［巻頭特集］GTカーとしてのクーペ＆オープンを考えてみる。

GTカーとしてのクーペ＆オープン

　GTとは、グランド・ツーリングの短縮形である。そして、グランド・ツーリングとは大周遊旅行のことだ。GTカーとは、したがって大周遊旅行用自動車ということになる。
　そもそも、グランド・ツアーと呼ばれる大周遊旅行が最初に広まったのは、18世紀のイギリスにおいてだった。学業を終えた富裕な貴族の子弟が、その総仕上げとしておこなったヨーロッパ大陸を行く大周遊（修学）旅行、それがグランド・ツアーだ。そして、グランド・ツアーの必需品として第一に挙げられたのが、速く快適に、どこまでも駆けていく丈夫な馬車だった。それこそがグランド・ツアラーであり、現在のGTカーはその子孫なのである。
　さて、コロナ禍の中でちょっとした移動さえままならない今だからこそ、大周遊旅行に思いを馳せてみたい、とENGINEでは考えた。今、GTカーはどうなっているか。最新のクーペ＆オープンに乗って考える巻頭特集を組んだ。

ENGINE編集長　村上 政