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アワビ、サザエ、エビ、カニ、焼肉、スッポン、鴨、松茸、海藻、チーズ、美酒、果物、甘味……。「古代の食卓」は美味だった!

卑弥呼は何を食べていたか

廣野卓/著

792円(税込)

本の仕様

発売日:2012/12/15

読み仮名 ヒミコハナニヲタベテイタカ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 220ページ
ISBN 978-4-10-610499-2
C-CODE 0221
整理番号 499
ジャンル 日本史
定価 792円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2013/06/28

日本人の祖先はどんな物を食べていたか? 「邪馬台国の食卓」を飾った料理とは? 仁徳、文武、長屋王など古代天皇家の晩餐とは? 木簡などからその食世界を覗いてみると、焼肉、鴨、蒸し鶏、スッポン、アワビ、エビ、カニ、煮物、チーズ、サラダ、そして美酒や甘味……新鮮で豊かな医食同源のメニューが浮かび上がってきた。卑弥呼に捧げたご馳走、大和王朝の宮廷料理、遣魏使の弁当など「古代の食卓」が今、蘇る。

著者プロフィール

廣野卓 ヒロノ・タカシ

1932(昭和7)年、大阪府生まれ。古代食研究家。東北大学農学部卒。乳業会社勤務を経て現在、「食の万葉講座」主宰。「古代大和の酥と蘇についての考察」で第18回郷土史研究賞を受賞。『古代日本のミルクロード』『古代日本のチーズ』『食の万葉集』などの著作がある。

目次

はじめに
第一章 『魏志倭人伝』に卑弥呼の食を探る
粟と豆の国〔卑弥呼以前〕/卑弥呼登場/『魏志倭人伝』に探る倭人の食/洛陽へ/遣魏使・船旅の食/難升米たちをもてなす豪華な宮廷料理/卑弥呼の呪術と桃/赤米神事が語る稲の伝来/卑弥呼と赤米神事/復元・卑弥呼の食 その一/復元・卑弥呼の食 その二
第二章 オンザロックを味わった仁徳大王
巨大古墳は語る/稲作に執着する遺伝子/神饌に探る古代食/蔬菜と野の菜〔食べられる野草〕/古代びとの食を支えた堅果類/鹿(カノシシ)と猪(イノシシ)/豊かな海の園/オンザロックを味わった仁徳大王/噛み酒は神の酒/酒とウーマンパワー
第三章 チーズづくりを命じた文武天皇
飛鳥時代にあった乳製品〔牛乳・チーズ〕/日本初の国産チーズ/お釈迦さまもみとめる乳製品の栄養効果/藻塩から醤へ/渡来人が将来した食文化/湯漬け・水漬け/旨飯に追われた赤米/古代の食と呪い/旅の食/古代びとの漁法/古代びとは飯をどれだけ食べていたか
第四章 グルメな長屋王
若菜摘みと七種粥/木簡に記された多彩な食材/グルメな長屋王/ハマグリと脚気・美食のリスク/医食同源/庶民の食/古代の市・そのエネルギー/古代にもあったブランドもの
第五章 古代食と現代食
古代びとの調理の工夫/謎の調味料/古代びとは甘味に飢えていたか/珍味と食毒/松江の鱸魚と万葉の鱸/鮓と鮨・近江鮒ずしはどちら/古代食を復元する/古代食と現代食
むすび
参考史料・文献一覧

インタビュー/対談/エッセイ

波 2013年1月号より 謎の女王卑弥呼の食

廣野卓

古代史に登場する女性で人気ナンバーワンは、なんと云っても邪馬台国の女王卑弥呼でしょう。有名な『魏志倭人伝』に、強力なカリスマ性を備えた巫女女王として描かれています。
それにしても、千人もの婢(巫女)を従えながら、食事など身の回りの世話をするのは男子ただ一人で、その姿を見た者がほとんど無いという人物描写は、あまりにも謎めいています。そのうえ、何年も続いていた「倭国の大乱」を終息させる力も秘めていました。
人前に現れない卑弥呼が、どうして大乱を終息させ得たのか、矛盾すら感じます。『倭人伝』の「鬼道に事え能く衆を惑わす」という卑弥呼の実像描写だけでは、謎は深まるばかりです。
そんな卑弥呼の実像に、食という切り口でアプローチしてみました。しかし、『倭人伝』は、卑弥呼の食そのものにはふれていません。それを解明するには、彼女の年齢や、当時の遺跡の出土物から類推する以外に手掛かりはありません。
そんなところに、奈良県桜井市の纒向遺跡からモモの種が二〇〇〇個余、弓や木製品とともに出土しました。いずれも呪術に用いられた品々です。さらに、獣骨・魚骨やドングリ類、酒づくりの材料ニワトコの実なども出土して、卑弥呼の食の姿が、おぼろ気ながら見えてきました。
ところで、私が古代食の研究や復元に手を染めて、二十年になります。奈良シルクロード博のセミナーに講師として参画した縁で、参加者と「食の万葉講座」という会を結成し、これまで、実に多くの古代食を復元してきました。高杯など土器類や藻塩・醤などの調味料も、古史料に忠実に加工して、古代食復元に使用してきました。
会の活動を知った毎日テレビから依頼があり、奈良時代の悲劇の宰相、長屋王の食を復元しました。赤米は茎丈の高い、古代種に近い品種の穂付きを入手し、十一月で、すでに禁漁期に入っていたアマゴやアユは、奥吉野から干ものを取り寄せるなど、会員が総力をあげて食材を集めました。
こうして、当会としては空前絶後の食材の数々を用いて、長屋王の豪華な食卓を再現しました。
ついで、卑弥呼の食の復元のため、史料検索を行っていたところ、前記したように、実にタイミング良く、卑弥呼時代の食材の数々が出土して、当時の食の解明に貴重な手掛かりを得ました。
ところで、卑弥呼や倭の諸王は、後漢から三国志時代にかけて、大陸や朝鮮半島へ盛んに使節を派遣しています。こうした機会に、古代中国の食文化が倭国にもたらされ、食文化に影響を与えたことは否めません。
これらの史実もふまえて、卑弥呼時代をはじめ、大和王朝への食の行脚を、『卑弥呼は何を食べていたか』と題する小書にまとめました。
卑弥呼の食は、どんな味がしたのでしょうか、読者も、是非、味わってみてください。

(ひろの・たかし 古代食文化史研究家)

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