徳川将軍家十五代のカルテ
792円(税込)
発売日:2005/05/16
- 新書
- 電子書籍あり
『篤姫』では描けなかった十三代家定の真の病状とは……。医学的側面から将軍家を分析、斬新な切り口が人気を呼び10万部突破!
健康オタクが過ぎた家康、時代劇とは別人像「気うつ」の家光、内分泌異常で低身長症の綱吉、飲酒が高じて食道がんで逝った光圀、そして実は三人も将軍位に就いた障害者……。芝・増上寺にある徳川家霊廟で発掘された遺体や文献をもとに歴代将軍を最新医学で診断してみると――。彼らはどんな養生法を心掛けていたのか、そして死因は、さらに世継ぎをもうけるための苦心とは? 史実には顕れぬ素顔が見えてくる。
目次
プロローグ――歴代将軍の身長計測
家 康――初代将軍(一五四二~一六一六)死因・胃がん
秀 忠――二代将軍(一五七九~一六三二)死因・胃がん
結城秀康――家康の次男(一五七四~一六〇七)死因・梅毒
松平忠輝――家康の六男(一五九二~一六八三)死因・老衰
家 光――三代将軍(一六〇四~一六五一)死因・脳卒中(高血圧)
水戸光圀――天下の副将軍(一六二八~一七〇〇)死因・食道がん
家 綱――四代将軍(一六四一~一六八〇)死因・未詳
綱 吉――五代将軍(一六四六~一七〇九)死因・はしかによる窒息
家 宣――六代将軍(一六六二~一七一二)死因・インフルエンザ
家 継――七代将軍(一七〇九~一七一六)死因・急性肺炎
吉 宗――八代将軍(一六八四~一七五一)死因・再発性脳卒中
家 重――九代将軍(一七一一~一七六一)死因・尿路障害(脳性麻痺)
家 治――十代将軍(一七三七~一七八六)死因・脚気衝心(心不全)
家 斉――十一代将軍(一七七三~一八四一)死因・急性腹症
家 慶――十二代将軍(一七九三~一八五三)死因・暑気当たり
家 定――十三代将軍(一八二四~一八五八)死因・脚気衝心(脳性麻痺)
家 茂――十四代将軍(一八四六~一八六六)死因・脚気衝心(心不全)
慶 喜――十五代将軍(一八三七~一九一三)死因・急性肺炎
将軍と正室・側室の平均寿命
あとがき
参考文献
参考文献
書誌情報
読み仮名 | トクガワショウグンケジュウゴダイノカルテ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610119-9 |
C-CODE | 0221 |
整理番号 | 119 |
ジャンル | ノンフィクション、日本史 |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/01/27 |
蘊蓄倉庫
九代家重と十三代家定……
本書の中で、ある興味深い推測がなされています。それは九代家重、十三代家定の二人が重度の障害者だったのでは、というものです。
家重は“暴れん坊将軍”吉宗の嫡子でした。名君の誉れ高い父に比べ彼は「病弱で暗愚」と文献ではされています。しかしどうも調べてみると、家重はアテトーゼ・タイプの脳性麻痺が疑われるのです。この症状は言語障害や不随意運動などの障害はあるのですが、決して知的に劣っているわけではありません。むしろ、知的に優れた脳性麻痺者ではないかと検証しています。
一方の家定は、乳幼児期に患った高熱による後遺症の痙性麻痺ではないかと診断します。米国公使ハリスの日記の記述にも、その典型的な症状が描かれているほどでした。
表には現れぬ江戸期の裏面史満載の本書、是非ご高覧のほど――。
本書の中で、ある興味深い推測がなされています。それは九代家重、十三代家定の二人が重度の障害者だったのでは、というものです。
家重は“暴れん坊将軍”吉宗の嫡子でした。名君の誉れ高い父に比べ彼は「病弱で暗愚」と文献ではされています。しかしどうも調べてみると、家重はアテトーゼ・タイプの脳性麻痺が疑われるのです。この症状は言語障害や不随意運動などの障害はあるのですが、決して知的に劣っているわけではありません。むしろ、知的に優れた脳性麻痺者ではないかと検証しています。
一方の家定は、乳幼児期に患った高熱による後遺症の痙性麻痺ではないかと診断します。米国公使ハリスの日記の記述にも、その典型的な症状が描かれているほどでした。
表には現れぬ江戸期の裏面史満載の本書、是非ご高覧のほど――。
掲載:2005年5月25日
著者プロフィール
篠田達明
シノダ・タツアキ
1937年愛知県生まれ。医師にして作家。名古屋大学医学部卒業。心身障害児医療を専門とする。愛知県心身障害者コロニー・こばと学園園長を務め、現在、同学園の名誉総長。その一方で41歳から小説を書き始め『大御所の献上品』や『法王庁の避妊法』が直木賞候補となる。医学を題材にユニークな歴史ものを得意とする。著書に『モナ・リザは高脂血症だった』『徳川将軍家十五代のカルテ』『歴代天皇のカルテ』(いずれも新潮新書)など。
関連書籍
この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。
感想を送る