イスラム化するヨーロッパ
792円(税込)
発売日:2015/12/08
- 新書
- 電子書籍あり
終わりなき非常事態。多発するテロ、押し寄せる難民。欧州を覆う苦悩から世界の明日を読み解く。
多発するテロ、移民二世・三世の増加、押し寄せる難民──欧州は今まさに「イスラム化」の危機に瀕している。西欧育ちの若者が、なぜ過激派に共鳴するのか。自由の国フランスで、なぜベールの着用が禁止されるのか。戦後復興の担い手は、いかにして厄介者となったのか。そして、欧州の「自由」と「寛容」は、いかに失われつつあるのか──。長年の現地取材に基づき、欧州を覆う苦悩から、世界の明日を読み解く!
書誌情報
読み仮名 | イスラムカスルヨーロッパ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
雑誌から生まれた本 | 新潮45から生まれた本 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610649-1 |
C-CODE | 0225 |
整理番号 | 649 |
ジャンル | 社会学、地理・地域研究 |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 792円 |
電子書籍 配信開始日 | 2016/05/27 |
蘊蓄倉庫
2015年11月、130人の命を奪ったパリ同時テロが発生し、世界を震撼させました。さかのぼること10カ月、同じくパリで起きたのがシャルリー・エブド紙襲撃事件です。
「シャルリー・エブド」は1970年創刊の政治週刊紙。襲撃の原因となったムハンマドの風刺画以前にも、イスラム教徒を挑発したり、執筆者が児童猥褻で有罪判決を受けたりと、「お騒がせのB級新聞」と見られていました。
ちなみにシャルリーは男性名で、英語のチャーリーにあたります。紙名は「スヌーピー」の主人公チャーリー・ブラウンと、フランスのシャルル・ドゴール大統領の名前に由来するそうです。
事件後には、表現の自由のシンボルとして、“Je suis Charlie”(私はシャルリー)という言葉が流行語になりましたが、いまでは英雄扱いもひと段落。遺体となってトルコの海岸に打ち上げられたシリア難民の男児を風刺したことで世界的に批判を浴び、ふたたびお騒がせ週刊紙の座に戻ったようです。
担当編集者のひとこと
欧州と中東での取材を経て
著者の三井美奈さんは、読売新聞の記者です。長く国際畑を歩んできて、現在は国際部のデスクを務めています。ブリュッセル支局員を皮切りに、エルサレム支局長、パリ支局長として、海外取材を続けてきました。
ブリュッセルからの帰国後には、オランダを中心に各国の取り組みを描いた『安楽死のできる国』を、エルサレムの後には、ハーバード大学の客員研究員を経て『イスラエル―ユダヤパワーの源泉―』を執筆していただきました。そして、パリからの帰国後にものした本書が3冊目の新潮新書となります。
もともと12月刊行の予定で進めていましたが、11月のパリ同時テロをうけて、10日ほど繰り上げ発売となりました。事件のあおりで本業が超多忙の中、最新情報の加筆と繰り上げに対応してくれた著者には、ただただ感謝するのみです。
ちなみに三井さんとは10年ほどのお付き合いになりますが、変わらぬ美貌とスタイルは羨ましいかぎり。紛争地やテロ現場を駆け回る姿はにわかにイメージできませんが、徹底した取材に基づいた文章は簡潔で硬派。難しい海外情勢を、担当者のような国際オンチにもわかりやすく説いてくれます。
2015/12/25
著者プロフィール
三井美奈
ミツイ・ミナ
1967(昭和42)年、奈良県生まれ。読売新聞記者、一橋大学社会学部卒。ブリュッセル支局員、エルサレム支局長、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員などを経て、2011~15年パリ支局長。著書に『安楽死のできる国』『イスラエル―ユダヤパワーの源泉―』。