
スターの臨終
1,034円(税込)
発売日:2025/01/17
- 新書
- 電子書籍あり
渥美清、大原麗子、夏目雅子、八代亜紀、志村けん……。時代を彩った人々の「最期の生き方」。映画監督山田洋次さん推薦!
メメント・モリ──常に死を想えと古人は言った。「板橋のドブ」で死ぬのが理想と語った渥美清、余命1年を宣告されても女優への執念を絶やさなかった川島なお美、葬儀で「幸せな人生だった」と自らの声で語った田中好子、舌がんで入院中も冗談を飛ばしたケーシー高峰……。時代を彩ったスターは死を目前にして、何を思い、生きたのか。自身もがんと闘い、刊行を待たずに他界した著者が綴った、“死に際”の物語。
「大衆文化担当」の編集委員として――プロローグ
I 演じる人生――演じるとは、生きること
渥美 清 「板橋のドブで死んでるよ」
光本幸子 マドンナとは「我が淑女」
大原麗子 病魔との闘い、62歳の孤独死
八千草薫 「今という時間」を前向きに
沖 雅也 倍速で生きた男
夏目雅子 「いさぎよく生きたい」
川島なお美 「命ある限り表現したい」
II 歌う人生――歌は世につれ、世は歌につれ
藤 圭子 虚像と実像の間で
水木一郎 「止まると老けちゃう」
岡田有希子 ぞっとするほどの報道合戦
田中好子 「幸せな、幸せな人生でした」
笠置シヅ子 「生きるとは何か」を歌で問いかけた
淡谷のり子 嫌なものは嫌。好きなものは好き。
八代亜紀 「この先、きっとよくなるから」
島倉千代子 「人生いろいろ」を生んだ波乱の人生
本田美奈子 病院は人間と人間が交流する場
坂井泉水 「謎に包まれた歌姫」の澄んだ歌声
III 時代を映す人生――大衆のエネルギーと想い
福富太郎 波乱万丈のキャバレー人生
一条さゆり ストリップは「わいせつ」か?
阿久 悠 最期は本名で
清水由貴子 真面目で良い子が背負ったもの
IV 闘い続ける人生――闘魂・忍耐・孤独・挑戦
アントニオ猪木 「迷わず行けよ、行けば分かるさ」
ラッシャー木村 「金網デスマッチの鬼」の素顔
アンドレ・ザ・ジャイアント 徹頭徹尾、孤独だった
ジャンボ鶴田 「人生はチャレンジ」
V笑わせる人生――心とからだにビタミンを
ケーシー高峰 一番風呂での出会い
ポール牧 「独りって寂しいね」
牧 伸二 芸人という生き方
志村けん 「ドリフの宝、日本の宝」
見事な孤独死――エピローグ
書誌情報
読み仮名 | スターノリンジュウ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
雑誌から生まれた本 | デイリー新潮から生まれた本 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 240ページ |
ISBN | 978-4-10-611075-7 |
C-CODE | 0230 |
整理番号 | 1075 |
ジャンル | 社会学、ノンフィクション |
定価 | 1,034円 |
電子書籍 価格 | 1,034円 |
電子書籍 配信開始日 | 2025/01/17 |
蘊蓄倉庫
「山に登りませんか」
本書では、朝日新聞「大衆文化担当」記者の著者がその「死に際」を振り返りつつ、29人のスターたちの人物像を浮き彫りにします。
インタビューの合間に、歌手の水木一郎さんが「体のためにいつか一緒に山に登りませんか」と誘ってくれたことや漫談家のケーシー高峰さんとの一番風呂での出会いなど、記者とスターという立場を少し離れたところでのやりとりにこそ、彼らの人柄が現れているように感じます。不思議と明るい気持ちになれるエピソードが満載です。
掲載:2025年1月24日
担当編集者のひとこと
スターが輝いた時代
「スター」と聞くとどんな人物が思い浮かびますか。歌手、アイドル、俳優、スポーツ選手……それぞれの人の中に「スター」の存在があると思います。最近では、好みが多様化し、それぞれに“推し”はいても誰もが憧れるスターは生まれにくいのかもしれません。かつては、今よりももっとテレビや映画が娯楽の中心だったからこそ、スターへの熱狂が生まれたのだとも言えそうです。
本書に登場する29人のスターたちは、皆すでに亡くなっているという共通点があるものの、活躍した場も時代も様々です。ぜひ懐かしみながら、楽しんでください。
2025/01/24
著者プロフィール
小泉信一
コイズミ・シンイチ
(1961-2024)1961年、神奈川県生まれ。朝日新聞編集委員。管理職に就かず現場を貫いた全国紙唯一の「大衆文化担当」記者。東京社会部の遊軍記者などを経て、編集委員として連載やコラムを担当。著書に『おーい、寅さん』、『裏昭和史探検』など。2024年10月、がんで死去。