特集【新春紅白読み切り詣】林真理子/中島京子/桜木紫乃/奥田亜希子/押切もえ/曽野綾子/北村 薫/藤田宜永/朝井リョウ/西村賢太/伊東 潤/青山文平/新城カズマ/乙川優三郎
小説新潮 2016年1月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2015/12/22 |
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JANコード | 4910047010169 |
定価 | 947円(税込) |
特集【新春紅白読み切り詣】
◆林真理子/私たちは本当に綺麗だった
――男の憧れの的だったのに――。アラフィフ独身女性たちが語るのは
◆中島京子/「はくい・なを」さんの一日
――子供の頃住んでいた町の記憶。小さい喫茶店にいた白い髭の小説家
◆桜木紫乃/映画のひと
――仕事のない映写技師が出会ったのは、かつて銀幕で映し続けた女優
◆奥田亜希子/ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ
――大事なあの人に会うために。今日、私はあの子を探す旅に出る
◆押切もえ/天使になれなかった私と神様のノート
――アイドルをクビになった高二の冬。進路なんて何も考えてないのに
◆曽野綾子/二〇五〇年冬――コリオレーナスの予言――
――古い知人から届いたハガキ。世の中が荒みきった今、何の用だろうか
◆北村 薫/一年後の『太宰治の辞書』
――その時、届かないからこそ生まれる思いがある。広がる景色がある
◆藤田宜永/観覧車
――鬱々と過ごす独り身の四十男。家のチャイムが、突然夜中に鳴った
◆朝井リョウ/むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった
――正しい人生が評価されなくなる日が来るなんて、思ってもいなかった
◆西村賢太/寿司乞食
――無計画な日雇い稼業を続ける北町貫多。求人誌で見つけた仕事とは
◆伊東 潤/一期の名折れ
――氏康から呼び出され、急ぎ伺候する大藤景長。そこには意外な顔が
◆青山文平/逸材
――袋叩きから助け出したものの顔を隠そうとする中間に、直人は……
◆新城カズマ/真田幸村、一座建立
――祇園御霊会の日、人質として暮らす真田幸村の前に傷を負った女が
◆乙川優三郎/そうね
――家の事情で商社勤めを諦めた娘。出勤する父は未だに帽子をかぶる
【新連載スタート】
◆相場英雄/不発弾
――俺は絶対にのし上がってやる! 野心に燃える青年が選んだ道は
◆山本文緒/自転しながら公転する
――東京での生活に終止符を打ち、実家のある牛久に都は戻ってきた
◆西きょうじ/そもそも
――人類の先祖とトマトの大樹は、なぜ子どもの教育に関係あるのか?
【連載第二回】
◆西條奈加/八人のゴメス
――なななんと、ゴメスに妹がいた! しかもそれが国連査察官とは
【連載コラム】
◆本の森
――新刊文芸書から、選りすぐりのお薦めを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人/〈SF・ファンタジー〉石井千湖/〈恋愛・青春〉名久井直子
〈歴史・時代〉田口幹人/〈SF・ファンタジー〉石井千湖/〈恋愛・青春〉名久井直子
【好評連載小説】
赤川次郎/7番街の殺人
伊吹有喜/カンパニー
逢坂 剛/鏡影劇場
近藤史恵/スティグマータ
今野 敏/去就 隠蔽捜査6
谷村志穂/アンクランプ
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
初野 晴/世界の果ては二つ
増田俊也/北海タイムス物語
三羽省吾/ヘダップ!
山本一力/カズサビーチ ようそろ
柚木麻子/BUTTER
伊吹有喜/カンパニー
逢坂 剛/鏡影劇場
近藤史恵/スティグマータ
今野 敏/去就 隠蔽捜査6
谷村志穂/アンクランプ
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
初野 晴/世界の果ては二つ
増田俊也/北海タイムス物語
三羽省吾/ヘダップ!
山本一力/カズサビーチ ようそろ
柚木麻子/BUTTER
【連載エッセイ・ノンフィクション】
角幡唯介/ある鮪漁師の漂流
黒田龍之助/物語を忘れた外国語
酒井順子/源氏姉妹(しすたあず)
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
第三回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記
黒田龍之助/物語を忘れた外国語
酒井順子/源氏姉妹(しすたあず)
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
第三回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記
編集長から
もう一つの人生を求めて
昔、読書が好きだという人と話をしていたとき、「小説は、何の訳にも立たないから読まない」と言われ、苦笑したことがあった。こちらが小説の編集者だということなど知らず、何の気なしに言った言葉だったのだろうけれど、そういう考え方の人もいるのか、と知る意味では大変勉強になる出来事だった。
果たしてそうだろうか、と素朴に思う。確かに、学術書やビジネス書のように、疑問にズバリ答えるようなことは書いていないかもしれない。だが、そこには、一度限りの自分の人生では決して得ることのない、「もう一つの人生」の数々が眠っている。その眠りを覚まし、自分のものにすることがすなわち、小説を楽しむということではないだろうか。
二〇一六年も、「小説新潮」は、幾多の「もう一つの人生」を紹介していく所存である。その皮切りとして、新年号は、十四本という大ボリュームの読み切りで、読者の皆様をお待ちしている。
果たしてそうだろうか、と素朴に思う。確かに、学術書やビジネス書のように、疑問にズバリ答えるようなことは書いていないかもしれない。だが、そこには、一度限りの自分の人生では決して得ることのない、「もう一つの人生」の数々が眠っている。その眠りを覚まし、自分のものにすることがすなわち、小説を楽しむということではないだろうか。
二〇一六年も、「小説新潮」は、幾多の「もう一つの人生」を紹介していく所存である。その皮切りとして、新年号は、十四本という大ボリュームの読み切りで、読者の皆様をお待ちしている。
小説新潮編集長 新井久幸
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。