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外国人患者─医療ツーリズムと日本の現実─

山田秀臣/著

990円(税込)

発売日:2026/05/18

  • 新書
  • 電子書籍あり

【病院は救えるか?】【健康保険は大丈夫か?】 国際診療の専門家で現場の医師が制度の問題から「ブローカー」まですべてを語る。

深刻化する医薬品不足、経営難と求人難で相次ぐ診療科の閉鎖、急増する病院の倒産──いま、日本の病院診療を取りまく状況はかつてないほど危機的だ。それでも希望はある、と著者は言う。それが「医療ツーリズム」だ。なぜ外国人患者の医療インバウンドが日本の医療を救うのか? 患者の周囲に見え隠れするブローカーとは? 世界に知られた健康保険制度は大丈夫なのか? 国際診療の現場から現役医師が鋭く問う!

目次

はじめに──日本医療の未来のために

第1章 なぜ今、日本の医療機関が倒産するのか?
病院経営の病を診る/医療崩壊の一因──患者数減/消費税のアップと新型コロナ/病院を襲うコスト増/医療費は勝手に上げられない/病院経営復活の「治療法その1」/病院経営復活の「治療法その2」/病院経営復活の切り札

第2章 医療ツーリズムで成功するには
米国──医療ツーリズムの総本山/韓国──美容大国/台湾──大陸との微妙な関係/中国──急激に発展する医療大国/シンガポールとマレーシア──ターゲットは富裕層/タイ──安くてニッチな医療/日本は医療ツーリズムに適しているか?

第3章 日本医療の強みは何か
ユニークで豊かな日本医療/日本に期待される治療とは(カテーテル治療・人工関節の手術治療・糖尿病・内視鏡治療・不妊治療・陽子線治療などの放射線治療・リハビリテーション)/医療ツーリズムがもたらす夢

第4章 失われゆく日本のアドバンテージ
偽薬の怖ろしさ/日本の薬のアドバンテージ/薬を外国に売る薬局?/「ハーボニー事件」の謎/アドバンテージを失うな/医療の安全保障/求められる日本製品

第5章 自由診療の未来と日本医療の強み
医療ツーリズムを支える自由診療/なぜ自由診療が重要なのか/自由診療の闇/「日本精密体検」の人気/自由診療のトラブルは対岸の火事か

第6章 日本の外国人患者の現状
有望な市場を前にして/外国人患者は多種多様/グローバル企業のグレー事例/留学生やワーキングホリデーのグレー事例/経営者のグレー事例/日本人であっても/問題を放置してよいのか

第7章 日本の医療ツーリズムの仕組み
医療ツーリズムの仕組み/日本側の受け入れ体制/医療ツーリズム患者受け入れの実情

第8章 「ブローカー」が暗躍する世界
「国際医療コーディネーター」の問題点/なぜ患者から軽んじられるのか/患者自身の問題点/「ブローカー」とは何者か/どうやって稼いでいるのか?

第9章 日本の健康保険は狙われている?
韓国が払った代償/親を呼び寄せる高度人材/一人っ子政策の余波/病気の親や親類を日本に呼ぶ/会社に一時的に就職する/短期ビザの重病患者/日本は医療費7割引の国?/誘惑に乗る日本の医療機関/医療ツーリズムの未来

おわりに──上を向いて登ろう

書誌情報

読み仮名 ガイコクジンカンジャイリョウツーリズムトニッポンノゲンジツ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-611125-9
C-CODE 0236
整理番号 1125
ジャンル 政治・社会
定価 990円
電子書籍 価格 990円
電子書籍 配信開始日 2026/05/18

蘊蓄倉庫

隣の芝生

 いまやシンガポールは「アジアの医療ツーリズムの雄」だそう。質の高い医療が保証されると世界各国から患者が訪れるのだといいます。医療機関の質も高く、先端研究でも実績を積んでいるのだとか。そのシンガポールの成功を見てか、経済発展を続ける隣国のマレーシアも政府が医療ツーリズムを推奨しているとのこと。高級ホテルと見まごうスイートルームやプライベートラウンジを備え、リゾート地に滞在しているような日々を送りながら治療を受けられる病院がいくつもあるとのことで、それはちょっとうらやましくなりますが、もちろん価格も超富裕層向け。日本は日本で負担が少なく高度な医療を受けられる、世界に誇れる健康保険制度があります。医療のあり方は各国さまざま、隣の芝生は青く見える、ということなのでしょう。

掲載:2026年5月25日

担当編集者のひとこと

日本医療の処方箋

「日本の医療が危険水域に入りつつある」という言葉を耳にするようになってしばらく経ちました。最もよく聞かれたのはコロナ禍の頃。しばらくして聞かなくなり、「危険だ危険だと言っていたのは新型コロナが流行していたからか」などと思っていたら、一昨年頃から病院倒産のニュースをさかんに目にするようになり、久しぶりに行った病院では特定の診療科がなくなっていたり、薬局で処方箋通りには薬が出せませんと言われたりするようになりました。
 実際、昨年度の医療機関(病院、診療所、歯科医院)の倒産、休廃業・解散はそれぞれ過去最多で、その一方、日本の医療費は増加の一途、2024年度の国民医療費は48兆円とやはり過去最高となったそうです。日本の医療は、健康保険制度は、大丈夫なのか? と思っていた頃に出会ったのが本書の著者、山田秀臣さんでした。東大病院で国際診療部には創設前から携わる国際診療のプロフェッショナルで、数々の医療機関と連携しながら経営の問題点とも向き合うベテラン医師です。その「山田先生」は外国人患者こそが日本の医療を救うカギになるかもしれない──と言っているのですが、ではそれがなぜなのかは、ぜひ本書でお確かめ下さい。とても刺激的な論考になっていると思います。

2026/05/25

著者プロフィール

山田秀臣

ヤマダ・ヒデオミ

1968(昭和43)年愛知県犬山市生まれ。医学博士。東京大学医学部附属病院国際診療部副部長。名古屋大学医学部卒、同大学院修了。外国人患者診療や医療ツーリズムに長く携わり、東大病院国際診療部創設に関わる。東京都の外国人患者に関する協議会の副座長を務める。

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