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ある北朝鮮兵士の告白

韓景旭/著

748円(税込)

発売日:2006/07/19

  • 新書
  • 電子書籍あり

盗んだ。逃げた。襲った。世界一奇妙な軍隊生活の実態!

食料が足りなければ農家を襲い、肉が食いたければ豚を盗む。上官に取り入るには賄賂を渡す。恋に破れた男は大量殺人のあげくに自爆死。脱走した兵士は自動車強盗を働く……。朝鮮族の研究者である筆者が中国で出会った脱北者から聞いたエピソードの数々。立身出世の夢を持って入隊した軍隊での生活は想像を絶するものだった。一人の北朝鮮人兵士が十年にわたる軍隊生活のすべてを包み隠さず語りつくした貴重な記録。

目次
はじめに
1 憧れの軍隊生活
ついに果たした軍隊入り。私を待っていたのは想像を絶する過酷な生活だった。
2 両親の話
乞食から身を起して大学まで出た父。地主から身を落とし、苦労し続けた母。
3 新兵訓練始まる
口から泡を吹くものが続出する過酷な訓練。我々は常に空腹だった
4 兵士としての第一歩
軍服泥棒の濡れ衣を着せられた私は故郷に逃げ帰ったが、居場所はなかった。
5 何もかも盗んで調達した
豚、トウモロコシ、カボチャ……。食料は襲撃して手に入れるのが基本。
6 抜擢、昇級
士官学校で食器盗難事件を解決して私の評価は高まった。
7 農場を襲う
出世しても悩みはいつも物不足。解決するには泥棒しかない。
8 親友の死
腕っ節が強いのに涙もろかった親友の悲しい死はいまでも忘れられない。
9 命がけの高速道路建設
強行スケジュールの突貫工事に兵士は疲れきった。そして大惨事が……。
10 楽しき副業組
食料調達は楽しかった。野菜を育てたり、メンタイを分けてもらったり……。
11 砕け散った夢
手が届きそうだったエリートへの道は、突然閉ざされてしまった。
12 脱営、そして放浪と強奪の日々
失意のあまり軍隊を飛び出した私は乱暴狼藉の限りを尽くした。
13 一兵士として再出発
やはり軍隊に幸せはない。目撃した若きエリートたちの悲劇。
14 故郷
上官とともに帰郷したものの、そのおかげで両親は犬を殺すことになる。
15 初恋と爆発
軍人の恋は成就しづらい。失意の果てに大量殺人を犯す兵もいた。
16 失望
炭鉱に送り込まれた私には希望は残されていなかった。
17 夢の国、中国に行く
犬ですら満腹だというその国を目指し、私は川へ飛び込んだ――。
18 脱北のノウハウ
密かに、そして周到に――それが警備兵買収のコツだ。
注

書誌情報

読み仮名 アルキタチョウセンヘイシノコクハク
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610174-8
C-CODE 0231
整理番号 174
ジャンル 文学・評論、軍事、社会学、ノンフィクション、地理・地域研究
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/02/24

蘊蓄倉庫

北朝鮮の「セイコー」

『ある北朝鮮兵士の告白』によると、北朝鮮の軍隊では、防寒手袋のことを「セイコー」と呼んでいたそうです。日本の時計メーカー、セイコーの腕時計は同国では高級かつ貴重な品でした。そこから転じて、軍隊では希少価値のあった防寒手袋をこう呼ぶようになったそうです。セイコーさんにとっては名誉というよりはいい迷惑でしょう。

掲載:2006年7月25日

担当編集者のひとこと

これが軍隊なのか?

『ある北朝鮮兵士の告白』の原稿を最初に著者の韓景旭さんからお預かりして読んだときの感想は次の2つでした。
「これは実話なのだろうか?」
「これは本当に軍隊なのだろうか?」
出てくるエピソードがあまりにも常識を超えたものばかりだったからです。 ・食料が足りなくなると、近所の農場に豚を盗みに行った。
・食器を紛失したので、近所の自動車学校に盗みに行った。
・いろいろあって嫌になって軍隊を脱走して放浪するが、結局頭を下げてもう一度入れてもらった。
・女性兵士との恋愛がばれて降格処分に遭った男性兵士が、銃を乱射して女子兵を射殺したのちに、戦車を乗っ取って大暴れした挙句に自爆した。
 
 いずれも現代の普通の軍隊では考えられないような話でした。何だか民話か怪談のような感じすらしました。
 これらの話を著者の韓さんは中国で出会った一人の脱北者から根気良く長時間聞き取ったのです。彼の好物でもある茹で卵をつまみにして酒を飲みながら、ということもあったそうです。
 残念ながら、この脱北者とは現在連絡が取れなくなっています。韓さんは、またいつか茹で卵を肴にして、「彼」と話ができる日が来ることを願っています。

2006/07/01

著者プロフィール

韓景旭

カン・ケイキョク

1966年、中国東北部に生まれる。高校卒業後、留学のために来日。中京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。1998年から福岡市に移住。現在は西南学院大学国際文化学部教授。著書に『韓国・朝鮮系中国人=朝鮮族』(中国書店)などがある。

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