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秋吉敏子と渡辺貞夫

西田浩/著

792円(税込)

発売日:2019/08/09

  • 新書
  • 電子書籍あり

1953年ふたりの出会いが日本のジャズを変えた。
当事者への膨大な取材を基に戦後日本ジャズ史を描く。

なんだ、この音楽は――ジャズの魅力に取りつかれてから、70年以上。1929年生まれの秋吉敏子と1933年生まれの渡辺貞夫は今なお演奏活動を続ける。ジャズとの出合い、アメリカでの修業、そして世界的ミュージシャンとしての栄光――戦後日本ジャズ史に重なる2人の人生を、本人達への長年の取材を基に描き出す。ペギー葉山、山下洋輔、原信夫、渡辺香津美ら、レジェンドたちの証言も満載。

目次
序章 出会い
第1章 ピアノに魅せられた少女
大陸生まれ/ピアノとの出合い/敗戦、そして引き揚げ/ジャズとの出合い/別府から福岡に
第2章 アメリカにあこがれた少年
琵琶から始まった音楽人生/空襲そして終戦/音楽熱の高まり/進駐軍に見たあこがれのアメリカ/船村徹の場合/高校生活、そして進路
第3章 ジャズで生計を立てる
飽くなき探求心/2年間の期限/コージー・カルテット/師・林リリ子
第4章 黄金時代の主役たち
日本ジャズの黎明と戦争/敗戦で花開いたジャズ/ジャズ黄金時代/ジャズと歌謡曲/守安祥太郎とモカンボ・セッション
第5章 シンデレラガール
初アルバムが米国発売/米国留学/恵まれたスタート/ニューヨークへ
第6章 「ナベさん、バークリーで勉強してみない?」
バンド・リーダー/アート・ブレイキー来日の衝撃/結婚/秋吉敏子からの誘い/米国への旅立ち/順調なスタート/ゲイリー・マクファーランドとの出会い/帰国
第7章 不遇と栄光
出産と離婚/勝負のリサイタル/引退決意/ビッグバンド結成/「孤軍」での覚醒/大曲「ミナマタ」/作曲術/欧州の思い出
第8章 フリージャズからフュージョンへ
帰国/ボサノバ・ブーム/世界への手応え/新世代の台頭/拡散する作風/作曲家としての試行錯誤/フュージョンの旗手に/貞夫との出合い/日本人奏者の相次ぐ海外進出/フュージョン全盛期
第9章 「世界のナベサダ」の誕生
武道館公演/世界発売/世界進出した北村英治/闘病、そして復活/エリス・レジーナの思い出/日本ジャズシーンの停滞と発展/大統領からの礼状/チベットの思い出/阪神大震災と東日本大震災/子供たちとともに
第10章 呼ばれればどこにでも
ふたたびニューヨークへ/委嘱作品/広島への祈り/栄誉/ビッグバンド解散
第11章 歩みは続く
老いを超えて/旅と出会いの人生/長く黄色い道
終章 二人の役割
おわりに

書誌情報

読み仮名 アキヨシトシコトワタナベサダオ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610826-6
C-CODE 0273
整理番号 826
ジャンル 芸能・エンターテインメント
定価 792円
電子書籍 価格 792円
電子書籍 配信開始日 2019/08/23

蘊蓄倉庫

 戦後、日本人ミュージシャンの活躍の場は、アメリカ進駐軍用に作られたクラブやダンスホールでした。しかし、当時、進駐軍の基地や軍需品を手配する特別調達庁の審査を受けないと、進駐軍相手の仕事をすることは出来ませんでした。しかも、特AからDまで格付けされ、出演料もランクによって異なったとのこと。渡辺氏は、自分たちのバンドの格付けを少しでも高くしてもらうため、審査員にウナギをご馳走します。その甲斐あってか、「評価のしようがない」と渋い顔で枠外の格付け「E」と評価されながらも、審査証をゲット。見事、バンドとしての仕事につくことができたのです。この本では、他にも、戦後のジャズシーンの様子を本人たちへの取材を基に描いています。

掲載:2019年8月26日

担当編集者のひとこと

 著者の西田浩さんは、ポピュラー音楽担当記者として25年以上、幅広く音楽取材を続けています。メールのやりとり中に「今、フジロックの取材中です」と返信が来たことも。そんな西田さんがジャズと出合ったのは、中学3年生の頃。さらに遡ると、小学5年生の頃からロックが大好きだったというから、筋金入りの音楽好きです。人生を音楽と共に歩んできた著者が「日本ジャズの源流には、1953年の2人の出会いがある」と断言する理由とは……? ぜひ、ご一読を。

2019/08/26

著者プロフィール

西田浩

ニシダ・ヒロシ

1963(昭和38)年東京生まれ。読売新聞編集委員。文化部でポピュラー音楽の担当を続けてきた。著書に『ロック・フェスティバル』『ロックと共に年をとる』、共著に『この50枚から始めるロック入門』『負けたくなかった 具志堅用高、波瀾の半生を語る』など。

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