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第一回配本第一巻〈短篇1〉
花芯・夏の終り 他
定価6825円
特色
●中短篇・長篇小説・随筆を、それぞれ原則として編年体で編集。
●全収録作品に著者による加筆修正が行われている。
●各巻、著者による書下ろしの解説「私解説」を収録。
●装幀者・横尾忠則氏の作品「赤のシリーズ」を毎巻口絵に収録。
●秋山駿氏の「小説家の誕生」を月報に連載。
第二巻(3月10日発売)
以降毎月10日、巻数順に刊行 予価平均/6930円(税込)
造本・体裁
四六変型判 上製貼函入 9ポ1段組 640ページ平均予定 装幀/横尾忠則

 

 長い歳月でした。もの書きになって半世紀が過ぎようとしております。
 一九五〇年、はじめて少女小説で原稿料を手にしました。二十八歳でした。それ以来、原稿料だけで生きつづけてきました。本格的な小説で、新潮社同人雑誌賞をいただいた時、三十五歳になっていました。はじめて小説家の暖簾をかかげ、その後ひたすら休みなく書き通しました。五十一歳で出家得度し、晴美から寂聴となってからもペンを放しませんでした。
 七十八歳の今、越えてきた茫々の幾山河のはるかさと、書いた原稿用紙の凄じい山に恐れを感じます。
 この度、ようやく、私をこの世に送り出してくれた新潮社から、全集を出していただく運びとなりました。自選し、ひとまず二十巻にまとめました。もうこのまま死んでも悔はありません。
 私にとって、生きるとは、書くことに尽きたのかと、今更のように納得する思いです。
 これまで私を支えて下さいました読者の皆様に心から感謝申し上げます。何卒、全集を御愛読下さいますように。

二〇〇〇年十一月



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