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吾輩はムツゴロウである
「新潮」6月号
定価900円
5月7日発売


 昨年末、国立能楽堂で上演された梅原猛氏のスーパー狂言「ムツゴロウ」は、その突飛でユーモア溢れる舞台が評判を呼びましたが、それはほんの序の口で、本番はもちろん今度の小説「吾輩はムツゴロウである」。計八章全一千枚の長編で、今号巻頭掲載の「穴の中の哲学者」一〇〇枚は、その第一章にあたります。現代の漱石が、猫ならぬムツゴロウに何を託すのか、超問題作にご期待ください。
 小説はほかに、今が旬の中編二作、阿部和重氏「ニッポニアニッポン」と佐川光晴氏
「ジャムの空瓶」など。特別寄稿は相馬正一氏「『黒い雨』と『重松日記』」。世界的な名作に浴びせられたあらぬ盗用疑惑を、初公開される「日記」全文を検証して、見事晴らしてくれました。
 年度最優秀短編が受賞する川端康成文学賞 (第Ⅱ期第二回) の発表は、車谷長吉氏「武蔵丸」。
(編集長・前田速夫)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)