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速記者たちの国会秘録

菊地正憲/著

770円(税込)

発売日:2010/11/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

【国会の「職人」40人が初証言!】吉田茂のつぶやき、田中角栄の激昂、中曽根康弘の気配り。

「特等席」に座り続ける国会速記者の証言は、そのまま戦後政治の裏面史である。ある者は東京裁判の判決文に関わって監禁生活を強いられ、ある者は吉田茂の「バカヤロウ」を聞き逃さず記録し、またある者は乱闘国会で前歯を失った。仰天の漢字誤読議員、田中角栄が見せた激昂、ずぶ濡れでなだれ込んできた安保デモ隊、中曽根康弘の思わぬ差し入れ――。「もの言わぬ職人」四十人が初めて固い口を開いた、本邦初の貴重な証言録。

目次
まえがき
第一章 東京裁判「最後の生き証人」
被告席の二人/法廷の異様な空気/ハットリ・ハウスと「無罪意見書」/監禁生活を記した日記/日系人通訳者「伊丹」/「まことに、ただ感慨無量なり」/初の女性速記者/大川周明は「芝居」?/古武士のような広田/仲間にも秘したタブー
第二章 速記者を泣かせた「難物」議員
罵声を浴びる総理/知らない言葉は聞こえない/トッキュウは発言も超特急/女性速記者をスケッチした重光/志望動機は「お金」/冷房も女子トイレもない/「大杉栄の元愛人」の美声/「三種の神器」を常備/外部に通じる秘密の通路
第三章 抹消された「バカヤロウ」発言
記録部長に呼び出される/「日本の首相として述べよ」/ボヤから大火事へ/前後の証人/乗り込んできた野党議員/吉田のぴっかぴかの革靴/あの人の紹介なら/三木、大野、河野の三人衆/見劣りした鳩山一郎/「速記すべきではなかった」か
第四章 安保闘争が残した高い柵
三角屋根の下でダンス/乱闘国会はじまる/止められていた時計/秘書が「石炭王」に賄賂要求?/昔の方が目立った誤読議員/些細な間違いの場合/国会内から見たデモ隊/あれは「安保騒動」
第五章 舌と喉が弱点だった池田勇人
何かつかえてるんじゃないか/格差にまつわる舌禍事件/あっという間に速記用紙が/国会爆竹事件/笑いをこらえるのに必死/「瞬間湯沸かし器」の情熱/血相を変えた青年議員/「俺に恥かかせるな!」
第六章 コンピューターの“狂い”
とてつもない早口総理/「まーそのー」の後が怖い/目白御殿へ来いよ/通年国会と職業病/証言台の小佐野賢治/大平総理はほぼ完璧/「し」と「ち」が混ざる総理/崩しの名手、竹下/ハマコーが放ったリンチ発言/成り上がりへの共感
第七章 台本があった「総理は男妾」発言
養成所に現れた元ソニー会長/貴族院から参議院へ/君たちは「イチジクの葉っぱ」/青島幸男の質問/お茶の間の人気者が国会に/冷や汗たらたらもがく~ 十分間/速記者はもう不要/発言が監視される/「青年将校」のミカン
あとがき
取材協力者
主要参考文献
人名索引

書誌情報

読み仮名 ソッキシャタチノコッカイヒロク
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610395-7
C-CODE 0231
整理番号 395
ジャンル 政治
定価 770円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2011/05/20

蘊蓄倉庫

議員は二種類、「難物」と「お客様」

 国会の速記者たちが作る会議録は、私たちが一般に言う会議録とは異なります。実は会議の流れや要旨ではなく、発言者の言葉を一語一語、そのまま記録されているものなのです。そこで速記者を悩ませるのが、発言が丁寧でゆっくりした口調だったり、言語が明瞭だったりして速記しやすい議員もいれば、早口だったり、言葉が不明瞭だったりして速記しにくい議員もいるという事実。速記者の間では伝統的に、前者を「お客様」、後者を「難物」と評するそうです。
掲載:2010年11月25日

著者プロフィール

菊地正憲

キクチ・マサノリ

1965(昭和40)年北海道生まれ。国学院大学文学部卒業。北海道新聞記者を経て2003年にフリージャーナリストに。徹底した現場取材力で政治・経済から歴史、社会現象まで幅広いジャンルの記事を手がける。著書に『もう一度学びたい日本の近現代史』『なぜ結婚できないのか』ほか。

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