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自由と民意、平等と権利、経済発展とヒューマニズム……偽善栄えて、国滅ぶ。稀代の思想家による反・民主主義論。

日本の宿命

佐伯啓思/著

792円(税込)

本の仕様

発売日:2013/01/17

読み仮名 ニホンノシュクメイ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 223ページ
ISBN 978-4-10-610502-9
C-CODE 0210
整理番号 502
ジャンル 社会学、ノンフィクション
定価 792円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2013/07/26

何かがおかしい。「嫌な感じ」がどうにも消えない。カリスマが現れても新政府ができても高邁な理想を掲げられても、絶望的いらだちが治まらないのは、なぜなのか? 橋下現象、政権交代、国境騒乱等混沌の真因はどこにあるのか? 維新、大戦、高度成長期等の転機から自由、平等、民主、経済成長、ヒューマニズムの追求こそが幸福であるという、この国が負わされた近代主義を徹底的に懐疑する。稀代の思想家からの鋭い一撃。

著者プロフィール

佐伯啓思 サエキ・ケイシ

1949(昭和24)年、奈良県生まれ。社会思想家。京都大学名誉教授。京都大学こころの未来研究センター特任教授。東京大学経済学部卒。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。2007年正論大賞。『隠された思考』(サントリー学芸賞)『反・幸福論』『日本の宿命』『西田幾多郎』『さらば、資本主義』『反・民主主義論』など著作多数。

目次

まえがき
第一章 「橋下現象」のイヤな感じ
わからなくはない“気分”/過激化した呪文/ニヒリズムの時代に相応しい/「独裁」と「独裁的」の間/プラトンの理念/「民主主義」理解の貧弱さ/“独裁者”は橋下の後に?
第二章 総理の品格は、国民の品格
首相失格/永田町は「笑土」/「パンとサーカス」/首相は一国の顔
第三章 無脊椎の国、ニッポン
健忘症のおかげ/どこに「筋」がある/「理性しかもたない狂人」/エリートと大衆、あるべき姿/「人物がいない」
第四章 日本は本当に独立国か
サンフランシスコ条約60年/憲法は無効?/「制限」か「従属」か/苦い「独立」
第五章 真珠湾攻撃から70年
知識人の狂喜/侵略戦争とは何か/真珠湾攻撃は原爆投下より非道か/勝者の裁き/嫌悪すべき思考スタイル
第六章 開国という強迫観念
国を閉ざすことは悪なのか?/胡散臭い人たち/知的商人/ピンからキリまで堂々と/「田舎」を捨て「都会」をとる
第七章 開国と維新の精神
竹中平蔵氏の御笑い草/龍馬のお気楽さ/林房雄の卓見/日本近代の「夜明け後」/文明の進歩とは何か/近代日本の悲劇
第八章 福沢諭吉と近代日本の矛盾
やがては戦争/まさに「宿命」/文明と精神発達/「一身独立」という課題/精神の無脊椎症
第九章 1980年代論
「昭和」の終わり/アメリカの影/戦死者たちへの「疾しさ」/いずれ経済も二流に/アメリカへの「自発的従属」
あとがき

担当編集者のひとこと

「幸福」のパラドックス

 自民党新政権、経済再生、教育再生……今年の初めから妙に明るいニュースが報じられています。しかし、本当は、どことなく不信な思い、不安など嫌な感じを抱いている人も多いでしょう。この国に漂っている不穏で不快な真因は何なのでしょうか。
〈東日本大震災から一年半以上たって、何かが大きく変わったという印象がまったくありません。われわれの生き方やまた死生観、自然観に大きな影響を与えてもよさそうなのに、政治現象を始め、何かが変わったということはほとんどありません。……つまり……「精神のあり方」の軸が定まらないところに今の混迷の主因があるように思えるのです〉 と佐伯氏は本書で述べています。
 確かに精神の軸や価値観は明らかではないでしょう。
 日本の近代化は、先取の思想だと信奉し、刻苦勉励の上、「民主主義」という理想の実現を目指してきました。
 しかし、そのプロセスは、本当にこの国の血肉と化しているのか、その根源的な部分を佐伯氏は懐疑し、深く掘り下げています。
 今や、〈「幸福であろう」と求めれば求めるほど、不幸になっていく〉という、このパラドックスはどこから来ているのでしょうか。
 また、日本人の「精神の軸」はどこにあるのでしょうか?
 時事的な出来事や歴史的経緯などを踏まえ、複合的な視点からこの国を捉えた時、まぎれもない「この国の姿」が見えてきます。
 本書は、稀代の社会思想家である佐伯氏による至高の論考です。
『反・幸福論』とともにぜひご一読ください。

2013/01/25

蘊蓄倉庫

パンとサーカス

 古代ローマ帝国末期には、政治は見識をもったスケールの大きなものではなくなり、大衆に、一方で「パン」を与えて満足させ、他方では「サーカス」を出し物にして不満のはけ口にしていました。
 それは今日でも同様で、一方でわかりやすく「国民の求めるもの」を与え、他方では、政治そのものを出し物にして適度に国民にバッシングさせておいて、ガス抜きをしています。これはしばしば政治の大衆化、政治の堕落を指していわれることです。ローマの昔から今日までさして変わらないのです。
「パン」にはアンパンもあれば食パンもあり、調理法も味付けも様々です。
 そこで、パンの各種専門家も出てきます。サーカスの方は、メディアが絡んで「ポピュリズム」を演出します。曲芸や球蹴りをする人などが現れます。
 こうして「パンとサーカス」の政治は、今日では、特定の政策通である政治家とポピュリスト政治家が結びついて行う「専門家とポピュリズム」の政治になるのです。このテーマは、第二章に詳述されています。
掲載:2013年1月25日

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