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ベルリン・フィル全盛時代の猛者たちが初めて語る、二大巨匠、真実の姿!

証言・フルトヴェングラーかカラヤンか

川口マーン惠美/著

1,430円(税込)

本の仕様

発売日:2008/10/24

読み仮名 ショウゲンフルトヴェングラーカカラヤンカ
シリーズ名 新潮選書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 286ページ
ISBN 978-4-10-603620-0
C-CODE 0373
ジャンル 音楽
定価 1,430円

ベルリン・フィル全盛時代の猛者たちが、初めて答えてくれた本格的インタビュー集。プロ中のプロが語る芸談義の真髄、共同作業した音楽家でなければ分からないマエストロの秘密。臨場感溢れる語り口は、音楽ファンならずとも惹き込まれること請け合い。二十世紀最大の巨匠は、果たしてどちらなのか!?

著者プロフィール

川口マーン惠美 カワグチ・マーン・エミ

大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。ドイツ・シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科卒業。シュトゥットガルト在住。著書に『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)、『母親に向かない人の子育て術』(文春新書)などがある。

書評

貴重な証言の掘り起こし

中野雄

 評論家、学者、愛好家――専門知識の深浅も職業も問わない。クラシック音楽に愛情と関心を抱き、この芸術分野に携わる人間の生き方に、「もう一歩踏み込みたい」という好奇心と探究心を持つ者にとって、この書物は間違いなく第一級のドキュメントである。
 だが音楽を「美しい」と思い、その仕事に携わる人の心も「美しいだろう」と憧れを抱く読者にとっては、著者がストレートに伝える元ベルリン・フィル楽団員の言葉が人によって正反対で、しかもそれぞれが説得力を持つため、読書中に眩暈を起こし、当惑や戸惑いを覚える向きもあろうかと思われる。しかしその点こそが本書の面白さなのである。『選書』という普及本の体裁をとってはいるものの、将来にわたって、研究者にとっても立派な一次資料たりうる価値を、この書物は持っている。著者は若い頃、ピアニストを目指したこともあったらしいが、専門家振らない謙虚で、素直な筆致が読者にとっては嬉しい。
 クラシック・コンサートの華=オーケストラの指揮者で、これからも語り継がれ、遺された録音が愛好家によって聴き続けられていくであろう二〇世紀の巨匠の筆頭格がアルトゥーロ・トスカニーニとヴィルヘルム・フルトヴェングラー、そしてヘルベルト・フォン・カラヤンである。この三人、一応生年順に名前を挙げてはみたが、「好み」は別として、順位づけは無意味だし不可能だろう。
 第二次世界大戦をはさんで、録音・再生のメディアが重くて割れやすいSPレコード(演奏時間・片面四分前後)とビニール製のLPレコード(演奏時間・片面約三十分)初期(モノラル)の時代、音楽ジャーナリズムと愛好家の間では「トスカニーニかフルトヴェングラーか」という議論が囂しかった。そしてステレオLPからCDへと時代が移り変わるにつれ、「フルトヴェングラーかカラヤンか」という話題が賑やかに交わされるようになった。
 前者については二人の巨匠の死後、約半世紀の歳月を経て、「トスカニーニもフルトヴェングラーも」という、ポジティヴな遺産顕彰の仕方で結論が定まったとみていい。
 しかし後者、特にカラヤンについてはまだ死後十九年ということもあって、専門家・愛好家を含め、「フルトヴェングラーもカラヤンも」という意見は、半数にも満たないのではなかろうか。とにかく本書に登場する十一人の一流音楽家にしてからが、同じステージやリハーサルでの指揮者カラヤンの一挙手一投足に対して正反対の理解をし、正反対の評価をしているのであるから。
「君たちは私のうしろにいてくれる。でも、ナイフを構えてね」と、自分のオーケストラの楽団員に言わなければならなかった巨匠、晩年の心境はいかばかりであったろう。
 貴重な証言の掘り起こし、見事である。

(なかの・たけし 音楽プロデューサー)
波 2008年11月号より

目次

プロローグ
第一章 テーリヒェン氏との対話
第二章 バスティアーン氏との対話
第三章 ハルトマン氏との対話
第四章 ピースク氏との対話
第五章 テーリヒェン氏との対話 その二
第六章 ハルトマン氏との対話 その二
第七章 ゲアハルト氏との対話
第八章 ライスター氏との対話
第九章 ヴァッツェル氏との対話
第十章 ヴァインスハイマー氏との対話
第十一章 ツェッペリッツ氏との対話
第十二章 ハルトマン氏との対話 その三
第十三章 フィンケ氏との対話
第十四章 フォーグラー氏との対話
エピローグ

カデンツァ1

カデンツァ2

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担当編集者のひとこと

ベルリン・フィル全盛期の猛者たちが語る、二大巨匠、真実の姿!

 前世紀を代表する二人の巨人指揮者、フルトヴェングラーとカラヤンにまつわる書籍は、山ほどあります。しかし残念なことに多くの本が、「群盲、象を撫でる」陥穽に嵌っているのです。本書のセールス・ポイントは、評論家の描く類型的な「評伝」もしくは「指揮者論」とは一線を画したオーケストラ・メンバーの「証言集」であることです。プロ中のプロたちが、初めて「かつての自分たちのボス」について語ってくれたのです。エキサイティングな内容になったのも自然でしょう。ここには、使い古された美辞麗句や紋切り型の批評は、どこを探しても見当たりません。共同作業した音楽家だからこそ見えるマエストロの音楽性と人間性。たとえば、一見矛盾する諸相を併せ持つカラヤンのパーソナリティも、複数の楽員が各々の見地から活写することで、複雑な内面を抱える一人の芸術家の姿として描き出されます。いささか自画自賛に聞こえることでしょうが、これほど面白い「クラシック音楽の本」はちょっと他に見当たりません。クラシック音楽好きはもちろん、これまであまり親しんで来られなかった方々にも、強くお勧めしたい一冊です。

2008/10/24

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