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20世紀末、ついにビッグバンの証拠が。理系必読、文系大興奮の科学ドラマ! 宇宙の産声は人類に届いていた。

宇宙創成〔下〕

サイモン・シン/著 、青木薫/訳

724円(税込)

本の仕様

発売日:2009/02/01

読み仮名 ウチュウソウセイ2
シリーズ名 Science&History Collection
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-215975-0
C-CODE 0198
整理番号 シ-37-5
ジャンル ノンフィクション、宇宙学・天文学
定価 724円
電子書籍 価格 799円
電子書籍 配信開始日 2016/12/23

人は宇宙を知るため、数限りない挑戦を続けてきた。太陽中心モデルを作り上げたアリスタルコスから、相対性理論のアインシュタイン、宇宙誕生の瞬間を発見したNASAに到るまで。決闘で鼻を失った天文学者がいた。世界トップクラスの天体画像分析チームを率いた「メイド」がいた。数々のドラマの果てに、ついに科学者たちは……。人類の叡智の到達点を、感動的に描く圧巻の書。『ビッグバン宇宙論』改題。

著者プロフィール

サイモン・シン Singh,Simon

1964年、イングランド、サマーセット州生まれ。祖父母はインドからの移民。ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得し、ジュネーブの研究センターに勤務後、英テレビ局BBCに転職。TVドキュメンタリー『フェルマーの最終定理』(1996)で国内外の賞を多数受賞し、1997年同名書を書き下ろす。『暗号解読』『宇宙創成』『代替医療解剖』など、科学分野で世界中から高い評価を得ている。ロンドン在住。

青木薫 アオキ・カオル

1956年生まれ。翻訳家。ポピュラーサイエンスの訳書多数。サイモン・シン『フェルマーの最終定理』『暗号解読』『ビッグバン宇宙論』『宇宙創成』『数学者たちの楽園:「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』、エドワード・フレンケル『数学の大統一に挑む』、レナード・ムロディナウ『ユークリッドの窓』、アミール・D・アクゼル『無限に魅入られた天才数学者たち』など。著書に『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』がある。2007年度日本数学会出版賞受賞。

目次

第IV章 宇宙論の一匹狼たち
宇宙から原子へ/最初の五分間/宇宙創造の神の曲線/定常宇宙モデルの誕生
第IV章のまとめ
第V章 パラダイム・シフト
時間尺度の困難/より暗く、より遠く、より古く/宇宙の錬金術/企業による宇宙研究/ペンジアスとウィルソンの発見/密度のさざなみは存在するのか
第V章のまとめ
    エピローグ
謝辞
付録■科学とは何か?――What Is Science?
用語解説
訳者あとがき
文庫版訳者あとがき

