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異例のスピードで宝塚舞台化! 大人の胸を射抜く極上エンタメ


 昨年5月に刊行された伊吹有喜さんの長編小説『カンパニー』が早くも宝塚歌劇団月組で舞台化。この号が発売される頃には東京宝塚劇場で公演が行われます。
 主人公の青柳は老舗製薬会社に勤める生真面目な総務課長。47歳にして妻子に去られ、社内の改革路線からも取り残され、社長の娘が所属するバレエ団に出向を命じられます。そこでのミッションは、世界的ダンサーの高野悠を招いて行う新社名周知公演「白鳥の湖」を成功させること。ところが高野は深刻な故障を抱え、キャスト・演出ともに大幅な変更を迫られた現場は大混乱。果たして舞台の幕は無事に上がるのか――。
 企業とバレエ団という、まるで文化の違う2つの「カンパニー」が衝突しながら、やがて仲間カンパニーとなって目標に向かっていく。その中心にいる青柳は、変化が是とされる世の中にあって、変わらないことを恐れずに自分のやり方を貫き、結果として周囲を鮮やかに変えていきます。
 著者はこのダイナミックにして緻密なストーリーに、バレエダンサーを取り巻く経済的現実や、興行にまつわる困難をリアルに織り交ぜ、極上のエンタテインメント小説に仕上げました。人生の機微を知る大人の胸を打つ作品として、青柳世代の読者の大きな反響を呼んでいます。

波 2018年4月号「新潮社の新刊案内」より

著者紹介

伊吹有喜イブキ・ユキ

1969(昭和44)年、三重県生れ。2008(平成20)年、『風待ちのひと』(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。ほかの作品に『四十九日のレシピ』『ミッドナイト・バス』『今はちょっと、ついてないだけ』『彼方の友へ』、また「なでし子物語」「BAR追分」シリーズなどがある。『カンパニー』は、2018年に宝塚歌劇団(月組)で舞台化された。

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