
知の本棚
946円(税込)
発売日:2026/05/18
- 新書
- 電子書籍あり
脳をアップデートする、最強の情報源。15年間のベストコレクション55冊。
本を読んだほうがいい。──そう思ってはいても、忙しさから書店に足を運ぶことのできない人、数多並ぶ本の中からどれを読めばよいかわからないという人は多い。ジャーナリストとして多忙を極める日々の中でも長年、読書習慣を続け、「書籍こそ実は“タイパ”がいい」「脳を鍛えることができる」と説く著者が、15年にわたり読んできた本の中から、自身の情報源ともなった「精鋭」たちを紹介する。
はじめに
第1章 世界の変化を素早くつかむ
知られざる中国「奥の院」の実態──リチャード・マグレガー『中国共産党』
「危険な中東」「かわいそうな難民」は本当か──ヨリス・ライエンダイク『こうして世界は誤解する』
アメリカの来し方に日本を見る──トーマス・フリードマン他『かつての超大国アメリカ』
アメリカ政治に影響を与える最高裁判事たち──ジェフリー・トゥービン『ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔』
明るみに出たFBIの違法行為──ティム・ワイナー『FBI秘録』
NSAの極秘文書に記された日本との関係──グレン・グリーンウォルド『暴露』
イスラム政治思想をわかりやすく──池内恵『イスラーム国の衝撃』
ドローンの“出自”を知っておく──リチャード・ウィッテル『無人暗殺機 ドローンの誕生』
コーランがわかればイスラム教がわかる──カーラ・パワー『コーランには本当は何が書かれていたか?』
米大統領のスピーチライターが明かす裏話──デビッド・リット『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』
北朝鮮への「制裁」の実情──古川勝久『北朝鮮 核の資金源』
信頼できる中国分析──エズラ・F・ヴォーゲル『リバランス 米中衝突に日本はどう対するか』
「反日」感情の裏にある韓国の内在的論理──峯岸博『日韓の断層』
「クレイジー・バーニー」はなぜ若者に支持されたか──バーニー・サンダース『バーニー・サンダース自伝』
米大統領選で「武器」になったデータ──クリストファー・ワイリー『マインドハッキング』
アメリカでのワクチン接種をめぐる攻防──ヴェルナー・トレスケン『自由の国と感染症』
ロシアに暮らす「普通の市民」の姿──小泉悠『ロシア点描』
最初で最後のソ連大統領がのこした言葉──ミハイル・ゴルバチョフ『我が人生 ミハイル・ゴルバチョフ自伝』
ハッカー集団から自国を守るには──松原実穂子『ウクライナのサイバー戦争』
「西洋」が見誤った現実──エマニュエル・トッド『西洋の敗北』
トランプ現象はアメリカ分断の「原因」ではなく「結果」──会田弘継『それでもなぜ、トランプは支持されるのか』
第2章 社会を大きく俯瞰でとらえる
外からの目で日本を見直す──デイヴィッド・ピリング『日本‐喪失と再起の物語』
敏腕記者が語る田中角栄とロッキード事件──村山治 他『田中角栄を逮捕した男』
裁判官は「法服を着た役人」──瀬木比呂志、清水潔『裁判所の正体』
感染症と経済──デヴィッド・スタックラー他『経済政策で人は死ぬか?』
「政治家の言葉」を点検する──中島岳志、若松英輔『いのちの政治学』
拉致被害の実態を改めて知る──蓮池薫『日本人拉致』
バランスの取れた歴史観──保阪正康『日本の現在地から読み解く「太平洋戦争」』
第3章 仕事・組織・リーダー論
自分に与えられた使命──河北新報社『河北新報のいちばん長い日』
世界銀行副総裁の働き方に学ぶ──西水美恵子『あなたの中のリーダーへ』
「奇跡の復活劇」の背景にあった組織改革──引頭麻実編著『JAL再生』
リーダーシップは全員が持つべきもの──伊賀泰代『採用基準』
プレゼンで最も大切なこと──カーマイン・ガロ『TED 驚異のプレゼン』
大企業の「失敗」に学ぶ──田中周紀『会社はいつ道を踏み外すのか』
NHK看板キャスターの仕事術──国谷裕子『キャスターという仕事』
課題と軋轢だらけの組織を動かす──忍足謙朗『国連で学んだ修羅場のリーダーシップ』
「ビジネスで社会貢献」を本気で実現する──田口一成『9割の社会問題はビジネスで解決できる』
「多様性ある組織」の実例に見るメリットとは──マシュー・サイド『多様性の科学』
第4章 自分の頭でよく考える
識者の予想を鵜吞みにする前に──ダン・ガードナー『専門家の予測はサルにも劣る』
紋切型の言葉に頼らない──武田砂鉄『紋切型社会』
わかりやすい「ビットコイン」入門書──大塚雄介『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』
AIやビッグデータがもたらす危険も知っておく──キャシー・オニール『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』
統計データにも罠がある──ゲアリー・スミス『データは騙る』
韓国の主婦が「資本論」を読んだ結果──チョン・アウン『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』
私たちは何を信頼し、何に不信感を持つのか──キャサリン・ホーリー『信頼と不信の哲学入門』
