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大江戸曲者列伝―幕末の巻―

野口武彦/著

792円(税込)

発売日:2006/02/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

天皇、将軍、火消し、スパイ、尊王、佐幕、開国、攘夷。天上天下右往左往、歴史はドタバタで作られる。

ペリーに抱きついたマジメ学者、アメリカ女性にもてた少年通訳、先祖の悪名が気になる大名、殺しを愛した勤王家、机上作戦では必勝の指揮官、銃弾に散った旗本、クリカラモンモンの歩兵差図役……など三十八人。歴史変動は万人が避けられぬ巨大災害だ。切羽詰まった現場のナリフリ構わぬ姿にこそ人の器が出る。いかに土壇場を切り抜けたか、あるいは切り抜け損なったか。目が離せない幕末ドタバタ人物誌。

目次
第一章 急 転
ことわられた密航――――吉田松陰
ペリーに抱きついた男――松崎純倹
能ある鷹は爪を剥がす――岩瀬忠震
口べたの老中――――――堀田正睦
初めは処女のごとく―――梁川紅蘭
人気者トミー――――――立石斧次郎
首を失った元首―――――井伊直弼
不幸は友――――――――大谷木醇堂
虫歯の内親王――――――皇女和宮
ノーといえた遊女――――岩亀楼喜遊
第二章 狂 乱
殺しのライセンス――――岡田以蔵
昔はテロを辞さず――――伊藤博文
幕末の二重スパイ――――大庭恭平
天下は舌先三寸―――――清河八郎
学習院過激派――――――中山忠光
花のおパリ―――――――池田長発
先祖雪辱――――――――田沼意尊
本当のワル―――――――青木弥太郎
揉みくちゃ外交官――――山口直毅
泥まみれの赤備え――――井伊直憲
英霊の帰還―――――――松平友之丞
旗本俸禄半減――――――大久保彦左衛門
龍馬を斬った男―――――今井信郎
第三章 残 影
クーデター大好き――――岩倉具視
江戸城に放火せよ――――伊牟田尚平
軍師の末裔―――――――竹中重固
お小姓は見た――――――徳川慶喜
大坂城を燃した男――――妻木頼矩
神戸の人柱―――――――滝善三郎
薩摩の工作員――――――益満休之助
秀才指揮官―――――――大鳥圭介
傲慢の報い―――――――世良修蔵
最後の江戸町奉行――――佐久間信義
米百俵の原因――――――河井継之助
北軍のよしみ――――――榎本武揚
老人隊奮戦す――――――佐藤与左衛門
上官はクリカラモンモン―梶原雄之助
福祉を食いつぶす――――井上馨
あとがき

年表
人名索引

書誌情報

読み仮名 オオエドクセモノレツデンバクマツノマキ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-610156-4
C-CODE 0221
整理番号 156
ジャンル ノンフィクション、日本史
定価 792円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2011/12/28

蘊蓄倉庫

江戸の役人の心意気

 今の都知事と警視総監という首都の要を担っていた江戸町奉行が、そのお役目をいよいよ新政府に引き渡すことになったのが、慶応四年五月二十一日。奉行所には、いざという時のための町会所の積立金と、犯罪捜査など様々に必要だったと思われる裏金一万両などが残されていたそうです。中には不安な先行きに備えて着服しようという意見もあったそうだが、それを潔しとせずすべて新政府に引き渡しました。とにかくこの引き継ぎの見事さは語り草となったそうです。なにやら、毎日ニュースを賑わせているお役人衆に聞かせたい話ではないですか。
掲載:2006年2月24日

著者プロフィール

野口武彦

ノグチ・タケヒコ

1937(昭和12)年東京生まれ。文芸評論家。早稲田大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程中退。神戸大学文学部教授を退官後、著述に専念する。日本文学・日本思想史専攻。著書に『大江戸曲者列伝』『幕末バトル・ロワイヤル』『幕末気分』『幕府歩兵隊』など。

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