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立ち読み

訳者あとがき

 本書は、『フェルマーの最終定理』と『暗号解読』で、綿密な取材、みごとな構成力、そして舌を巻く語りのうまさを見せつけ、全世界で絶大な支持を受けたサイモン・シンが贈る待望の最新作である。
 シンが第三作のテーマに選んだのは、私にとってはちょっと意外なことに、宇宙論のビッグバン・モデルだった。ビッグバンについては、すでに数え切れないほど本が出版されている。それをなぜ、屋上屋を重ねるようなことをしなければならないのだろう? シンはいったいどんな切り口でビッグバンというテーマを料理するつもりなのか? そんなことを考えながら私は英語版の完成を待った。そうして完成した作品を読んで、「これは直球ど真ん中だ」と思った。エース投手にしかできない、逃げも隠れもしない堂々たる投球。テーマも王道なら、切り口も王道――いや、それはもう単なるひとつの切り口などというものではなく、宇宙論史という大きなパースペクティブの中にビッグバン・モデルという科学の成果を描き出して見せるものだった。
 そういうわけだから、「ビッグバン本ならすでに十指に余るほど読んだよ」という人にも、いやそういう人ならばなおのこと、ぜひ本書を読んでいただきたいと思うのだ。私自身、この分野が専門とかなり重なるのに加えて、長年科学翻訳をやってきたために、半ば科学史オタクというか、科学がらみの文化史・社会史オタクのようになってしまっており、ビッグバンをテーマとする一般向けの本に書いてあることぐらい、たいてい知っていてもおかしくはないだろうとタカをくくっていた。ところが、前二作と同様、大きなパースペクティブの中で人間のドラマを浮かび上がらせるシンの手法のおかげで、本書を読みながらたびたび深く考え込まされることになったのだ。自分の無知に驚かされたエピソードは山ほどあるけれど、とくに強い思いを抱かされた登場人物を一人だけ挙げろと言われれば、ビッグバン・モデルの生みの親となった(ロシアのフリードマンとは別個にモデルの基礎を作った)ジョルジュ・ルメートルを挙げたいと思う。私は、ルメートルの同時代人たちと同じく、カトリックの聖職者であるこの人物を色眼鏡で見、そのような発言をしたことがある。希有な生き方を貫いたこの人物に、私はたいへん失礼なことをしていたと反省している。本書は、宇宙論のことをよく知っている人や、多くの本を読んでいる人であればあるほど、ある意味、深い楽しみ方をしてもらえるのではないかと思う。
 とはいえ、サイモン・シンは宇宙論に詳しい人たちのために本書を書いたわけではない。むしろ、「ビッグバン」なる言葉ぐらいは知っているという人にこそ、本書を読んでほしいのではないだろうか。彼が「いまさら」と言われることを恐れず、あえてビッグバンをテーマに選んだ理由のひとつは、「宇宙はどのようにして生まれ、いかにして今日に至ったのか? 人間はその宇宙の中でどんな存在なのか?」という問いが、人間にとってもっとも素朴で、かつ深いものだからだろう。そしてそれだけでなく、シンは科学者ではない一般の人たちに、科学的方法というものを知ってほしかったのだと思う。歴史の波に翻弄され、研究者個々人のキャラクターに大きな影響を受けながらも、少しずつ進展してきた科学。その強さの秘密を知ってもらうためにシンが選び取った魅力的な素材、それがビッグバン・モデルだったのだ。
 ところで現代の一般の人びとはどんな宇宙観をもっているのだろうか? これに関連して日本では二〇〇四年に、自然科学研究機構国立天文台の縣(あがた)秀彦氏が小学生を対象に行った調査が世間をにぎわした。「地球は太陽のまわりを回っている」「太陽は地球のまわりを回っている」という二つの文章から正しいものを選ばせたところ、およそ四割の学童が後者を選んだというのだ(縣氏の調査はこの質問だけに留まるものではない)。つまり小学生の四割は、天動説を支持していることになる。
 現在の小学校の学習指導要領および教科書では、「日常経験を重視する」という立場から、地上から観察した太陽、月、星の運動しか扱っていない。「地球は丸い」ことも、その公転・自転も教科書には載っていないそうである。だとすれば、本来ならば調査対象となった小学生全員が、「太陽は地球のまわりを回っている」ほうに丸をつけても(これはこれで科学的態度だ)いいはずだった。なぜ(学校では習っていないにもかかわらず)六割もの学童が、地球のほうが太陽のまわりを回っているのだと「知って」いたのだろうか?
 中学校に入ると、ようやく地球の自転と公転(季節変化について)と、太陽系の天体について、とくに金星の満ち欠けを(月の満ち欠けは習わないまま)学習する。だが義務教育はここで終わりだ。高校で地学(天文学は地学に含まれる)を履修する生徒は一割未満だそうだから、素朴に考えれば、この指導要領のもとで勉強してきた人たちのほとんどは、宇宙の構造や歴史などはまったく知らなくともおかしくはない。ところが周囲を見渡してみると、どうもそのようには思えないのだ。「この世界はどうやって始まったんだと思う?」と、科学とは直接関係のない身近な人たちに尋ねてみれば、たいていは「ええと、何か大きな爆発みたいなもので始まったんじゃないの?」といった答えが返ってくる。彼らはどこでその知識を入手したのだろう?
「宇宙全体の構造や歴史など知らなくても生きていくのに困らない」というのはよく聞く意見である。だが、困る困らないに関係なく、私たちはこの世界のことを知りたいと思う。太陽系の構造のことや、この宇宙は大きな爆発で始まったらしいことや、人間の誕生なんて宇宙全体の歴史から見ればつい最近の出来事にすぎないこと――そういった話に、私たちの心はピピピッと反応する。「家の本棚にあった本で読んだから」「クラスメートが話しているのを聞いたから」「テレビ番組で見たから」……、人はいろんなきっかけで、宇宙の始まりに関するビッグバン・モデルを知っていくのだろう。だが、たいていは、いつごろ、どんなきっかけで知ったかも忘れているし、その知識だって必ずしも正確ではなく、なんとなく知っているだけの人が多いはずだ。私はそんな人たちみんなに、本書を通じて科学のこと、私たちの住むこの宇宙のことを知ってもらいたい。とくに宇宙の謎に取り組んだ科学者たちについては、「本書の中で出会われてよかったですね」と読者のみなさんに申し上げたい。私自身、本書を通してはじめて、血肉をそなえた人間としての彼らに出会えたような気がするからである。

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