
犯罪は予測できる
770円(税込)
発売日:2013/09/14
- 新書
- 電子書籍あり
【街灯は犯罪者を呼び寄せる】【監視カメラはだまされる】【防犯ブザーは鳴らせない】常識が覆る犯罪科学の最前線。
犯罪を未然に防ぐには、いつどこで起きるか予測できればいい。それを可能にするのが「景色解読力」――注目すべきは、いかにも怪しい「不審者」ではなく、見慣れた「景色」なのだ。犯罪科学のエキスパートが最新の知見をもとに、実践的な防犯ノウハウを伝授。「街灯は犯罪者を呼び寄せる」「『いつも気をつけて』は無理な注文」「監視カメラは『だまし』に弱い」等、意表をつく指摘を通じて犯罪のメカニズムを解明する。
索引
書誌情報
読み仮名 | ハンザイハヨソクデキル |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610537-1 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 537 |
ジャンル | 法律 |
定価 | 770円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/03/21 |
蘊蓄倉庫
「気をつけよう、甘い言葉と暗い道」という標語もあるように、夜道は危険なものとされています。つい先日も、花火見物帰りの女子中学生が夜道で何者かに襲われ、殺害されるという痛ましい事件があったばかりです。
街灯があれば安全。人通りがあれば安全。そうお考えの方も多いでしょうが、実は街灯が犯罪を増やすこともあるのです。犯罪者も同じ人間ですから、真っ暗闇では何も見えませんし、気味悪く感じるはず。実際、街灯を設置した途端に、ひったくりが増えてしまった場所もあります。また、途切れない人通りというものもありません。犯罪者は、その隙をついてくるのです。
同じ暗い道でも、とくに危険な場所を見分けて、そこを通らないようにできたら……。ポイントは、「昼間の景色」です。昼間から危険な場所は、どうしたって安全な夜道にはなりません。「危険な景色」の見分け方については、本書をご参照ください。
担当編集者のひとこと
いかにして我が子を犯罪から守るか
我が子は小学1年生です。事故に天災、犯罪と、親の心配はつきませんが、犯罪に限っていえば、もっとも一般的な対策は防犯ブザーをもたせること。わが子も、区から配布されたブザーをカバンにつけています。
しかし、著者の小宮先生は「防犯ブザーは鳴らせない」というのです。いわく、恐怖にすくんでしまって鳴らせないこともあれば、だまされてしまって鳴らす必要性を感じないこともある。果ては、いざ鳴らそうとしても故障しているケースが多い、と――。
また、子どもの遊び場といえば公園ですが、これまた「日本の公園と公衆トイレは犯罪者好みにできている」のだとか。そして、世間や学校では「不審者に気をつけろ」「知らない人についていくな」と教えますが、これまた役に立たないという。ほんとうの不審者(=犯罪者)は、絵に描いたように「不審」な様子はしていないし、子どもにとって数日前に見かけた人は「すでに知っている人」だからだそうです。
さらに、「誘拐犯は児童心理のスペシャリストである」と追い討ちをかけられると、ひとたび我が子が犯罪のターゲットになったら助かる術などない、と思わざるをえません。
だからこそ、これから起こる犯罪を予測しなければならないのだ、と小宮先生は言います。そして、その方法は難しくない、と。本書の肝は、その方法である「景色解読力」(=景色がはらむ危険性に気づく能力)が紹介されています。我が家でも、さっそく親子で景色の解読を実践中。みなさまもぜひ、自分そして家族の身を守る「景色解読力」を身に着けていただければと思います。
2013/09/25
著者プロフィール
小宮信夫
コミヤ・ノブオ
1956(昭和31)年、東京生まれ。立正大学文学部教授。社会学博士。日本人として初めて英ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。法務省、国連アジア極東犯罪防止研修所を経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁委員。公式サイト「小宮信夫の犯罪学の部屋」。