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青春の「感情教育」
「新潮」5月号
定価900円
4月7日発売


 超高層ビルが出現する前の新宿は、猥雑で人間臭い街でした。今号の巻頭一挙掲載「ネオンとこおろぎ 或いは新宿角筈一丁目一番地」四三五枚は、著者高橋昌男氏が実家のタバコ屋や路地裏のバーを舞台に、往時を回顧した実名小説。故山川方夫ら文学上の知己や、深い仲になったママとのこと等、青春の「感情教育」が達意の筆で描かれます。河野多恵子氏「半所有者」は、何と死姦が題材で好評の近作「秘事」と密かに響きあいます。
 橋本治氏「そして三島由紀夫とはなにものだったのか」一〇〇枚は特別読物完結篇。新潮新人賞評論部門受賞第一作、中島一夫氏の「非合理の暴力 パゾリーニの抵抗」は、ファシズムを克服する画期的な視線を解読。
なお、生前刊行の許されなかったベルグソン論「感想」抄や、特別インタビュー、対談、「わが小林秀雄」(35氏) 等からなる生誕百年記念別冊「小林秀雄 百年のヒント」は、四月十日発売です。
(編集長・前田速夫)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)