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その病気、市販薬で治せます

久里建人/著

924円(税込)

発売日:2021/06/17

書誌情報

読み仮名 ソノビョウキシハンヤクデナオセマス
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 287ページ
ISBN 978-4-10-610910-2
C-CODE 0247
整理番号 910
ジャンル 家庭医学・健康
定価 924円
電子書籍 価格 924円
電子書籍 配信開始日 2021/06/17

バファリンとイブ、どう違う? 花粉症薬、結局何がいい? じつは処方薬と同じ薬? ドラッグストアでもう迷わない。薬剤師が徹底解説。

「風邪を引いたらまず医者へ」そんな常識は過去のものに!? 国のセルフメディケーション政策で、おなじみの病院薬は次々に市販化、処方薬と市販薬の間の壁は融解しつつある。解熱鎮痛剤、花粉症薬、胃腸薬など定番の常備薬から、水虫薬、痔の薬、発毛剤、精力剤など人には言いにくい薬まで、最新の成分と実際の効能を解説。激変する市販薬事情をふまえ、薬局と薬剤師を大活用する方法を分かりやすく伝授する。

目次
はじめに
第1章 「風邪で病院へ行くべきか」問題
病院と薬への思い込みと誤解/病院で処方される「風邪薬」の正体/本当に風邪に抗菌薬(抗生物質)は必要ない?/「コモンコールド」を知っていますか?/抗菌薬は古くて新しい問題/知識を生かし、ドラッグストアを活用する
第2章 ドラッグストアと市販薬で起きている「激変」
薬剤師の間で高まるドラッグストア人気/「アレグラ」解禁がすべてを変えた/病院の薬と市販薬の違い/市販薬は病院薬の劣化版?/病院薬と市販薬の「壁」が融解する未来/「薬のナビゲーター」という存在
第3章 「バファリン」と「イブ」は何が違うのか?
薬の特徴を“パターン”で捉える
〈うがい薬〉風邪に処方されるうがい薬は買える
〈鎮痛薬〉おさえておきたい4つの成分/日本人ばかり大量消費する「ロキソニン」
〈風邪薬〉「症状」で選ぶ理由/医療従事者にもファンの多い「葛根湯」
〈外用鎮痛薬〉「温湿布」vs.「冷湿布」/「貼る」vs.「塗る」
〈胃腸薬〉「コンビニの胃薬」と「ドラッグストアの胃薬」の違い
〈下痢止め〉止めていい下痢、止めてはいけない下痢/「正露丸」は何の薬?
〈目薬〉トレンドは「超高級目薬」/防腐剤入りは本当に目に悪いのか
〈花粉症薬〉「一番効く薬」が飲み薬とは限らない/ステロイド点鼻薬のコツ
〈口内炎薬〉「アフタ性口内炎」の場合/中国で“神薬”と呼ばれたパッチタイプ
〈保湿剤〉社会問題になった「ヒルドイド美容処方」/本当に「風呂上がりすぐ」?
第4章 人には聞けない「あの薬」
「コッソリ治したい」に役立つ市販薬
〈水虫薬〉そもそも「それは水虫かどうか」問題
〈ダイエット〉「ナイシトール」(防風通聖散)の本当の効果と副作用
〈精力剤〉インターポールも追う「偽造品」/安全でユニークな日本の市販精力薬
〈発毛剤〉「薄毛治療薬の戦国時代」を制すのは誰か?/「リアップ」一強を崩した「スカルプD」/高価格商品の「ビタミン」に効果はあるか?
〈消臭〉「デオコおじさん」現象と“汗のにおいエチケット”/口臭対策で大事なこと
〈痔〉“塗らずに治す”ヒット商品「へモリンド舌下錠」
〈睡眠の悩み〉副作用を転用した「ドリエル」の注意点
第5章 毎日を元気に乗り切るために
〈体質改善と健康維持〉「カタカナ漢方」の時代/漢方薬の科学的根拠
〈民間伝承薬〉日本のソウルメディシン/「栄養ドリンクよりも養命酒」?
〈栄養ドリンク〉1本2000円だから効果大?
第6章 「最強の薬箱」作りの罠と注意点
市販薬は究極の「時短」になる/物言わぬ専門家「添付文書」/添付文書は「※印」を確認する/薬が効かなくなる危険性、効きすぎる危険性/「排尿困難」の男性に要注意の風邪薬/医療用と市販で違う「効能・効果」/「飲むタイミング」は効き目に影響するか/ネット通販で気をつけたい「使用期限」/「医薬品副作用被害救済制度」のルール/災害時に需要度が高い市販薬一覧/「長期連用」でいつのまにか乱用者に/危険性が認知されにくいカフェイン/風邪薬なしでは生活できない“金パブ”依存/頭痛薬で頭痛が起きる無限ループ/「本当は危険な市販薬」話の危険性/「最強の薬箱」の第一歩は
第7章 インフォデミックとコロナ禍
アイドルで市販薬を選んでもいい?/消費者がチェックしづらい市販薬情報/誤解を招く売り出し方――“早く治す”“新商品風”/コロナ禍の失敗――消毒薬をめぐる混乱/「市販薬リテラシー」の歴史/「医師が選んだ市販薬」はいい薬なのか?/SNS空間を襲う「インフォデミック」/「WELQ事件」とグーグルアップデート/正確な医療情報を見分けるコツ/「バズった情報」を疑ってみる
第8章 市販薬2・0――「セルフメディケーション」の未来
これからの市販薬の買い方/国の医療負担を抑える「セルフメディケーション税制」/処方箋薬でも市販薬でもない「零売」/年々増えるドラッグストア発のPB品/ツイッター懸賞、ゆるキャラ/「古い」「多い」「派手」――日本型セルフメディケーョンの問題点/「自力で治す」ではない/拡大するネット通販/購入データは霧の中/ドラッグストアを「身近な健康相談所」に
おわりに
参照文献一覧

