがてその爆発的な創造性を開花させた「マンガの神様」の原画を紐解き、その執筆の詳細にフォーカスした『手塚治虫 原画の秘密』から伝わるのは、こちらも鬼気迫る勢いで画用紙に向かい、ひたすら執拗に「描き直し」を続ける「マンガの鬼」とも言うべきアーティストの姿である。過度の肉体的酷使により1989年、齢60にして病に倒れた手塚がもしその後も長く生き続けていれば、国外において現在よりもっともっと高く評価される「世界のテヅカ」になっていたのだろうか? 21世紀に入ってなお旺盛な活躍を続けるワダエミの姿に、そんな妄想もまた掻き立てられてしまう。

(いで・こうすけ 編集者)
波 2013年6月号より

目次

はじめに 物語のなかへ ワダエミ
EMI WADA IN BEIJING
アトリエは北京
アパートメントでの過ごし方
急な依頼
「鳥の巣」へ、本番へ
WORKS OF EMI WADA
乱/イメージのマンダラ/竹取物語/利休/夢/プロスペローの本/エディプス王/宋家の三姉妹/HERO/レストレス~中天~/ザ・ファースト・エンペラー/牡丹亭/ウォーリアー&ウルフ/トゥーランドット/青龍会
HISTORY OF EMI WADA
京都育ち
世界へ
実りのとき
LIFE STYLE OF EMI WADA
家/インテリア/ファッション/車/旅行/音楽/美術/煙草/食事/おもてなし/健康
EMI WADA TALKS ABOUT EMI WADA
発想/読書/契約/柔軟性/世界/協同作業/予算/つながり/マネジメント/決断/プライド/職人/環境/京都/時代/結婚/家族/友人/孤独/若者/お金/生死
おわりに ワダさんが仕事について語るとき 千葉望
ワダエミ年譜

まとめテーマでくくる 本選びのヒント

担当編集者のひとこと

最初にワダエミさんにお会いしたのは、長野県の別荘にお邪魔したとき。ワダさん自身が設計して、毎週通ってチェックしながら建てたという別荘は、各部屋のアンティークランプから箆(へら)跡を残した壁の塗り方まで、ワダさんの美意識が行き届いた場所でした。お会いする前は、ワダさんは華やかで厳しい雲の上の人……というイメージでしたが、すごく話しやすく、ホッとしたのを覚えています。それもそのはず、あれだけ大きな仕事をしていても、組織化せず、マネージャーすらつけず、75歳という年齢も感じさせないフットワークの軽さで、単身でどこにでも乗り込んでいく人なのです。それができるのも、多くの仕事を通して、信頼できる「個人」を見つけているから。本書でも「ワダさんのことなら喜んで」と、多くの方に協力をいただきました。

共著者のフリーライター・千葉望さんも、雑誌の取材を通して知り合った、ワダさんが信頼する人のひとりです。今回は北京の仕事場からのレポートや、ワダさんの作品論など、千葉さんならではの視点で執筆していただきました。

箔をつける目的で海外をめざすクリエイターも多いなか、真に海外で評価され、活動を続けているワダさん。たとえばチャン・イーモウ監督『HERO』のように大きな話題になった作品のあとには、どうしても「あれと同じものを!」という依頼が増えるそうです。それでもワダさんが選ぶのは、新しいこと、面白いことができそうな作品。同じことは二度としない。そのチャレンジ精神、私達も見習いたいですね!

2013/05/30

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