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無類の中華通が出会った「ホンモノ」の数々。

中華美味紀行

南條竹則/著

748円(税込)

本の仕様

発売日:2009/02/16

読み仮名 チュウカビミキコウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 186ページ
ISBN 978-4-10-610301-8
C-CODE 0226
整理番号 301
ジャンル エッセー・随筆、歴史・地理・旅行記、クッキング・レシピ
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/06/29

あるときは「小林秀雄の蟹まんじゅう」を求めて揚州の小路に入り込み、あるときは杭州の高級料理店で満漢全席の至福に身をゆだね、またあるときは変わりゆく北京下町のもつ煮屋で浅草を思う――。中華文化圏がその懐深くに抱く、千変万化の食文化。その魅力にとりつかれた作家が、縦横無尽の食べ歩きを通じて出会った「ホンモノ」の数々を綴る十五章!

著者プロフィール

南條竹則 ナンジョウ・タケノリ

1958年、東京生れ。東京大学大学院英語英文学修士課程修了。1993年、『酒仙』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。英文学者として翻訳・大学教育に携わりつつ、作家として小説を発表している。アーサー・マッケン『白魔』、ラフカディオ・ハーン『怪談』、『英国怪談珠玉集』(編訳)など訳書多数。

目次

はじめに
一 小林秀雄の「蟹まんじゅう」……揚州
二 汁そばいろいろ……南京、杭州、蘇州
三 高級宴席の点心、町角の小吃……杭州
四 甘くても「主食」……南京、南潯
五 冒菜、蒸菜、焼菜、涼菜、炒菜……成都
六 臭豆腐と毛沢東……長沙
七 パンちぎりの技……西安、北京
八 蕎麦を見つけた!……成都、西安
九 巻く、くるむ、包む……山東省
十 伝統の発酵飲料……北京
十一 下町の「煮込み」屋……北京
十二 老舗料理店の楽しみ方……開封
十三 関羽の巨大パン……成都、洛陽
十四 小吃天国の「肉円」……台湾
十五 砂糖か塩か……台北、無錫、昆明
主要参考文献一覧

インタビュー/対談/エッセイ

波 2009年3月号より うまい、安い、食べ飽きない

南條竹則

中華料理にまつわる話を書きつづけて、小説も含めるともう四、五冊の本を出した。
いいかげん方向を変えて、寿司や天麩羅の話でも書いたら良さそうなものだが、生憎と中華料理は種類も多く、味わいも千差万別で、中々ケリをつけることができない。旅行をして食事をすると、いつのまにか書きたいことがたまってゆく。もう仕方がないから、飽きるまで十冊でも二十冊でも書いてやろうと思う。
そういうわけで、今回また華国の食べ物の話を新書に書いた。
今回の本の特徴は、宴席料理よりも、麺類とか包子のような小吃(日本語の「軽食」「おやつ」に相当する)の話が多いことだ。
この小吃というものはありがたい。
とくに一人旅をすると、それを実感する。
中国料理の華は、もちろん高級な宴席料理にあるが、宴会というものは一人ではできない。ヤマタノオロチのように首が八つもあったらべつかもしれないけれど、首一つの人間にはできませぬ。
いや、宴会でなくとも、中華の高級料理の多くは最低七、八人の客を想定していて、二人分や三人分をチマチマつくることができない。まして一人では、いかんせん。
仮にわたしが皇帝かお大尽だったら、話はべつだ。
一人悠然とテーブルの上座に坐り、仏跳牆に家鴨の丸煮、桂魚の揚げ物、蒸した鼈などなどを注文して、一口二口箸をつけたら、もう下げさせてしまう。その調子でいちどきに十五、六品も料理を取って、サラリと勘定を払って出て行く。
そのくらいな度胸があれば今頃出世していたはずだが、残念ながらみみっちい人間なので、一人旅の時は高級料理にさようならをし、街角の小吃屋さんでおいしいタウナギ入りのそばだの、ホカホカに湯気の立つ牛肉蒸しだのを食べるのだ。
こういう軽食は、どういうわけか、ふと脈絡もなく思い出して、無性に食べたくなることがある。
たとえば、今食べたいなと思うのは、羊焼売だ。
杭州の町の南、呉山広場の近くに「羊湯館」という料理屋がある。
羊料理の専門店で、昔の租界にあったような古めかしい洋館の一階と二階が店だけれども、二階はあまり使われないのか、いつ行っても暗くてお化けが出そうだ。
ここの名物の「羊焼売」は、北方風のこしのある皮に羊肉の餡がつつまれていて、美味くて安い。蒸籠に十二個くらい入っているのを一枚とって、羊のスープと一緒に食べたり、焼売をつまみにビールをチビチビやりながら、昼間の往来をながめるのが、わたしは好きだ。
まあ、そんな話をいっぱい詰め込んだのが、今回の本なのである。

(なんじょう・たけのり 作家・翻訳家)

担当編集者のひとこと

中華美味紀行@東京

 15章からなる本書ですが、章扉にはそれぞれ写真が入っています。うち11枚は本書のために東京の中華料理店で撮りおろしたもので、2枚は著者の個人的な旅行の際の、のこり2枚が「芸術新潮」取材で北京下町を食べ歩いた時のものです。
 文壇きっての中華通である著者の味覚は実に確かで、写真撮影や打合せに使われたのはうまくてやすい店ばかり(もちろん高級店についてもよくご存知なのですが)。撮影用の料理も著者が懇意の点心師に中国語でリクエストすると、手品のように次々と出てきます。そんないい店いい料理の数々については、ぜひ本書をご覧ください。

2009/02/25

蘊蓄倉庫

毛沢東の臭豆腐

 湖南省長沙の名物「火宮殿臭豆腐」は、炎帝神農をまつる火宮殿の門前で売られている臭豆腐のことです。この伝統を守ったのが毛沢東でした。ちなみに臭豆腐は、発酵させた豆腐を揚げたもの。中華文化圏ではごくポピュラーな軽食で、臭いは強烈ですが、クセになるおいしさがあります。
 毛沢東も大好物で、視察の折にわざわざ食べに来て「火宮殿の臭豆腐はやはりうまい」と言ったそうです。文化大革命の時代、火宮殿が門前の店もろとも打ち壊しにされそうになった時――。紅衛兵が見たものは、壁に大書してある「最高指示――火宮殿の臭豆腐はやはりうまい」という文字だったとか。難を逃れた火宮殿の臭豆腐は、いまも大人気です。
掲載:2009年2月25日

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