インタビュー/対談/エッセイ

買った薬の成分、言えますか?

久里建人

 店頭で市販薬を販売している薬剤師の私は、新型コロナウイルスをめぐって、昨年以降さまざまな奇妙な現象を見てきました。
 ワクチン接種が全国で始まった今年の五月から六月にかけて、街のドラッグストアで解熱鎮痛薬「タイレノールA」が人気を博すようになりました。接種後の副反応で高熱が出た場合、解熱鎮痛成分アセトアミノフェンが好ましい対症療法であると多くのメディアが取り上げたことで、その代表的製品の「タイレノールA」に注目が集まったのです。奇妙なのは、アセトアミノフェン製品は複数あるのに、「タイレノールA」に関心が集中したこと。多くの店で品薄になり、購入できないと嘆く人が出てきました。同じ成分の製品が他にあると来店者に説明すると、「わかった! あなたを信じてそれを買うわ」と、清水の舞台から飛び降りるような決心で購入する方もいます。
 言うまでもなく、薬は成分で選ぶもの。成分が同じなら、効果は同じです。なのに、市販薬はなぜか「知名度」や「イメージ」だけでなんとなく選んでいる人がごまんといるのです。
 こうした市販薬リテラシーの不足は、新型コロナウイルスをめぐる社会の不安や混乱の一因になっているように思います。日本は国民皆保険制度によって、誰もが軽い医療費負担で、病院を受診し、薬を処方してもらうことができます。市販薬に頼る必要がなかったことも、日本人の市販薬知識が育ってこなかった理由の一つでしょう。
 この状況は、近年変わりつつあります。医療財政の逼迫から、国は軽度の症状には受診でなく市販薬で対処するよう政策誘導しているのです。
 今や花粉症薬、胃薬、鎮痛剤など多くの分野で、処方薬と同じものが市販薬として売られています。緊急避妊薬の市販化の議論がこの六月から本格化し始めたり、来年からは日本初「市販薬の自動販売機」の実証試験が始まったりと、今までにない大胆な規制緩和の動きも起きています。
 今まで病院でしか入手できなかった薬が市販薬として購入できるようになる。そして、市販薬でも入手できる成分の薬は、公的医療保険で処方されなくなる可能性がある。処方から市販へのシフトチェンジは、この先も続く確実な未来です。
 市販薬の時代とは、自分で薬を選ぶ時代。その荒野を歩く地図を提供するのが本書です。「バファリン」と「イブ」の違いを始め、風邪薬、胃腸薬、貼り薬や目薬から精力剤、発毛剤、睡眠導入剤や漢方まで、身近な薬の成分について商品名をあげて解説。症状別の選び方、薬剤師への相談ポイント、パッケージを見る際の注意点、災害時に備える薬一覧、メディアの情報を見分ける方法など、明日から役立つ知識を盛り込みました。知られざる「市販薬の世界」を、お楽しみください。

