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高尾長良「みずち」(100枚)
舞城王太郎「Would You Please Just Stop Making Sense ?」(100枚)

新潮 2016年9月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/08/06

発売日 2016/08/06
JANコード 4910049010969
定価 特別定価998円(税込)

みずち[一〇〇枚]/高尾長良
 信仰に溺れた母。般若の面を求める妻。おれは「女」を捉えきれない――。新鋭の飛翔作!

◆Would You Please Just Stop Making Sense ?[一〇〇枚]/舞城王太郎
 《意味》は《意味》を増殖させるのか? 浴槽三重殺の謎を追うサンディエゴの警官と銃声の行方

うそコンシェルジュ/津村記久子
 嘘のつき方を考えて欲しい。次々と依頼を受ける私の思いは善意と疾しさの狭間に揺れる

ビニール傘/岸 政彦
 あてどなく孤独な日々を送る大阪の若者達。断片的な生を鮮烈に描く社会学者の初創作!

◆雷鳴の湾――Miscellany/金井美恵子
 記憶、この「とてつもなく貴重」で雑多なもの

◆闘字/円城 塔
 中国古来の漢字対戦(バトル)に日本の旅行者が挑む!?

■■ 連載小説 ■■
■名誉と恍惚(二十四)[連載完結]/松浦寿輝

■ミライミライ(四)/古川日出男

■TIMELESS(六)/朝吹真理子

■黎明期の母(八)/島田雅彦

■岩場の上から(十)/黒川 創

■光の犬(十三)/松家仁之

■ペインレス(十六)/天童荒太

■荒れ野にて(二十)/重松 清

第49回《新潮新人賞》応募規定
◆なぜ「最後の長篇」なのか?/筒井康隆 佐々木敦
 これでもう書くものがないな――『モナドの領域』へ至る数十年・重要作群の軌跡を追う

◆はじまりの宮崎駿――『風立ちぬ』再考/杉田俊介
 「最後の国民作家」、その集大成と歴史の姿

◆美貌とイケメン/金井久美子
 安岡、吉行、島尾。小説が導く小説家の記憶

◆死者と生きる――被災地の霊体験[第二回]/奥野修司
 霊に救われる被災者の声。話題のルポ第二弾

◆言葉と衣服――第二回・スタイルと装飾/蘆田裕史
 様式・文体・構成――衣服と言語は似ている

■批評の魂[第九回]/前田英樹

■小林秀雄[第三十六回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる/石川直樹
第四十四回・知床連山単独縦走

■見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一四三回・時代の目玉

■新潮
・如何にして『水道橋博士のメルマ旬報』は限界を突破したか/原カントくん
・私の好きな劇団/相馬千秋
・明朝体のこと/鳥海 修

■本
・奥泉 光『ビビビ・ビ・バップ』/鴻巣友季子
・中村文則『私の消滅』/斎藤 環
・フランコ・モレッティ『遠読――〈世界文学システム〉への挑戦』/武田将明
・松浦寿輝『BB/PP』/丹生谷貴志

この号の誌面

立ち読み

編集長から

人と物語の根源的関係

◎大震災から五年目の今年三月(四月号)、奥野修司「死者と生きる――被災地の霊体験」を発表し、大きな反響を得た。肉親を津波で失った遺族が亡き魂と〈再会〉した体験を追うノンフィクション作品だ。魂がちぎれるような喪失を体験した人が、悲しみを癒やし、生きていくために求めたのは〈死者との再会の物語〉だった、と奥野氏は語る。「人は物語を生きる動物である」(奥野氏)。そう、本稿が発見したのは、人と物語の根源的関係だったのだ。今も被災地で人は懐かしい霊と再会し、奥野氏は取材を続けている。今号より二号連続で「死者と生きる」続篇をお届けする◎二〇一二年、「肉骨茶」で新潮新人賞史上最年少デビュー(当時二十歳)した高尾長良氏が約二年ぶりに第三小説「みずち」を発表。また、『断片的なものの社会学』で紀伊國屋じんぶん大賞を受賞した岸政彦氏の初小説「ビニール傘」を掲載。読者がこれらに〈人と物語の根源的関係〉を見出してくれることを願う。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