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【徹底解剖!】「日本一の雑巾がけ」がしぶとさの原動力だった!

誰も書かなかった自民党―総理の登竜門「青年局」の研究―

常井健一/著

814円(税込)

本の仕様

発売日:2014/03/15

読み仮名 ダレモカカナカッタジミントウソウリノトウリュウモンセイネンキョクノケンキュウ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 238ページ
ISBN 978-4-10-610561-6
C-CODE 0231
整理番号 561
ジャンル 政治
定価 814円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2014/09/19

安倍晋三、麻生太郎、海部俊樹、竹下登……多くの総理大臣を輩出した「青年局」とはなにか? 自民党の強さ、しぶとさを底支えしてきたこの組織については、今まで、ほとんど語られてこなかった。だが、五五年体制以降の栄枯盛衰の蔭には、常に「青年」達の暗闘があったのだ。元総理や小泉進次郎前青年局長など、当事者たちの貴重な証言と徹底取材から浮かび上がる、知られざる組織の実像。

著者プロフィール

常井健一 トコイ・ケンイチ

1979(昭和54)年茨城県笠間市生まれ。ノンフィクションライター。旧ライブドア・ニュースセンターの設立に参画後、朝日新聞出版に入社。「AERA」で政界取材担当。退社後、オーストラリア国立大学客員研究員。2012年末からフリー。著作に『小泉進次郎の闘う言葉』。

目次

まえがき
第一章 小泉進次郎たちの総力戦――ルポ・参院選2013
「汚れ役」になった小泉進次郎/一日目 飛島/三日目 日間賀島/四日目 能登島/五日目 答志島/六日目 沖島/七日目 隠岐・島後/八日目 気仙沼大島/九日目 奥尻島/一〇日目 小豆島/一一日目 興居島/一二日目 福江島/一三日目 天草下島/一五日目 久米島/一六日目 与那国島・竹富島・小浜島・西表島
第二章 自民党青年局とはなにか
「青年」は何歳までか/「汗をかいて仲間を当選させろ」/自民党の「宣教師」/他党の青年組織とは/「青年局長」を解剖する/事務方の「伝統芸」/永田町の「ガラパゴス」/カレーライスと進次郎の肉声/幹事長も平身低頭/海外研修に密着/進次郎も驚く「古典の力」
第三章 叩き上げの巣窟――青年局の勃興
海部俊樹は語る/傍流、タカ派、脱派閥/学生運動との闘い/竹下登と青年海外協力隊/海部と小渕の台湾外交/早大雄弁会OBと竹下流/ハマコー局長の男気/中曽根からの呼び出し/「三木おろし」と三〇〇〇人集会/派閥全盛期のエリートは?/角福戦争下の局長ポスト/二代目顔見世興行?/中国共産党との接近/中川昭一の訪中
第四章 新旗手たち――離党の嵐が吹き荒れるまで
「ニューリーダー」と鹿野道彦/麻生太郎が拓いた道/プリンス局長の明暗/北朝鮮との遭遇/ポスト冷戦下のハンドルさばき/離島予備軍の反乱/五五年体制の破壊者に
第五章 安倍晋三とチルドレン――構造改革と真正保守のはざまで
安倍内閣の原型/世襲議員の学び舎/「おじさんの集まり」/テレビ政治と安倍世代/安倍カラーの源流/意外な訪問国/「自民党らしくない選挙」/地方議員の本音/小泉流の副産物/親台湾派の後ろ盾/親衛隊の完成/青年局の「革新官僚」/亀井静香との暗闘/「青年局長は寅さん」
第六章 日本一の雑巾がけ――総理力を育む六つの帝王学
「総理の登竜門」/人事を司る力/自製の紳士録/当選させる力/政策を押し通す力/交渉する力/外交する力
第七章 検証・小泉進次郎
被災地のネットワーク/一人前にさせたもの/「腰パン」からプリンスへ/三二歳の実像/マネジメントに悩む日々/未来への準備/進次郎の交遊録/三〇年後を見すえて
あとがき
主要参考文献一覧

