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青の時代

三島由紀夫/著

649円(税込)

発売日:1971/07/27

  • 文庫

混乱期の徒花「光クラブ」に仮託して描く時代の顔貌。

人間同士は理解される義務もなく、理解する権利もない――。合理主義を崇拝する東大生・川崎誠。東京近郊の名家に生れ、頭脳明晰。法学部で「数量刑法学」を研究する傍ら、戦後の銀座で高利ヤミ金融を主宰する。俗人を唾棄し、「動機も目的もない人生」を享受する誠だったが、まもなく綻びが芽吹き……。シニシズムの筆致が冴える、著者曰く「贋物の英雄譚」と。

書誌情報

読み仮名 アオノジダイ
シリーズ名 新潮文庫
装幀 Nikos Chrisikakis/カバー写真、Getty Images/カバー写真、新潮社装幀室/デザイン
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-105020-1
C-CODE 0193
整理番号 み-3-20
ジャンル 文芸作品
定価 649円

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

「僕は疑わない人間の物語を書くつもりだよ。それが実に扱いにくい主題だということは、こいうわけだ。全てを疑えば哲学者になって書斎に引き籠れるし、全てを疑わなければ下積の幸福が味わえる。ところがこの主人公は自分で疑う範囲を限定しておいて、それだけを疑うのだ。従って彼の行動は青写真の範囲を決して出ないし、青写真を破ることもできず、そうかと言って、青写真の作製をやめることもできないのだ。しかしたとえば、彼は真理や大学の権威を疑っていない。疑わない範囲では、彼はしばしば自分でも気のつかない卑俗さを露呈する。ところが滑稽なことは、疑わない範囲の彼の卑俗さが、疑っている範囲の彼のヒロイックな行動に、少なからず利しているかもしれない点だ。(中略)」(本書3〜4ページ)

著者プロフィール

三島由紀夫

ミシマ・ユキオ

(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

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