サザエさんと株価の関係―行動ファイナンス入門―
748円(税込)
発売日:2006/02/17
- 新書
- 電子書籍あり
サザエさんの視聴率が下がると、株価は上がる! 大和総研チーフクオンツアナリストが明かす、株価を動かす意外なファクターとは?
「『サザエさん』の視聴率が上がると株価は下がる」「イヌの人気が高まると株価も上がる」「観覧車が増えると地域経済は活性化する」「不景気に強いのは音楽よりも映画」……経済の分析に人間の心理、行動をファクターとして取り入れた「行動ファイナンス」。その手法をもとに大和総研チーフクオンツアナリストが意外な法則の数々を明らかにする。投資家はもちろん、経済オンチにも楽しめる行動ファイナンス入門。
主要な参考文献
コラム
(1)相関係数
(2)行動ファイナンス
(3)地域経済
(4)ポートフォリオ
(5)ヘッジファンド
(6)長期投資は本当に儲かる?
(7)ROEとは何か
(8)季節の話
(9)トップの年齢
書誌情報
読み仮名 | サザエサントカブカノカンケイコウドウファイナンスニュウモン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610154-0 |
C-CODE | 0233 |
整理番号 | 154 |
ジャンル | 金融・ファイナンス、銀行・金融業、証券・金融市場 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/02/24 |
蘊蓄倉庫
企業文化のいちばんの特徴は、表向きの経営理念よりも細部にあらわれるのかも知れません。かつてのカネボウでは、役員会は昼に、社費で5000円の鰻重を食べながらおこなっていたそうです。一方のキヤノンでは、毎朝八時から「役員朝会」なるものがあって、重要な経営の決定はここで決まっていく。多摩川の川べりにある本社では、役員といえど昼は自腹で社食。キヤノンの辞書で「重役出勤」と引けば、「朝早く出社すること」と出ているようです。
担当編集者のひとこと
コジツケではありません
本書ではまず国民的人気アニメ「サザエさん」の視聴率と株価の関係についての調査結果が発表されています。著者である大和総研のアナリスト、吉野貴晶さんによれば、両者には強い負の相関関係があるそうです。つまり、視聴率が上がれば東証株価指数は下がり、視聴率が下がれば、東証株価指数が上がるという傾向があるということです。
吉野さんは他にも景気と関連する様々なファクターを発見しています。
イヌの人気、観覧車の台数、宝くじの売り上げ、映画の興行成績、梅雨、月の満ち欠け、花粉症の流行等々。 こうした一見、景気とは関係が無さそうなものと株価との関係を、吉野さんはあくまでも真面目に証明しています。
「そんなのコジツケじゃないの?」「経済はもっと合理的に動くのではないか」と思われるかもしれません。しかし、私たちの消費行動はそもそもそんなに合理的な動機のみで決定しているでしょうか。少なくとも私はそうではありません。
たとえば花粉症がひどいときに、あえて高級な店で外食しようとは思いません。
「もう少し鼻が良くなったら食べに行こう」
と思います。その他の行動も緩慢、怠惰になっていきます。
ということは花粉の飛散が激しいときには、日本中に同じような人がたくさんいて、「しばらくはおとなしくしていよう」と思っていても不思議はないし、それは大きな規模でも景気に影響しているのではないでしょうか。
「サザエさん」の視聴率と株価がなぜ関係しているかについても、本書では合理的な説明がなされています。詳細はそちらをご覧ください。
2006年2月刊より
2006/02/20
著者プロフィール
吉野貴晶
ヨシノ・タカアキ
1965(昭和40)年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。筑波大学大学院修士課程修了。大和総研投資戦略部チーフクオンツアナリスト。著書に『株式投資のための定量分析入門』がある。日経金融新聞、週刊エコノミスト調査による、クオンツアナリスト人気ランキングで四年連続一位。