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秀作、労作、傑作と書いてなお。第12回舟橋聖一文学賞受賞。

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 なぜ連載終了から単行本化まで四年もかかったのか? 飯嶋和一氏著『星夜航行』が今年六月に刊行されると、著者はこのような質問を受けました。主人公の沢瀬甚五郎は恩ある者の死を受けて徳川家を出奔し、本能寺の変、秀吉の天下統一と激動期を己の才覚で生き抜き、朝鮮出兵に巻き込まれます。権力者とその周辺では「忖度」「文書改竄」など現代さながらの愚行や海外交易、キリシタン布教など、当時の国内外の情勢と文禄慶長の役の戦いが克明に描かれ、これらに絡む主人公の足取りと強靱な意志が浮き彫りにされていく。著者校正と編集、校閲に長年月を要した理由はお読みいただければ、おわかりになると思います。
 刊行後は新聞雑誌各紙誌に取り上げられて好評を博し、此度、彦根市主催の第十二回舟橋聖一文学賞を受賞しました。朝鮮半島で囚われの身となった主人公の言動と八年後に故国の地を踏むラストは圧巻で、「秀作、労作、傑作と書いて、まだ足りない。最大級の賛辞を贈ったとしてもなお、この作品が現出させた人と歴史の確かな高みにとどくまい」とは文芸評論家で早稲田大学教授の高橋敏夫氏の評です(産経新聞、八月五日掲載)。この国と人の生きようを考えるとき必読の書、年末年始の読書にもお薦めします。

波 2018年12月号「新潮社の新刊案内」より

著者紹介

飯嶋和一イイジマ・カズイチ

1952年、山形県生まれ。1983年、『プロミスト・ランド』で小説現代新人賞、1988年、『汝ふたたび故郷へ帰れず』で文藝賞、2000年、『始祖鳥記』で中山義秀文学賞、2008年、『出星前夜』で大佛次郎賞、2016年、『狗賓童子の島』で司馬遼太郎賞を受賞。著書はほかに『雷電本紀』『神無き月十番目の夜』『黄金旅風』がある。「飯嶋和一にハズレ作なし」と言われ、いずれの著書も高い評価を受け、熱い支持を集めている。

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