SF魂
814円(税込)
発売日:2006/07/19
- 新書
7月に亡くなったSF界の巨星が半生を綴った自伝。SF黄金時代の思い出、日本沈没秘話から文明論、宇宙論まで、縦横無尽に語る。
『復活の日』『果しなき流れの果に』『継ぐのは誰か?』――三十一歳でデビューするや、矢継ぎ早に大作を発表し、『日本沈没』でベストセラー作家となった日本SF界の草分け的存在。高橋和巳と酒を酌み交わした文学青年が、SFに見た「大いなる可能性」とは何か。今なお輝きを失わない作品群は、どのような着想で生まれたのか。そして、意外に知られていない放送作家やルポライター、批評家としての顔――。日本にSFを根付かせた“巨匠”が語る、波瀾万丈のSF半生記。
目次
はじめに
第1章 作家「小松左京」のできるまで
『SFマガジン』との出会い
戦争がなければSF作家にはなっていない
昭和初期の大衆文化を浴びて
中学時代のあだ名は「うかれ」
軍需工場で迎えた八月十五日
闇市とジャズバンド
輝かしき三高の一年
発作的左翼学生の挫折
我が友・高橋和巳
湯川秀樹博士の謎かけを解く
一万二千枚の漫才台本
最初で最後の直木賞候補
戦争がなければSF作家にはなっていない
昭和初期の大衆文化を浴びて
中学時代のあだ名は「うかれ」
軍需工場で迎えた八月十五日
闇市とジャズバンド
輝かしき三高の一年
発作的左翼学生の挫折
我が友・高橋和巳
湯川秀樹博士の謎かけを解く
一万二千枚の漫才台本
最初で最後の直木賞候補
第2章 「SF界のブルドーザー」と呼ばれた頃
吉田健一氏の言葉が励みに
新妻に書いた『日本アパッチ族』
福島正実氏と『復活の日』
日本SF作家クラブ誕生
「エリアを行く」と京大人脈
「万国博を考える会」発足
米朝師匠とラジオ出演
十億年に挑んだ『果しなき流れの果に』
時速七枚の速書き
新妻に書いた『日本アパッチ族』
福島正実氏と『復活の日』
日本SF作家クラブ誕生
「エリアを行く」と京大人脈
「万国博を考える会」発足
米朝師匠とラジオ出演
十億年に挑んだ『果しなき流れの果に』
時速七枚の速書き
第3章 万博から『日本沈没』へ
大阪万博に巻き込まれる
未来学と『未来の思想』
SF青春小説『継ぐのは誰か?』
国際SFシンポジウム
『歴史と文明の旅』という大仕事
『日本沈没』で書きたかったこと
「もう刷らないでくれ!」
第二部の構想
未来学と『未来の思想』
SF青春小説『継ぐのは誰か?』
国際SFシンポジウム
『歴史と文明の旅』という大仕事
『日本沈没』で書きたかったこと
「もう刷らないでくれ!」
第二部の構想
第4章 『さよならジュピター』プロジェクト
『ゴルディアスの結び目』から『女シリーズ』まで
「日本を沈めた男」の日本論
空前のSF雑誌四誌時代
SF作家の知恵を結集
八百枚の絵コンテ
『首都消失』で日本SF大賞受賞
黄河、ボルガ、ミシシッピーへの旅
花博総合プロデューサー
「日本を沈めた男」の日本論
空前のSF雑誌四誌時代
SF作家の知恵を結集
八百枚の絵コンテ
『首都消失』で日本SF大賞受賞
黄河、ボルガ、ミシシッピーへの旅
花博総合プロデューサー
終 章 宇宙にとって知性とは何か
還暦と『虚無回廊』
阪神大震災の衝撃
宇宙にとって生命とは何か、知性とは何か
SFこそ文学の中の文学である
阪神大震災の衝撃
宇宙にとって生命とは何か、知性とは何か
SFこそ文学の中の文学である
小松左京年譜
ミニ・ライブラリー
ミニ・ライブラリー
書誌情報
読み仮名 | エスエフダマシイ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610176-2 |
C-CODE | 0295 |
整理番号 | 176 |
ジャンル | 文学・評論、自伝・伝記 |
定価 | 814円 |
蘊蓄倉庫
新書もヒントになった小松氏の創作秘話
小松左京氏の代表作の一つ『復活の日』は、生物兵器による新種のインフルエンザの流行によって、人類が滅亡の危機に瀕するという作品ですが、その創作に当たっては当時の「新書」もいろいろ貢献したようです。例えば、ウイルスの変異のさせ方に悩んでいた頃にちょうど講談社ブルーバックスが創刊され(1963年9月)、『ウイルス』(東昇著、1964年刊)という本が出て参考になったそうですし、岩波新書『南極越冬記』(西堀栄三郎著、1958年刊)を読み、西堀氏に「南極には雑菌がないから風邪が重くならない」ということを聞いていたからこそ、南極がカギを握るストーリーができあがりました。
小松氏には『未来の思想』(中公新書)、『日本文化の死角』(講談社現代新書)、『学問の世界―碩学に聞く―』(同、加藤秀俊氏との共著)などの、新書の著作もあります。日本SFの勃興期と「教養新書」の確立の時期は、実はピタリと重なっているのです。
小松左京氏の代表作の一つ『復活の日』は、生物兵器による新種のインフルエンザの流行によって、人類が滅亡の危機に瀕するという作品ですが、その創作に当たっては当時の「新書」もいろいろ貢献したようです。例えば、ウイルスの変異のさせ方に悩んでいた頃にちょうど講談社ブルーバックスが創刊され(1963年9月)、『ウイルス』(東昇著、1964年刊)という本が出て参考になったそうですし、岩波新書『南極越冬記』(西堀栄三郎著、1958年刊)を読み、西堀氏に「南極には雑菌がないから風邪が重くならない」ということを聞いていたからこそ、南極がカギを握るストーリーができあがりました。
小松氏には『未来の思想』(中公新書)、『日本文化の死角』(講談社現代新書)、『学問の世界―碩学に聞く―』(同、加藤秀俊氏との共著)などの、新書の著作もあります。日本SFの勃興期と「教養新書」の確立の時期は、実はピタリと重なっているのです。
掲載:2006年7月25日
著者プロフィール
小松左京
コマツ・サキョウ
(1931-2011)大阪生れ。SF作家。旧制神戸一中、旧制三高、新制京都大学文学部卒(イタリア文学専攻)。経済誌記者、放送作家などを経て、1962(昭和37)年『SFマガジン』誌に登場。代表作に『復活の日』『果しなき流れの果に』『日本沈没』(日本推理作家協会賞)『首都消失』(日本SF大賞)など。『未来の思想』『歴史と文明の旅』ほかノンフィクション作品も多数。大阪万博ではサブテーマ委員、テーマ館サブプロデューサーを務めた。最近の研究で、高校大学時代に漫画家として活躍したことも判明している。
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