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自分らしい逝き方

二村祐輔/著

748円(税込)

発売日:2006/10/20

  • 新書
  • 電子書籍あり

生きているうちに、考えておく。

理想の逝き方、納得できる見送り方とはどんなものなのだろうか――。身近な人が亡くなったときには、誰もが真剣にこのことを考えます。しかし日々の忙しさに追われるうちに、多くの人はこのことを忘れてしまうのです。本書は「葬儀と告別式の違いは何か」「お布施や戒名料をどう考えればいいのか」「なまぐさ坊主との接し方」等々、身近な問題を考えながら、自分らしい「逝き方」を模索しようという試みです。

目次
まえがき
第1章 「葬儀」と「告別式」の違いを知っていますか
タブーでなくなったお葬式/誰もが感じている不安/“魂”を見送るための儀式/合理主義が死を隠す/「葬儀」と「告別式」はどう違う/日本人の葬送の原点/屈葬の意味/「ケガレ」という概念/仏教伝来により宗教化した葬儀/死の社会化と商業化/「見立て」という文化/供養とは、「子供の養育」である/あの世とは何か/相撲と鎮魂/花嫁が白無垢を着る理由/この世だけが「人の一生」ではない/なぜ「三十三周忌」なのか/宗教は供養の道具/「霊魂観」を忘れる怖さ/儀礼の価値を見直そう
第2章 「なまぐさ坊主」がなぜいなくならないのか
近くて遠い寺の存在/宗教を利用する日本人/日本の寺のほとんどが「供養寺」/檀家の誕生/寺に供養を任せられるか/横暴な僧侶たち/葬式仏教には価値がある/本末制度の弊害/お寺は説明責任を果たせ
第3章 お布施、戒名料は高いのか
お布施は何の対価か/お布施を曖昧にするお寺/お布施の由来/「お気持ち」の値段/戒名料の謎/日本初の戒名は聖武天皇/戒名料=命名料ではない/戒名は再出発のしるし/安売り戒名にご用心/お布施、戒名料の説明を
第4章 戒名を自分でつけてみませんか
戒名を読む/宗派で異なる戒名のつけ方/いろいろなランク/院号のデフレ化/戒名は本当にいらない?/武将の改名と戒名/タブーはない/戒名のつけ方、たとえば……/成長する戒名/後悔しないために
第5章 どうすれば納得のいくお葬式ができるか
お葬式をリセットする/お葬式を手作りする前に/世間体ばかり気にしない/目的を考える/まずは情報収集/終焉に備えるためのノート/葬儀と告別式を分けて考える/自由な告別式/埋葬と葬儀の関係に注意/菩提寺が田舎にある都市生活者は/お墓の基本的な形態/納骨堂の人気/安易な散骨はすすめられない/供養に長期的な展望を
第6章 自分らしい逝き方を模索してみませんか
増えているエンバーミング/文化としての「死」/死から何を受け継ぐか/死から学ぶ感性/若者にも生き続けている習俗/自宅で死ねない時代/共同体で考えること/「離檀」のすすめ/離檀の具体的方法/お寺や僧侶に期待するもの/看取りを職務とする僧侶/僧侶はからだを動かせ/寺院を見極めるポイント/豊かな習俗を受け継いで
あとがき

主要参考文献

書誌情報

読み仮名 ジブンラシイイキカタ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610188-5
C-CODE 0214
整理番号 188
ジャンル 常識・マナー、暮らし・健康・料理
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/04/27

蘊蓄倉庫

花嫁が白無垢を着る理由

 花嫁衣裳はなぜ白無垢なのか? 「白は純潔性の象徴だから」という答えが返ってきそうですが、実はもともとは死装束を表したものだったのです。結婚は実家からの永遠の別れ、つまり死と見立て、娘の葬儀を親が出すという意味を込めて白無垢を着せたのだといわれています。『自分らしい逝き方』は、日本人として知っておきたい「逝き方」「見送り方」を考えるのに最適の一冊です。

掲載:2006年10月25日

担当編集者のひとこと

マイ戒名のすすめ

 ある程度予期されていたとしても、いざお葬式となると当事者は慌ててしまいます。伊丹十三監督の映画「お葬式」でも、喪主と遺族は浮き足立っていました。映画が評判になったのには、そんな誰もが「あるある」と思う場面があったからかもしれません。
『自分らしい逝き方』には、「いざというとき」に備えるための心構え、知識が書かれています。そう書くと、辛気臭い話ばかりだと思われるかもしれません。しかし、この本を読むと、実は結構「いざというとき」を考えるのも面白いのではないか、という気がしてくるはずです。 たとえば著者は、「生前に自分の戒名をつけてみてもいいのではないでしょうか」と提案しています。たとえば「観球院援声日巨居士」という戒名。これは熱心な巨人ファンを想定して、著者が作ってみた戒名です。
 考えてみると、なかなか難しい作業です。何せ自分の特長、売りを漢字数文字に凝縮しなくてはいけない。本来四十年も生きていれば、漢字数文字で凝縮できないはずなのに、堂々と胸を張れる特長、しかも「この世」に残る皆さんが納得してくださるものが何かと問われると、困ってしまうのです。いくら寝ることが好きだからといって「安眠院熟睡居士」などとつけたら、「今後ずっと眠るんだから意味無いよ」と言われそうです。
 趣味といっても大したものはなく、まあロックが好きなので「轟音院岩石居士」あたりにしようか、しかし何だか大人しく眠りそうにない名前だし、今ひとつ重みがないな、などと悩むわけです。当分は現世の名前で生きながら、時々考えてみようかな、と思いました。

2006/10/25

著者プロフィール

二村祐輔

フタムラ・ユウスケ

1953(昭和28)年生まれ。葬儀社に勤務し、二千件以上の葬儀にかかわる。その経験を活かし、現在は「日本葬祭アカデミー教務研究室」代表として葬祭のコンサルティングや執筆、講演活動を行っている。著書に『大往生の値段』『知ってトクするお葬式とお墓の知恵』など。

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