インタビュー/対談/エッセイ

波 2014年4月号より 無名時代に育まれる「しぶとさ」

常井健一

フリーランスの書き手になって一年になります。
巷では、カフェを渡り歩きながら世の中を切り取るイマドキのフリーライターが「ノマド」(遊牧民)といった単語で持て囃されているようですが、とんでもない。殊に、政治報道の世界では、アウトローと見なされ、流浪する宿命にあるようです。
サラリーマン記者時代、お上から新聞社に割り当てられる記者証を首からぶら下げ、永田町の議員会館を歩き回る「自由」を謳歌していました。若造がアポなしで事務所を訪れても、国会議員十人に六~七人は話を聞かせてくれたものです。
ところが、フリーになるとそうはいきません。
権力に接近するお墨付きはなし。事務所に電話をかけて取材依頼書をファクスで流すわけですが、返事が来るのは一件あればいいところ。目をつぶっても歩けた永田町が袋小路だらけになりました。
独立の気概は程無くして孤立感へと変わり、総理官邸の傍にある喫茶店で、一人、途方に暮れて、うだつの上がらない日々が続きます。
そんな中、肩書も知名度もない三十代ライターが置かれた境遇と半ば強引に重ねながら着目してみたのが、有力政治家たちの無名時代でした。
例えば、傘寿を過ぎた海部俊樹元総理は三十代の頃、ある政策を通そうと役所に何度も掛け合いましたが、歯牙にもかけられなかったそうです。
「やっぱり信頼できなかったんじゃないのかな。若いのがやろうとすることを見ておってね」
しかし、ひょんなことから実現を果たし、さらに三十年後、その体験のエッセンスが総理として日本外交の大転換を促す決断へと結実します。
また、自民党名門派閥の長、額賀福志郎氏は、
「経世会の初当選同期の中で、政務次官になれたのは一番遅かったんだよ。でも、派閥の親分だった竹下登には『役職は欲しがるな、手柄は人にやれ』と、そう言われて育てられたからなあ……」
と打ち明かし、無所属での初当選、入党後にも六年続いた「空白期間」を静かに語り出しました。
二人は活躍した時代も派閥も異なりますが、無名時代に自民党青年局を率いたという共通項があります。その謎めいた全国組織で人知れずに引き受けた「雑巾がけ」がしぶとさを育み、政界の中枢で独特の存在感を醸し出すようになったのです。
「あんな頃の話を聞きに来るのは、あなたが初めてだよ。だから、取材を受けることにした」
そう笑いながら、二人と同じような修練を積んだ人々は私を招き入れ、誰も書かなかった自民党の「ガラパゴス」について語り尽くしました。そうして集めた証言を元に、一九五五年を起点とする保守政治家たちの進化論を編んだのが本書です。
安倍晋三氏が無名時代に訪ねた意外な国とは?
麻生太郎氏が後塵を拝した往年のライバルは?
小泉進次郎氏が雌伏の時期に縋った偉人とは?
時代の勝者らの青き肖像から浮かぶ試行錯誤の軌跡をなぞり、一強与党の生命力に迫りました。

(とこい・けんいち ノンフィクションライター)

担当編集者のひとこと

初めて浮かび上がる「青年局」の秘密

 2011年、大震災後の小泉進次郎(当時・青年局長)による復興支援活動とともに、一躍脚光を浴びたのが「自民党青年局」です。
「青年局」とは一体なにか? 自民党ではどんな役割を担っているのか?
 著者の常井健一氏は、この党内組織に注目し、徹底した取材を敢行しました。
 下野してもまた復活する自民党の強靭さの秘密が、この組織にあったのです。
「青年局」局長からは、竹下登、宇野宗佑、海部俊樹、麻生太郎、安倍晋三といった総理大臣が生まれています。
 さらに深谷隆司、愛知和男、額賀福志郎、斉藤斗志二、棚橋泰文らが大臣を務め、浜田靖一、小此木八郎、萩生田光一らは現在、党執行部を務めています。
 常井氏は、海部元総理を筆頭に、こうした当事者たちに取材しながら、五五年体制以後の派閥抗争、台湾外交、新基軸政策、離党・反乱などの激動の舞台裏で、常に青年議員たちが奮闘してきた「自民党の秘史」を、当事者の「実名」とともに明らかにしていきます。「青年局」とは、政界で羽ばたくための鍛錬場であり、帝王学を体得できる組織であることなどが浮かび上がります。
 また、近年の参院選挙や「青年局」の台湾訪問などで、小泉進次郎前青年局長に密着取材を重ねた常井氏は、自民党の若きキーマンの手腕、苦悩、可能性などを多角的に検証しています。これからの小泉進次郎はどうなっていくのか……。
 本書は、当事者証言で綴る、貴重なオーラルヒストリーであり、自民党の「しぶとさ」の根源に初めて迫った、気鋭の著者による渾身作です。

2014/03/25

蘊蓄倉庫

「青年」とは何歳なのか?

 自民党青年局は1955年発足の全国組織です。
 現在の規定では、45歳までの自民党員であれば「青年局員」にあたるそうです。
 ただし、各都道府県連内で年齢の上限はさまざまです。
 たとえば、東京都や茨城県では50歳まで、千葉県では49歳、福井県では56歳、神奈川県では39歳という規定です。
 一般的な「青年」の年齢ではありませんが、その規定の背景には、たとえ中年でも「青年」として後輩の育成に当たらせ、党内の融和につなげる「保守の知恵」があるのだそうです。
掲載:2014年3月25日

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