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いま注目の1冊!

祝! 第164回直木賞受賞。西條奈加を味わう。

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 善い人ばかりが住んでいると評判で、周囲から「善人長屋」と呼ばれている千七長屋ですが、実は全員、裏稼業を持っています。差配の儀右衛門は盗品を捌くけい買いで、髪結い床の半造は情報屋ねたもと。唐吉・文吉兄弟は美人局つつもたせと、泣く子も黙る“悪党”が揃った長屋なのです。ここへ本物の善人である錠前職人の加助が転がり込んできて――。
うらさびがわ』で第164回直木賞を受賞した西條奈加さん。市井に生きる人々の姿を丁寧に描き、人情時代小説の旗手として活躍されてきました。
 新潮文庫では「善人長屋」シリーズが好評です。シリーズは現在全三作。『善人長屋』『閻魔の世直し』『大川契り』と続きます。
 加助は人助けが生き甲斐。彼が持ち込むやっかいごとに悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ手を貸すことに。
 悪事を働いている人間が結果、善の一助となる。果たして善悪とは何でしょうか。登場人物それぞれの背景や心情を丹念に掬い取る人情時代小説の傑作を是非ご一読ください。

波 2021年3月号「いま話題の本」より

著者紹介

西條奈加サイジョウ・ナカ

1964(昭和39)年、北海道生れ。都内英語専門学校卒業。2005(平成17)年、『金春屋ゴメス』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞、2021(令和3)年『心淋し川』で直木賞を受賞。著書に『金春屋ゴメス 芥子の花』『善人長屋』『千両かざり 女細工師お凜』『閻魔の世直し 善人長屋』『大川契り 善人長屋』『上野池之端 鱗や繁盛記』『せき越えぬ』などがある。

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