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韓国 超ネット社会の闇

金敬哲/著

902円(税込)

発売日:2022/07/19

  • 新書
  • 電子書籍あり

人生の時間の4割をネットに費やす人たち。韓流コンテンツからダークウェブまで、IT大国の光と陰とは?

新大統領・尹錫悦がネットで犯した致命的なミス、日本の政治家もマネしたくなる30代政権党トップのSNS術、PSY、BTS、『イカゲーム』を生み出したコンテンツ力、反日不買の震源地となるなど世論を動かす「オンライン・コミュニティ」の実態、鬼畜化するデジタル性犯罪……。朴正煕、金泳三の両大統領によって蒔かれたIT大国の種がいかに萌芽したのか。その光と陰を余すところなく映し出す。

目次
はじめに
第1章 ネット狂奔の大統領選とSNSの魔力・威力・神通力
世界で初のネット選挙は韓国から/コロナ禍が拍車をかけたSNS選挙/SNS初心者・尹錫悦が犯した致命的なミス/SNSはふぐ料理/日本の政治家もマネしたくなる30代保守党トップのSNS術/ウィットに富んだ「AI尹錫悦」/議員に義務づけられた書き込み/重要な役割を果たした政治系YouTuber/政治系YouTuberを支えるあなたの隣の人々/泥沼のスキャンダル合戦/秘密録音による暴露合戦の主戦場/国家情報院の世論操作事件/世間を震撼させた「ドゥルキング」事件/大きな影響力を保持する「政治家のファンクラブ」
第2章 IT大国の光と陰
バックボーンを作った朴正煕と金泳三/超高速ネット時代へ~金大中、盧武鉉政権/ 迷走の時を迎えて/世界が注目したK防疫の実態/コロナ禍で進む業界の地殻変動/IT企業の雄/楽天を抜き去った「韓国版アマゾン」/ユニコーン企業たち/大企業30社のうち63%
第3章 世界に飛翔した韓流コンテンツ
源流はIMF金融危機/『江南スタイル』の成功をもたらしたマジック/「どうしてYouTubeなのか?」/“代役要員”だったBTS/世界を席巻したARMY/第4世代に突入したK-POPアイドル/ヒットの方程式を根底から覆したNetflix/OTT時代到来とコンテンツパワー/韓国発ウェブトゥーンが全盛を迎えたワケ
第4章 ネット文化の中心に鎮座するオンライン・コミュニティ
ろうそく集会、反日不買、学暴MeTooの起点として/コミュニティの開花期/緋文字扱いの極右・反社会的サイト/世論を動かす6大勢力/動員力の明と暗/『鬼滅の刃』を巡って大きく分かれた評価/反日不買の震源地とは?/ネット上はいつもどこかで不買運動中/「東京五輪3冠女王」に向けられた20代男たちのアンチ・フェミニズム/暴露書き込みのラッシュでリアル社会を翻弄
第5章 IT化でディストピアに片足を突っ込んだ
オスカー映画冒頭の「電波を探す」シーン/コロナが深刻化させた「社会の慢性病」/合理化のため全体の60%が閉鎖された銀行/『梨泰院クラス』の舞台もコロナ禍で/「N番の部屋」事件と鬼畜化するデジタル性犯罪/処方された麻薬性鎮痛剤をネットで転売する少年たち/「赤ちゃん売ります」「ワクチンパスを譲ってほしい」もあるマーケット/性的搾取の対象となる男性アイドル/ネット上の誹謗中傷で自死した国民的女優たち/告訴・告発を連発した有名政治家とは?/炎上案件に寄生する「サイバーレッカー」の暗躍
おわりに
主要参考文献

書誌情報

読み仮名 カンコクチョウネットシャカイノヤミ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-610958-4
C-CODE 0236
整理番号 958
ジャンル ノンフィクション
定価 902円
電子書籍 価格 902円
電子書籍 配信開始日 2022/07/19

蘊蓄倉庫

BTSブームの道のり

 韓国には独特のアイドル養成システムがあり、かつては豊富な資金力を持つ大手芸能事務所の独壇場でした。今や世界を席巻する存在のBTSはもともと中小規模の事務所に所属し、無名時代には“常に誰かの代役・穴埋め”としてキャスティングされる悲哀を味わってきたそうです。そんな彼らがチャンスをものにできたのは、TwitterやYouTube、その他の動画チャンネルを通じて自ら情報を発信し、地道にファンを掘り起こすことができたからだということでした。

掲載:2022年7月25日

担当編集者のひとこと

韓国のネット社会の闇とは

 オスカー映画「パラサイト~半地下の家族」は、主人公の兄妹がスマホをWi-Fiにつなげるために、家の隅々を歩き回って電波を探すシーンから始まっています。超高速ネット通信を無制限に使える契約はろくな仕事もしていない2人にとって手が届かない。だから彼らは格安料金プランでスマホを契約し、上階や隣人の契約したWi-Fiを無料で使おうとしていたのです。家計を圧迫する通信費問題はもちろん、ネット社会のひずみのようなものを象徴的に捉えたシーンと言えるでしょう。実際の韓国のネット社会で何が起こっているかについては、本書を通じて体感して頂ければ幸いです。

 著者のフリージャーナリスト・金敬哲氏は日韓両国で学び、記者として新聞社に勤務した経験を持っています。前著『韓国 行き過ぎた資本主義「無限競争社会」の苦悩』(講談社現代新書)において、一旦脱落すると2度とレールに戻ることができない極めて残酷な韓国社会の現状をレポートし、話題となりました。今回は、韓国の“行き過ぎたネット社会”の部分にフォーカスし、IT超大国の光と陰を丁寧に描きます。

2022/07/25

著者プロフィール

金敬哲

キム・キョンチョル

韓国ソウル生まれ。淑明女子大学経営学部卒業後、上智大学文学部新聞学科修士課程修了。東京新聞ソウル支局の記者を経て、2022年7月現在はフリージャーナリスト。著書に『韓国 行き過ぎた資本主義――「無限競争社会」の苦悩』(講談社現代新書)がある。

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