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いま注目の1冊!

早見和真さんの『ザ・ロイヤルファミリー』が2019年度JRA賞馬事文化賞を受賞しました。「文学、評論、美術、映画、音楽、写真、公演等を通じ馬事文化の発展に特に顕著な功績のあった者に授与」される賞です。
さて、ここで問題です。競馬を題材にした「小説」が、同賞を受賞するのは何回目でしょうか?
正解は、二回目。「平成」という元号をとびこえて、1987(昭和62)年度の、記念すべき第一回受賞作が、あの宮本輝さんの傑作長編『優駿』でした。
『ザ・ロイヤルファミリー』は、馬主という存在を軸に、人と馬の血と思いの「継承」を描いた作品です。
競馬場はもちろん、厩舎や牧場にセール会場など、見られなかった場所はなかったと早見さんがおっしゃるほど取材を尽くし、リアリティを築き上げ、その上で、手に汗握るストーリーが展開します。笑って泣けて、クライマックスでは思わず握り拳を作り、結末に震え、読み終えたときに誰かと語り合いたくなるでしょう。思えば『優駿』もそういう作品でした。
競馬に興味ない、という方もぜひ。馬券を買いたい! という衝動に突き動かされるかもしれませんが、そこは自己責任でお願いいたします――。
著者紹介
早見和真ハヤミ・カズマサ
2008(平成20)年『ひゃくはち』でデビュー。2015年『イノセント・デイズ』で日本推理作家協会賞受賞。2020(令和2)年『店長がバカすぎて』で本屋大賞ノミネート。同年『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞を受賞した。