猥雑になりがちな好色文学が、風韻に富んだ雅致のある文体と美しい素朴な形式によって、気品高く典雅に仕上がった芸術作品。

悲惨な中世の寺奴の運命やその暗黒面が描かれた「不撓の恋」、男が女装して恋人に近づこうとする、バルザック会心の作「悔悛の花」、ほか「胴忘れ法官」「アマドル和尚実伝」「あなめど綺譚」「艶福冥加論」「野良ん坊」「巡礼浮世噺」「天真爛漫」「節婦インペリア」の全10篇収録。