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木村友祐「野良ビトたちの燃え上がる肖像」(230枚)
高橋弘希「スイミングスクール」(120枚)

新潮 2016年8月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/07/07

発売日 2016/07/07
JANコード 4910049010860
定価 特別定価998円(税込)

野良ビトたちの燃え上がる肖像[二三〇枚]/木村友祐
 二〇一八年、神奈川の河川敷に野良ビトたちの国が独立――現在よりさらにひどくなった世界に想像力で挑む、怒りと希望の飛翔作!

スイミングスクール[一二〇枚]/高橋弘希
 私は母から何を受け取り、娘に何を手渡すのか? 誕生と死の狭間に研ぎ澄まされた物語。

◆孤帆一片/古井由吉
 地震の翌月、病室の寝覚めに広がる李白の詩。

◆二進も三進も/森内俊雄
 六十年前、早大露文二年の鮮烈な青春の記録。

■■ 連載小説 ■■
■土の記(十五)[連載完結]/高村 薫

■ミライミライ(三)/古川日出男

■エリザベスの友達(三)/村田喜代子

■TIMELESS(五)/朝吹真理子

■黎明期の母(七)/島田雅彦

■岩場の上から(九)/黒川 創

■光の犬(十二)/松家仁之

■荒れ野にて(十九)/重松 清

■名誉と恍惚(二十三)/松浦寿輝

◆転生の誕生日
――宮本輝『長流の畔』を読む/堀本裕樹

◆Sign‘O’the Times
――『伯爵夫人』を読む/阿部和重
 主人公・二朗はいつ眠り、いつ目覚めたか?

◆小説家蓮實重彦、
一、二、三、四、/佐々木 敦
 小説第一作から最新作までを貫く原理とは?

■批評の魂[第八回]/前田英樹

■小林秀雄[第三十五回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる[第四十三回]/石川直樹

■見えない音、聴こえない絵[第一四二回]/大竹伸朗

■新潮
・私が「私たち」だったころ/最果タヒ
・「写真屋」の大道/日高 優
・生きている限り潰れない本屋/竹下恵美(ひなた文庫)

■本
・町田 康『ギケイキ 千年の流転』/大塚ひかり
・いしいしんじ『海と山のピアノ』/木村朗子
・田中慎弥『炎と苗木』/倉本さおり
・津島佑子『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』/谷崎由依

第49回《新潮新人賞》応募規定

この号の誌面

立ち読み

編集長から

新たな飛翔作、
新たな代表作

◎今月もまた、作家の飛翔作にして新たな代表作となりうる作品が誕生したことを嬉しく思う◎木村友祐「野良ビトたちの燃え上がる肖像」(二三〇枚)の舞台は東京と神奈川の境を流れる一級河川の河川敷。この巨大都市間の「隙間」には住人がいて、手作りの家があり、互助的な共同体がある。彼らの収入は海外の資源価格を敏感に反映し、景気動向により人口が変動する。そう、河川敷はひとつの国なのだ。作者の想像力は、その国を二〇一八年、つまり現在よりさらにひどくなった世界に置いたことで、一気に解き放たれた。弱者を抑圧する現実への怒りがダイナミックな虚構に向けて、燃え上がったのだ◎高橋弘希「スイミングスクール」(一二〇枚)は三十代の女性を主人公に、私と母/私と娘の二重の母娘関係を繊細に描く。そこが戦場(デビュー作「指の骨」)であれ、一見ありふれた家庭であれ、誕生と死の間に広がる生の時に向け、この書き手の想像力は、より研ぎ澄まされた。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