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ぼくは眠れない

椎名誠/著

792円(税込)

発売日:2014/11/17

  • 新書

35年間、不眠症。一部始終を初めて告白。

ガバッと起きると午前二時、それが不眠生活の幕開けだった。毎夜同じ時刻に目が覚めて、眠れないまま朝になる。七十歳にして探険旅行に挑み、ビールだけは欠かさぬ豪快さの持ち主には三十五年にわたる孤独な「タタカイ」があった。発端となった独立騒動、はかられた精神科受診、手放せない睡眠薬、ストーカー事件のトラウマ、眠気をさそう試行錯誤等を初めて告白。果たして「やわらかな眠り」は取り戻せるのか。

目次
1 はじまりは唐突にやってきた
超深夜なのか超早朝なのか/家庭内危険書/オレは入院する!/運命の二分の一錠
2 勤めをやめるか、どうするか
「禁断のしあわせ感」/最初に書いた本/異変のはじまり/会社をやめた
3 ライオンのように眠りたかった
犬が天敵、ときには相棒/眠りのためのはかないきっかけづくり/眠りのランキング
4 見知らぬ女が押しかけてきた
秘密のお守り/黎明の襲撃者/謎のファイル/砕けるガラス
5 なぜ眠る必要があるのだろうか
混沌の夜/上の空/なぜ眠る必要があるのか/さまざまな眠りかた
6 こころやすらかに寝られる場所は
離陸時催眠効果/種族としての安眠/寝ながら溺れるような気分/実用的なアマゾンのハンモック/蚊めしとオアシスの風
7 睡眠薬は脳に何をしているのか
夜更けのコーフン/悲しい青い空/脳を守る脳/体内時計の一時間修正機能
8 ポル・ポトの凶悪にすぎる拷問椅子
眠らせない拷問/不眠と、うつと、自殺/恐怖のソファ人間/眠らない実験/恐怖を抱く一族
9 イネムリが人生で一番ここちよい
予期せぬ逆転敗北/ニガい朝/皮肉な組み合わせ/しあわせなカエルのホテル/イネムリ大国/かわりゆくシエスタ文化
10 睡眠グッズはどれほど効くか
自分の神経にイカル/自分の中、隣にある危機/黄金の睡眠環境/神様ホトケ様ソルト様
11 やわらかい眠りをやっと見つけた
本で睡眠のお勉強をしても……/脳の問題/夢の記憶装置/まだ何も解明されていない/寝床
おわりに
主な参考文献

書誌情報

読み仮名 ボクハネムレナイ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610593-7
C-CODE 0295
整理番号 593
ジャンル エッセー・随筆、ノンフィクション、暮らし・健康・料理
定価 792円

蘊蓄倉庫

神様ホトケ様ソルト様

 椎名誠さんが、同じく不眠の悩みを抱える知人から「効果的」と聞いて取り寄せたのがバスソルトでした。フランスのブルターニュの海水に手を加え原始海水に近い状態に結晶化させたもの……豪快な椎名さんのイメージとなんだかマッチしませんが、それを溶かした塩風呂につかるのだそうです。それも最低12分間。しかし初回は誤って大量にソルトを入れたため、湯船からあがるとき倒れかけ、ベッドに横たわったら記憶なしという事態に。翌朝は「痛風」症状にもおそわれました。でも確かに眠れるわけです。以降はお風呂の前後に大量の水を飲むこととし、真面目にソルト風呂を実践しているそうです。
掲載:2014年11月25日

担当編集者のひとこと

作家生活35年、不眠症歴35年。

「孤独で押しつぶされそうな夜もある」――これが椎名誠さんのインタビューなのかと、思わず誌面を見直しました。でも著者名も写真も、椎名さんで間違いありません。不眠のつらさを吐露した記事(「中央公論」2012年1月号)を読み終えたときには、ぜひ一部始終を書いて頂きたいという気持ちでいっぱいになっていました。焚き火と仲間とビールがいちばん似合う作家が、人知れず闘ってきたというのですから。
 担当編集が興味を惹かれたのには、「眠れない」が肌感覚として分からないということもありました。眠気に負けてやるべきことをやれない日の方が多いですし、以前父親が「眠れないんだよ」とつぶやくのを聞いてなんとも言えない思いがしました。
 しかし、椎名さんから頂いた原稿で明かされたのは、34歳まで不眠と無縁だったという事実でした。毎晩バタンキューという人でも、いつ不眠におそわれるかは分からない。ならばもう他人事ではありません。
 2014年11月16日、椎名さんは作家デビュー35周年を迎えました。じつは不眠症歴も35年。サラリーマンだった椎名さんが、作家として独立するかどうかという迷いが不眠生活の引き金になったのだそうです。35周年記念のトークショーの挨拶で、椎名さんは眠れぬ夜について触れていました。
「眠れなくて仕方がないから、原稿を書くんですね。そうしたら250冊も出してしまいました。発売になったばかりの『ぼくは眠れない』はね、オビの『不眠症』がタイトルより大きくてどうかと思いますが、251冊目の本です」
 椎名ファンにも、不眠を抱えている方にも、新しい発見のある一冊です。

2014/11/25

著者プロフィール

椎名誠

シイナ・マコト

1944(昭和19)年、東京生れ。東京写真大学中退。流通業界誌編集長を経て、作家、エッセイスト。『さらば国分寺書店のオババ』でデビューし、その後『アド・バード』(日本SF大賞)『武装島田倉庫』『銀天公社の偽月』などのSF作品、『わしらは怪しい探検隊』シリーズなどの紀行エッセイ、『犬の系譜』(吉川英治文学新人賞)『岳物語』『大きな約束』などの自伝的小説、『犬から聞いた話をしよう』『旅の窓からでっかい空をながめる』などの写真エッセイと著書多数。映画『白い馬』では、日本映画批評家大賞最優秀監督賞ほかを受賞した。

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