お知らせ

いま注目の1冊!

元特殊部隊員が描く、迫真のドキュメント・ノベル

Image

 元特殊部隊員が小説を書く時代が、日本にもついに来た。そう、良くも悪くも、ついに来たのです。そして、その問題作は、刷を重ねてベストセラーとなりつつあります。著者は、全自衛隊初の特殊部隊、海上自衛隊「特別警備隊」の創設にも関わった、伊藤祐靖氏。前月号で掲載した、石破茂元防衛大臣の対談相手の、あの方です(対談はこちらと、Book Bangでも公開されています)。
 北朝鮮でクーデターが勃発し、拉致被害者の居場所が判明した――その状況で、救出は可能なのか? もとい、日本政府は実行するのか? 政府の動きから作戦行動の詳細まで、「救出」をシミュレーションしつつ、ストーリーと設定以外は、実在の人物と事実を思い浮かべて書いたとのこと、これほどに自衛隊の現実リアルを伝えるドキュメント・ノベルはないでしょう。とはいえ、私たちは、政治家は、人質奪還の代償として生じる多大な損耗(死傷)を直視できるのでしょうか。なにしろ、人が命をかけて行う軍事行動です。それでもやるべきなのか。簡単に行けといえるのか、見殺しにできるのか。今後の議論の糧としていただきたい一冊です。
 現場の声を通して、これまで謎に包まれていた最強の部隊の内実も垣間見え、興奮の読書体験となること間違いありません。

波 2020年8月号「新潮社の新刊案内」より

著者紹介

伊藤祐靖イトウ・スケヤス

1964(昭和39)年、東京都生れ。日本体育大学卒業後、海上自衛隊入隊(2士)。防大指導官、「たちかぜ」砲術長等を歴任。イージス艦「みょうこう」航海長時に遭遇した能登半島沖不審船事案を契機に、自衛隊初の特殊部隊である特別警備隊の創設に関わり、創隊以降6年間先任小隊長を務める。2007(平成19)年に中途退職(2佐)後、拠点を海外に移し、各国の警察、軍隊などで訓練指導を行う。著書に『国のために死ねるか』『自衛隊失格』『邦人奪還』などがある。

書籍紹介

雑誌紹介