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いま注目の1冊! 千早茜/著『しろがねの葉』、佐藤厚志/著『荒地の家族』

祝 直木賞・芥川賞! 生きる闘いを描く2作

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 第168回直木賞・芥川賞、新潮社からはそれぞれ一作品が受賞しました。
 直木賞の千早茜さんは、シルバーラッシュに沸く戦国末~江戸初期の石見銀山を舞台に孤児の少女ウメが辿る波乱の一生を描いた『しろがねの葉』で受賞。「人は過酷な状況下でもなぜ生きようとするのか」をテーマに書かれた自身初の時代小説は、「血と土が匂い立つ圧巻の筆力。千早さんにしか書けない世界を見事にものした」(選考委員・宮部みゆきさん)と絶賛されました。
 芥川賞を受けたのは、初の現役書店員受賞者となった佐藤厚志さん。勤務先の仙台の書店で自著を売る姿も話題になりました。『荒地の家族』は、津波という巨大な災厄に襲われた宮城県亘理町で、私的な災厄の傷を抱えて生きる男性の物語。選考した堀江敏幸さんは「震災後10年を経た世界を正面から描ききった。常に自分の肉体を通じて言葉を発している」と高く評価しました。
 奇しくも、その土地で生きることを引き受けた人間の闘いを描いた両作。深く、忘れがたい読後感をお約束します。

波 2023年3月号「いま話題の本」より

著者紹介

千早茜チハヤ・アカネ

1979年生まれ。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。同作は2009年に第37回泉鏡花文学賞も受賞した。2013年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞を、2021年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞を、2023年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞した。他の小説作品に『男ともだち』『西洋菓子店プティ・フール』『クローゼット』『神様の暇つぶし』『さんかく』『ひきなみ』やクリープハイプの尾崎世界観との共著『犬も食わない』等。食にまつわるエッセイも好評で「わるい食べもの」シリーズ、新井見枝香との共著『胃が合うふたり』がある。

佐藤厚志サトウ・アツシ

1982年宮城県仙台市生まれ。東北学院大学文学部英文学科卒業。仙台市在住、丸善 仙台アエル店勤務。2017年第49回新潮新人賞を「蛇沼」で受賞。2020年第3回仙台短編文学賞大賞を「境界の円居(まどい)」で受賞。2021年「象の皮膚」が第34回三島由紀夫賞候補。2023年「荒地の家族」で第168回芥川龍之介賞を受賞。これまでの著作に『象の皮膚』(新潮社刊)がある。

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