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今月号の表紙は川上未映子さん。

波 2018年4月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/03/27

発売日 2018/03/27
JANコード 4910068230485
定価 102円(税込)


阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第7回

町田 康『湖畔の愛』
戌井昭人/何かからかけ離れていく心地よさ

川上未映子『ウィステリアと三人の女たち』
黒田夏子/花まみれの問い自身

田村明子『挑戦者たち 男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』
梯 久美子/これほど過酷で、人間的な

グレアム・スウィフト 、真野 泰/訳『マザリング・サンデー』
酒井順子/彼女が自由へと超越していく日

[橋本 治『草薙の剣』作家デビュー40周年記念特集]
橋本 治/「人のいる日本」を描きたかった
津村記久子/幻想と挫折の向こうへ

[〈日本ファンタジーノベル大賞〉復活記念特集]
柿村将彦『隣のずこずこ』
大森 望/新たな門出にふさわしい、独創的なファンタジー
神谷達生/閉じられた「現実」を拡張する少女

萩尾望都『私の少女マンガ講義』
矢内裕子/少女マンガの贈り物

小山田浩子『庭』
柴田元幸/あっさり濃密に

[朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』刊行記念対談]
朱野帰子×はあちゅう/働き方の正解はどこにある?

田中兆子『徴産制』
篠田節子/仰天の設定で問う平成版「君たちはどう生きるか」

武内 涼『敗れども負けず』
本郷和人/苦戦を強いられる現代人への応援歌

矢的 竜『三成最後の賭け』
大野 芳/若き物流の天才・三成の最後の一矢

山崎章郎『「在宅ホスピス」という仕組み』
山崎章郎/平穏に死ぬための教科書

鈴木 亘『経済学者、待機児童ゼロに挑む』
三浦瑠麗/巨大組織を動かし、社会問題を解決する

藤田宜永『わかって下さい』
芳地隆之/ノスタルジーを装ったリアル

[佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』ラジオドラマ収録に寄せて]
佐藤多佳子/もう一つの「明るい夜」

[座談会]
阿川佐和子×内藤啓子×矢代朝子
文士の子ども被害者の会 Season2 前編

[短篇小説]
北村 薫/ことば

橘 玲『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)
福島香織/根っこは中国の人口問題

【コラム】
芳澤勝弘、山下裕二、石川九楊、ほか『禅のこころを描く 白隠』(とんぼの本)
伊野孝行/ようこそ、白隠劇場へ

とんぼの本編集室だより

水島広子『「毒親」の正体―精神科医の診察室から―』(新潮新書)
水島広子/厄介な親を持つすべての人へ

【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第4回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第25回
野村 進/多幸感のくに 最終回
津村記久子/やりなおし世界文学 第47回
末盛千枝子/根っこと翼・皇后美智子さまに見る喜びの源 第4回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第12回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第97回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第16回

編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月号の表紙は川上未映子さん。

◎今月の表紙は、小説としては『あこがれ』以来2年半ぶりの新作となる『ウィステリアと三人の女たち』を上梓した川上未映子さん。指の先までたっぷり濡れたような、どこまでも瑞々しい言葉のざわめきが圧倒的です。マスターピース!
北村薫さんの短篇小説「ことば」を掲載しました。北村さんらしい、本にまつわる人間の営みと〈時の移ろい〉をテーマにした名品ですが、詳しくは実際に読んで頂くとして、ここでは別の話。作中に出てくる新潮社資料室は実にリアルに描かれています。本館4階にある資料室はあまりひと気もなく落ち着く空間なので、用もないのに時折サボりに行きます。書棚の間をぼんやり歩いたり、適当に目についた本を抜き出したりしていると、先輩編集者たちが営々と作ってきた本のひっそりとしたエネルギーのようなものが伝わってきて、妙案が浮ぶ時もあれば、悪酔いしたみたいな気分になる時もあります。「ことば」に登場する「宝物殿」こと閉架の部屋には(ここは用がないと入れません)、「ひええ」と唸るような貴重本も何冊かあって、資料室の係の人に訊くと、「火事になったら、まず何を持ち出して逃げるかは決めてます」。
◎「文士の子ども被害者の会」、第2弾も抱腹絶倒。次号の後編、さらに引き続き阿川佐和子さん司会による第3弾もご期待下さい。「われこそは(もっとヒドイ目に遭ったので語りたい)!」という文士の子どもの方のご連絡もお待ちいたします。
◎野村進さん「多幸感のくに」は最終回。単行本刊行は今夏の予定です。
▽神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしております。詳細はホームページ、http://kagubookclub.com/をご覧下さい。
▽次号の発売は4月27日です。

お知らせ

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。