(くり・けんと 薬剤師)
波 2021年7月号より

薀蓄倉庫

病院薬より優れている部分もある

 ――と聞いて、「そんなわけはない!」と思われるでしょうか。しかし本書を読めば、これがどういうことかが分かります。代表的な例は、薬や容器の「形状」。市販の発毛剤「リアップ」シリーズは、同じ成分量が配合された低価格の他社商品に比べて、非常に高額です。にもかかわらず、支持を集めている理由の一つは、「頭皮に塗る先端の部分が痛くない」ということ。市販薬は病院の処方薬と違い、価格や使い心地の面で市場の競争原理が働くため、メーカーは容器の開発にも力を入れて他社製品との差別化を図っているのです。湿布などの貼り薬には、フィルムをはがした際にくっついてぐちゃぐちゃになることなく貼れる形状の開発で、グッドデザイン賞を受賞した商品も。長く付き合っていく薬なら尚更、使いやすさは重要なのです。

掲載:2021年6月25日

担当編集者のひとこと

“ちょっとした不調”はコントロールできる

 著者の久里建人さんのブログ「ドラッグストアとジャーナリズム」を発見したのは、子どもが産まれて間もない頃でした。
 まだ首も座っていない、免疫よわよわの赤子を連れて病院に行くのは大変、かといって家に置いても行けないし、授乳中なので飲める薬も限られる……そんな中、なんとか市販薬で効果的な対処ができないかとネットで検索していたところ、ヒットしたのが彼のブログ記事でした。
 風邪薬にもいろいろな成分があること、効く薬は必ずしも「飲み薬」とは限らないこと……市販薬の奥深い世界を目の当たりにし、自分の市販薬についての知識がいかに「CM頼み」のものだったかを思い知らされました。また、片頭痛持ちの私は、子どもの頃から親に言われてきた「頭痛薬は飲み続けると効かなくなるから、どうしても我慢できなくなるまで飲まない方がいい」という教えが間違っていたことを知り、鎮痛剤を我慢せず飲めるようになるという、大げさかもしれませんが人生のQOL(生活の質)が大幅に上がる気づきを得ることもできたのです。
 市販薬という、どこか「気休め」のように思っていた薬について、論文等を引用しながらしっかりとしたエビデンスを示し、これだけ熱心に探究している薬剤師が店頭にいるという事実にも、衝撃を受けました。
 CMや“聞き伝え”の情報に頼りがちな市販薬は、適切に選んで使えば生活を大きく助けてくれる――これが、著者に新書を書いていただきたいとお願いしたきっかけです。

「のどの腫れから熱が出やすい」「疲れがたまるとぶり返す症状がある」
 大きな病気ではないけれど、体が弱るときまってココに出る、という“ちょっとした不調”を抱えている人は多いのではないでしょうか。基礎体力や免疫力を上げればよいと聞いていろいろな健康法を試してもイマイチ効果は実感できず、結局その都度仕事を休んで病院に行くしかないと諦める……。そんな方にぜひ知っていただきたいのが、市販薬をうまく使うという選択肢です。
 私の場合、片頭痛に加え、鼻の奥や扁桃の炎症からくる痛みや発熱に悩まされてきましたが、本書をきっかけに市販の「アズレンスルホン酸ナトリウム」配合のうがい薬を常備するようになり、加えて市販の鼻うがいキットも使うことで症状を大分コントロールできるようになった気がします。毎年「目玉を取り出して洗いたい」と思っていたほどの花粉症も、飲み薬では眠気が強く出て困っていましたが、今年は本書で紹介されている市販のステロイド点鼻薬一本で乗り切ることができました。驚きです。
 もちろん、いつもと違う症状があれば病院に行くことが大事ですが、「正直、“いつもの不調”が出るたびに病院に行っている時間がない」という方は、本書の内容をもとに店頭で薬剤師に相談し、自分にあった薬を見つけてみていただければと思います。きっとお役に立てる内容があるはずです。

2021/06/25

著者プロフィール

久里建人

クリ・ケント

薬剤師。2005年に薬剤師免許取得後、医療用医薬品情報に関わる業務等を経て、市販薬の店舗責任者や新規事業関連のマネージャーを務める。ブログ「ドラッグストアとジャーナリズム」やSNSを通じて一般消費者向けに情報を発信し、講演、寄稿、書籍監修等も行う。

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