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いま注目の1冊!

「谷崎潤一郎賞」受賞!
現代の若者の絶望を描く、いま一番危険な小説。

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〈朝起きてまずストロングを飲み干す。化粧をしながら二本目のストロングを嗜む。〉
 高濃度アルコール飲料に溺れていく女性を描いた「ストロングゼロ」の一節です。スポーツドリンクに似た飲み口で手軽に酔えると人気ですが、「朝から酒を飲むなんて……」と眉をひそめる方が多いかもしれません。
 しかし、雑誌掲載時から「私も同じ」「自分のことが書かれているとしか思えない」という声が続出。谷崎賞の受賞が決定した金原ひとみさんの『アンソーシャル ディスタンス』に収録されたこの作品は、まさに「ストロング文学」の精華にして決定版です。
 選考会では「現代のセックスや社会のあり方を生々しく描いた勇気をたたえるべきだ」「大変密度の高い文章でコロナ禍に真正面から向き合っており、感服した」などと評価されたそうです。その他にも、パンデミックに絶望した二人が心中の旅に出る表題作をはじめ、現代の若者の激しい感情がリアルに描かれています。この機会にぜひお読み下さい。

波 2021年11月号「いま話題の本」より

著者紹介

金原ひとみカネハラ・ヒトミ

1983(昭和58)年、東京生れ。2003(平成15)年、『蛇にピアス』ですばる文学賞。翌年、同作で芥川賞を受賞。2010年、『TRIP TRAP』で織田作之助賞、2012年、『マザーズ』でドゥマゴ文学賞、2020(令和2)年『アタラクシア』で渡辺淳一文学賞、2021年『アンソーシャル ディスタンス』で谷崎潤一郎賞、2022年『ミーツ・ザ・ワールド』で柴田錬三郎賞を受賞。著書に『アッシュベイビー』『AMEBIC』『ハイドラ』『持たざる者』『マリアージュ・マリアージュ』『軽薄』『fishy』『デクリネゾン』『腹を空かせた勇者ども』、エッセイに『パリの砂漠、東京の蜃気楼』などがある。

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