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楽観論

古市憲寿/著

968円(税込)

発売日:2021/08/18

書誌情報

読み仮名 ラッカンロン
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 312ページ
ISBN 978-4-10-610918-8
C-CODE 0236
整理番号 918
ジャンル エッセー・随筆
定価 968円
電子書籍 価格 968円
電子書籍 配信開始日 2021/08/18

絶望って、安易じゃないですか? 危機の時代、悲観的にならず生きるための思考法。

「日本はもうダメだ」「世の中悪くなる一方」。SNSでもメディアでも、聞こえるのは嘆きの声ばかり。たしかに世界は順風満帆ではないし、悲観論は人を賢く見せる。だが、僕たちはこの世界で生きていくしかない。だったらせめて、楽観的に捉えてみたらどうだろう。どんな出来事も視点をずらして眺めれば、違った景色が見えてくる。危機の時代、安易な厭世論に陥らず軽やかに生きるためのヒント。

目次
はじめに
第一章 平成は終わるが日常は続く
21世紀の未来は目に見えない/10年前と変わらないパスポート更新/昔話は未来を考える補助線/日常は意外としぶとい/元祖ミニマリスト・鴨長明/北欧の幸福を支えるもの/平成最後の「芥川賞」候補者体験記/僕の人生の指針のようなもの/テレビで緊張しない理由/YouTuberとテレビタレントの違い/オンラインサロンの宗教性/革命は月曜日に起こりやすい/完璧主義という罪な思想/こんまりが世界的に注目された理由/24時間営業は時代遅れか/「果て」に必要なのは「果てっぽさ」/隔離が生むのは「分断」か「棲み分け」か/実は近い「アンチ」と「ファン」/「国民的瞬間」の演出法/ダサい新紙幣に思うこと
第二章 令和は地味な夜明けと共に
地味な元号またぎの瞬間/改元の日の過ごし方/高齢ドライバーの事故リスクにどう対応すべきか/似ている人には厳しくなる/一人で早く行くか、仲間と遠くに行くか/渋谷の寿命の長さに驚く/語学力より機械の活用スキル/知識よりひらめきが必要な社会/民主主義には「ちょうどいい大きさ」がある/価値をつくるのは共同幻想/「芥川賞」連敗記/未来を占うには知識が必要/長岡花火で戦争について考えた/瀧本哲史さんにお願いしたいこと/なかなか時代劇にならない「サザエさん」/象徴の街ワシントン/平和記念資料館リニューアルに思うこと/「お天道様」に代わる監視社会/「にわか」を許さない業界は滅びる/過去に向かって変化する奈良/庶民の味方ぶる人たち/誰かの幸福が誰かの不幸だとしたら/教育に期待しすぎな人々/「天気の神」を寿ぐ危うさ/観光客が喜ぶのは「受け入れられてる感」/世界進出のキーワードは「中二」/過激な言動は落ち目のサイン/野党の支持率が上がらない理由/歴史の「忘却」がもたらすもの/「グローバル化」は先史時代から始まっている/繰り返しの効用/海外の都市はなぜお洒落なのか/画質で時代を測る/政権批判のためにハラスメントしてしまう人たち/「何者」かになる利点
第三章 コロナ騒動観察記
新型コロナ報道とニュースの限界/AIアーティストは「冒涜」なのか/お金があってもままならないこと/無能な善意/人生は意外とローリスク・ハイリターン/陸前高田のこれからを考える/瓦解した「理想のヨーロッパ」/通常運転の安倍昭恵さんにほっとする/誰より国家を信じていた人たち/ほとんどの旅は不要不急だけれど/コロナがもたらした「いい変化」があるとすれば/締め切りのある人生を送る/演説上手なリーダーは実は危険である/ダイエットに成功して考えたこと/「会って話すことが大事」なんて嘘/「百合子」を望んだ日本社会/「体制」でも「反体制」でもない「非体制」/「夜の街」が静かだった時代/身近な人からの評価と世間の評価は一致しない/マイナンバーカードの普及が進まない理由/勲章はコスパのいい制度/他者の記憶の中で生き続ける
第四章 今も昔もまあこんなもの
IT後進国日本は変われるのか/幽霊を怖がる合理性/もし新型コロナが30年前に流行っていたら/「属性」ではなく「状態」/安倍政権は本当に独裁的だったのか/「重大ニュース」は相対的に決まる/本当の自由人はなかなかいない/「DX」って何?/「年寄りは新しいものが苦手」なのか/グーグルより信頼されない日本政府/自分に期待しないで生きる/「夜の経済」が乏しい日本/ミヤシタパークから見えた景色/「気持ち」を根拠にする人たち/「青年の主張」はなぜ終わったか/応援の怖さ/流行の「上流」と「下流」/幻の2020年回顧録
おわりに

薀蓄倉庫

進化し続ける機械翻訳

 英文を苦労して読んだのも今は昔、機械翻訳のクオリティはこの20年ですさまじい精度に達しています。著者が海外ニュースを読むのに日々活用していると紹介するのは「みらい翻訳」、そして「DeepL翻訳」。後者はドイツ企業の無料翻訳サービスですが精度が高く、特によく使うとのこと。海外に行った際は、スマホ用のアプリでカメラをかざすと瞬時に日本語を表示してくれるグーグル翻訳も便利です。世の中なかなか変わらないことも、時には悪くなったように思えることも多々ありますが、便利になった面にも目を向けたいですね。

掲載:2021年8月25日

担当編集者のひとこと

絶望の国の楽観論

 コロナ禍が長引く中、日々のニュースにうんざり気味な方は多いのではないでしょうか。感染拡大、経済損失、災害や事件……不安や悲しみで溢れた報道ばかり。世間はどう見ているのだろうとSNSを開けば、誰かを糾弾したり叩いたり、あるいはこの国がいかにダメでお先真っ暗かといった、悪口や悲観論が次々出てきます。
 もちろんそうした現実から目を背けるわけにはいきません。おかしいと思ったことはきちんと批判していかなければならないでしょう。一方、私たちはそんな危機や絶望ばかり目につく世界で、「それでも」生きていかなければならないのです。こんな心折れそうな中、どうやって?
 そんなとき、古市さんの世の中を見る目はとても参考になります。いわく、そのコツは「あきらめながらも、腹をくくる。受け入れながらも、視点をずらす」こと。
 コロナで判明したヨーロッパの弱さとは? 多くの死者を出したスペイン風邪はなぜ歴史教科書にほとんど載っていない? 強権発動を求める人たちが実は一番国家に期待している? 「グローバル化」は先史時代から始まっているのでは? etc……
 ちょっとシニカルでクリアな文章を読んでいくうちに、「そんな視点があったのか」と驚きながらも、なんだか気が楽になっていることに気付きます。
 1つの話題につき、およそ3ページ。この時代に必要な「あきらめから始まる楽観論」、少しずつ読んでいただくと、頭と心がちょっとほぐれること請け合いです。

2021/08/25

著者プロフィール

古市憲寿

フルイチ・ノリトシ

1985(昭和60)年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。日本学術振興会「育志賞」受賞。若者の生態を的確に描出した『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。他の著書に『誰の味方でもありません』『平成くん、さようなら』など。

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