ジェンダーバイアスが経済に与える影響──カトリーン・マルサル『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話』
第5章 ベストセラーには気づきがある
人生をどう設計するか──リンダ・グラットン他『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』
「常識」が覆される──ハンス・ロスリング他『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』
非行の背景にある問題──宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』
資本主義の未来を考える──斎藤幸平『人新世の「資本論」』
生きる意味を知るための読書──堀内勉『読書大全』
女性を不可視化した経済学の欠陥──カトリーン・マルサル『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』
ドラマのような実話──武田惇志、伊藤亜衣『ある行旅死亡人の物語』
読書と労働をめぐる歴史──三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
アメリカ国民四半分の信仰を理解する──加藤喜之『福音派』
おわりに
書誌情報
| 読み仮名 | チノホンダナ |
|---|---|
| シリーズ名 | 新潮新書 |
| 装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
| 発行形態 | 新書、電子書籍 |
| 判型 | 新潮新書 |
| 頁数 | 192ページ |
| ISBN | 978-4-10-611123-5 |
| C-CODE | 0230 |
| 整理番号 | 1123 |
| ジャンル | 社会学、思想・社会 |
| 定価 | 946円 |
| 電子書籍 価格 | 946円 |
| 電子書籍 配信開始日 | 2026/05/18 |
インタビュー/対談/エッセイ
書店めぐりから書評の世界へ
書店を巡るのが大好きです。そんな趣味はいつから生まれたのか。記憶にあるのは小学校五年生頃でしょうか。東京郊外の私鉄沿線の我が家の周辺には二軒の書店がありました。どちらも売り場面積は大して広くないのですが、小学生の私にとっては、十分な広さでした。「知のワンダーランド」とでも呼べるような存在でした。
この「ワンダーランド」で、私の将来を決める書籍に出合いました。地方で働く新聞記者の仕事ぶりを描くドキュメントでした。毎日のように「サツ回り」をする記者たち。警察署の刑事課や交通課を回ってニュースを探し、ライバルの記者たちとの熾烈な特ダネ競争。殺人事件が起きれば、記者たちも犯人探しを始め、警察より先に容疑者を割り出し、警察に自首するように説得する。
こんな世界があるとは。将来、地方で働く新聞記者になるぞと決意したのです。結局、新聞記者ではなくNHKの記者になりましたが、希望通り地方記者として働くようになりました。
初任地の松江でも、私がよく顔を出す書店が二店ありました。次の転勤先の呉でも行きつけの書店ができました。どちらも毎日のように顔を出しますから、書店員とはすっかり顔見知りになりました。
初任地の松江で先輩記者から言われたのは「松本清張を読め」ということでした。清張が描く小説には汚職を扱ったものも多く、警察の捜査が進むと、渦中の課長補佐が自殺して捜査がうやむやになる、というものがあるからです。「こういう小説を読んでおけば、汚職事件を捜査する警察を取材するときに役に立つ」というアドバイスでした。
ただ、私は松本清張の小説でも『点と線』のような殺人事件を扱った小説が気に入ってしまい、やがて東京の社会部記者になると、警視庁の捜査一課担当になります。いわゆる“殺し記者”です。
NHKのキャスターになると生活のリズムが安定。往復の途上で、毎日二軒の書店に顔を出していました。もうビョーキですね。
こんな書店好きが知られるようになって、書評の仕事もするようになりました。改めて言うまでもありませんが、書評とは難しい仕事です。自分の好きな本を選べばいいというわけではありません。想定される読者が関心を持ちそうな本、役に立ちそうな本を選びます。その本の面白さを知ってもらうには、内容を要約する必要もありますが、やりすぎるとネタバレになってしまいます。そこまで行かずに寸止めに留めながら、でも面白さを伝えることの困難さ。
そんな苦労をしていたら、書評をまとめて、その名も『知の本棚』という書名で出版されることになりました。その悪戦苦闘ぶりを観察いただければ幸いです。
(いけがみ・あきら ジャーナリスト)
著者プロフィール
池上彰
イケガミ・アキラ
1950(昭和25)年、長野県生まれ。ジャーナリスト。名城大学教授、東京科学大学特命教授、立教大学客員教授など複数の大学で教鞭を執る。慶應義塾大学卒業後、NHK入局。報道記者や番組キャスターなどを経て、1994年から11年間、『週刊こどもニュース』でお父さん役を務める。2005年に独立。『伝える力』『なぜ、読解力が必要なのか?』など著書多数。

































