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敗者の運命
「新潮」12月号
定価900円
11月7日発売


 聖徳太子側との戦いに敗れ、大阪四天王寺の奴婢となった物部守屋の子孫が、有名な聖霊会の先導役を、今も務めていることをご存じでしょうか。谷川健一氏の特別寄稿「四天王寺の黒鳥」二二○枚は、蘇我・物部両氏の暗闘にマクベス夫人顔負けの女性や、渡来人の秦氏が関わっていたことを検証し、現代にまで通底する敗者の運命を明らかにしました。
 木崎さと子氏「緋の城」二九○枚は、七○年代半ばパリのアパルトマンに移り住んだ中年女性を主人公に、人間の孤独の根源を問う意欲作。小説は他に、佐川光晴氏「サンディア!」、山本昌代氏「手紙」、大塚銀悦氏「星闌干」と、古井由吉氏「坂の子」。
 同時多発テロに襲われた米国で、「ニューヨーカー」主催の緊急作家集会が開かれました。そのレポートを新元良一氏に発注。また、背番号「3」の引退については、清水哲男氏が「さらば、長嶋茂雄。」を寄せてくれました。
(編集長・前田速夫)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)