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小堀遠州 綺麗さびの極み

小堀宗実/著 、熊倉功夫/著 、磯崎新/著 、龍居竹之介/著 、他

1,540円(税込)

発売日:2006/06/23

  • 書籍

茶人にして建築家、奉行職も務めた、江戸のマルチ・アーティストの美学と生涯。

庭造りの名人として名高い遠州。彼にはまた、名建築家、天下一の茶の宗匠、そして桃山から江戸への激動の時代を生き抜いた、有能な政治家としての顔もあった。まさに八面六臂の大活躍ぶりは、さしずめ“日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ”! 彼が好んだ“綺麗さび”の世界とは何かを探りつつ、この謎の達人の全貌に迫る。

目次
小堀遠州 綺麗さびの極み
《小堀遠州画像》[部分]
小堀遠州 綺麗さびの極み
大徳寺孤篷庵の茶室「忘筌(ぼうせん)」より露地を見る。撮影=松藤庄平
小堀遠州 綺麗さびの極み
大徳寺孤篷庵の延段。自然石と切石の組み合わせが絶妙。撮影=松藤庄平
小堀遠州 綺麗さびの極み
物裂帖《文龍(もんりょう)》。色や形の配置に、遠州の美意識が生きている。撮影=松藤庄平

◆第一章◆
泰平の世の茶の湯を拓く
――茶人としての遠州

わび・カブキ・きれい
――小堀遠州の茶の湯の系譜
熊倉功夫

◆第二章◆
自然と人工を調和させる名手
――建築家・作庭家としての遠州く
――茶人としての遠州

江戸の“アートディレクター”
小堀遠州の建築術
【対談】磯崎新 小堀宗実

四通八達の庭づくり
龍居竹之介

◆第三章◆
今に伝える「綺麗さび」のこころ
――総合芸術家としての遠州

思いやりの美、「綺麗さび」
小堀宗実

◆第四章◆
武士から凄腕テクノクラートへ
――公人としての遠州

小堀遠州とその周辺

全国 遠州ゆかりの地を巡る
●小堀遠州略年譜●「平穏にして豊かなる生涯」

書誌情報

読み仮名 コボリエンシュウキレイサビノキワミ
シリーズ名 とんぼの本
発行形態 書籍
判型 A5判
頁数 128ページ
ISBN 978-4-10-602144-2
C-CODE 0371
ジャンル 自伝・伝記、芸術一般、画家・写真家・建築家、茶道、暮らし・健康・料理
定価 1,540円

担当編集者のひとこと

小堀遠州 綺麗さびの極み

 小堀遠州の名を耳にして、思い浮かべるものは? と尋ねると、返ってくる答えは千差万別。ある人は「ああ、庭園で有名な」といい、ある人は「お茶の人でしょう」という。
 どうも、この遠州という人、あまりに広範な活躍ぶりに、却って全貌を把握することがむずかしいらしい。本職(?)は大名で、主に作事奉行として各地の城造りに貢献。自ら茶室や庭のデザインを手がけてもいたから、建築家・作庭家でもあった。さらに、15歳の頃から古田織部のもとで茶道を習いはじめ、のちに天下一の茶の宗匠となる……。さしずめ、江戸時代の“マルチ・アーティスト”といったところか。 さて、遠州の美学を解き明かすのに、欠かすことのできない重要なキーワードが「綺麗さび」。なんとも雅やかな響きだが、いったいどういう意味なのか?
「綺麗さび」とは、ひとことにすると、誰にでもわかりやすく開放的な美を象徴する概念だという。先人・千利休の「わび」、古田織部の「カブキ」が、道を極めた人にしか理解しづらい世界だったのとは対照的だ。
 たとえば、光の妙を取り入れた茶室で、白を貴重とした明るい色の茶碗や舶来の珍しい茶道具を用いてお客さまをもてなす……。つまり、他人に対するサービス精神とバランス感覚に裏打ちされた美学といって良いかもしれない。「綺麗さび」は、現代に生きる人間が見失いがちな“思いやり”のこころなのだ。
 本書は、小堀遠州の全体像を、豊富な写真とテキストによって浮かびあがらせようと試みたもの。全国に散らばる遠州ゆかりの地を巡るマップや、将軍家、公家、商人と幅広い交友関係を明らかにした相関図も収録している。

2016/04/27

著者プロフィール

小堀宗実

コボリ・ソウジツ

1956年遠州茶道宗家に生まれる。遠州茶道宗家、十三世家元不傳庵(ふでんあん)。学習院大学卒業後、大徳寺派桂徳禅院にて禅の修行を積む。1983年、副家元に就任。2001年、十三世家元を継承する。「茶の湯を通して心を豊かにする」をモットーに、伝統文化の普及発展と精神文化の向上、青少年の育成、地域づくりなどの社会貢献に尽力。海外においても積極的な文化交流を行っている。

熊倉功夫

クマクラ・イサオ

1943年東京生まれ。東京教育大学文学部日本史学科卒業。日本文化史専攻。文学博士。京都大学人文科学研究所講師、筑波大学教授、国立民族学博物館教授を経て、現在、(財)林原美術館館長、国立民族学博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。茶道史、寛永文化のほかに、日本の料理文化史、民芸運動など幅広く研究。

磯崎新

イソザキ・アラタ

建築家。1931年大分県生れ。東京大学工学部建築学科卒業。丹下健三研究室を経て1963年磯崎新アトリエを設立。代表作に「大分県立中央図書館」「ロサンゼルス現代美術館」「なら100年会館」「カタール国立コンベンションセンター」など。カリフォルニア大学、ハーヴァード大学ほかで客員教授を歴任、また多くの国際コンペ審査員を務める。設計活動のかたわら建築批評を始め様々な領域で執筆・発言を行なうほか、建築展・美術展など多彩な活動を展開。著書に『空間へ』(鹿島出版会)、『建築における「日本的なもの」』『日本の建築遺産12選―語りなおし日本建築史―』(ともに新潮社)、共著に『Any:建築と哲学をめぐるセッション 1991-2008』(鹿島出版会)など。

龍居竹之介

タツイ・タケノスケ

1931年東京生まれ。早稲田大学卒業後、日刊スポーツ新聞社文化部記者を経て、1972年より(有)龍居庭園研究所所長。1990年、文化庁文化財保護審議会専門委員。2004年より(社)日本庭園協会会長。2005年より、創造学園大学客員教授。古庭園の修復整備とともに、庭園の啓蒙活動にも従事。

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