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お追従、お節介、横柄、臆病者、しみったれ……歴史の断層から掘り起こす「昭和史」の人間学。

人を見る目

保阪正康/著

821円(税込)

本の仕様

発売日:2018/04/16

読み仮名 ヒトヲミルメ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 216ページ
ISBN 978-4-10-610762-7
C-CODE 0221
整理番号 762
ジャンル 歴史・地理
定価 821円
電子書籍 価格 821円
電子書籍 配信開始日 2018/04/20

お追従、お節介、しみったれ、臆病者、空とぼけ……時は流れて世は大きく移り変わっても、人の考えることやすることには、古来変わらない傾向がある。昭和史の第一人者が、『パンセ』『人さまざま』『徒然草』など東西の古典をひもときながら、軍人や政治家、財界人や文士たちの様々な言動をたどる。善悪のあいだでよろめき続ける人間の悲哀を歴史の断層の中から掘り起こす、大人のための人間学。

著者プロフィール

保阪正康 ホサカ・マサヤス

1939(昭和14)年北海道生まれ。ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒。『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『あの戦争は何だったのか』『ナショナリズムの昭和』(和辻哲郎文化賞)、「昭和史の大河を往く」シリーズなど著書多数。2004年に菊池寛賞受賞。

目次

まえがき
お追従……権力者を中心に演じられる百態
古代ギリシアの人間模様/東條英機が優遇した「納豆組」/大島浩駐在武官とドイツの童謡/「角栄に腰使いやがって」
お節介……善意が転じて悪意となるとき
オモテとウラの二側面/二・二六事件後の寺内大臣/ソ連の対日参戦、日本のシベリア出兵/大宅壮一が憂えた「美談ジャーナリズム」/昭和史最大のお調子者・松岡洋右
しみったれ……哲学や思想なき打算
船成金・内田信也の金銭哲学/六倍の戦費を補うための人柱/妄想じみた「アメリカ処罰案」/指導者への「小人物呼ばわり」
わろき者……冷めた目で交友を見る
わろき者、七つあり/「最後の殿様」徳川義親の資金提供/寝業師・三木武吉と情の人・大野伴睦/人の交わりに季節あり
よき友……人間同士の地肌が合う
谷崎潤一郎と船橋聖一/浜口雄幸とピストル弥団次/島崎藤村とアナキスト/ファシストの「友を持たない人生」
機嫌を知るべし……生きていくための智恵
坂田山心中の猟奇事件/兵士たちに呪われた戦陣訓/桐生悠々「だから、言ったではないか」/チャタレイ裁判のお粗末なわいせつ観
考える葦……人間性が試されるとき
パスカル『パンセ』の教え/語彙が貧弱だった池田勇人/夏目漱石、中江丑吉の精神/「歴史のぬきさしならぬ意志」
天使と獣……性善と性悪のあいだ
スターリンの階級史観/獣道を進んだ指導者・東條/作家と作品の(味)/大本営発表の精神的退廃
臆病者……恐怖に心くじける人
生血をもって国に報いる/卑怯参謀と臆病将軍/戦時下日本の勇気ある七議員/戦場に出ていかない「小心者」
横柄……自己の利益のみに忠実なさま
昭和議会史の汚点「黙れ事件」/平沼騏一郎のパラノイア症状/田中角栄と人情の機微/渡世人ならではの真剣勝負
いやがらせ……他人を不快にさせて楽しむ
禁止された「わしゃかなわんよう」/「熊沢天皇」とGHQ/石橋湛山が喝破した「我が国自身」/化け物に転じた「統帥権干犯」
空とぼけ……人を騙す手法の罪
ハル・野村会談での攪乱戦術/次世代が背負う人類の歴史/軍内上層部の責任逃れ/爆弾三勇士と在郷軍人会
善の善なる者……戦わずして勝つのが務め
『断腸亭日乗』に見る荷風の慧眼/抗する者の勇気と行動力/政治は世間師の騙し合い/幻に終わった日中和平工作
微笑の習慣……気に入られるための防衛策
日本人であることを恥じる/マッカーサー様、日本の天皇陛下に/昭和初年代日本人の神経衰弱/日本人の「三つの心」
人の操もかくてこそ……一人になっても、見事に生きる
死に至るまでの進軍ラッパ/「庭の千草」が教えること/忠誠を誓う対象は何か/二・二六青年将校の「閣下、ごめん」
人性の正しい姿……真実の人間に出会うとき
安吾が問うた日本人の地肌/腹黒さこそ人間らしさ/「健全なる道義」のお粗末さ/マッカーサー万歳を叫ぶ軽薄
露落ちて花残れり……はかない人生の残り香
「主」と「栖」の運命/添田唖蝉坊が諷刺した「金の世」/西郷星に託された庶民の願い/流れの中の泡のひと粒
無色界……凡夫の苦しみを克服する
すべての欲を離れた世界/無色界に達する心識とは/清水の次郎長の風邪治療法/人間の退廃、国民の不幸
飛蛙の音……悪しき社会現象への反撥か
思考の涯てにある空白の空間/国際協調を打ち破った満州事変/「幻の音」を奏でる人/偽善的社会の憎まれ役
百代の過客……悠久の時の一瞬を生きる
時間と旅を謳う『奥の細道』/百代に抱え込まれた特攻作戦/「本当はあんたは誰なのか」/「ゴドー」を待ちつづける人びと
あとがき

担当編集者のひとこと

世に忖度のタネは尽きまじ

 昨年来話題の「忖度」という言葉、もとは他人の気持ちを推しはかることで、必ずしも悪い意味ではなく、日本人らしい心の働きともいえるでしょう。
 しかし、かつては東條英機にベッタリで時局判断を誤らせる一因ともなった「納豆組」、戦後では田中角栄に取り入るために「腰を使い」続けた政治家など、権力者とその取り巻きという関係は、ときに重大な結果をもたらします。
 本書で取り上げる「エピソードのひとつひとつは、私たち自身であり、私たちの生きている時代でもある」と著者はいいます。その上で、日々の欲望や計算、狡智などは、なまじの人格陶冶では克服できないことを知っておくことが重要だというのです。
 時代は移り変われど、世に忖度のタネは尽きまじ――そのことを思い知らされる昭和史の人間観察学です。

2018/04/25

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